202112-765:上を向いていこう

嫌なことを考えているときは下を向き、楽しいと感じているときは上を向きます。嫌な記憶は、空間の下の部分、楽しい記憶は上の部分に保存されます。だからこれからは、上を仰いで暮らしていきます。お世話になった米国人コピーライターが亡くなった時、ヘッドアップを奥様に教わりました。

振り返れば、会議で不利な立場に陥ったり、責任を追及されたりして困ったときは、下を向いて何かを考えていたような気がします。挽回のチャンスがないときや何も考えていないときは、頭の上を嵐が通り過ぎるのをじっと待っていたのかもしれません。

昔、このパターンを逆手に取ったことを思い出しました。金儲けは大得意ですが決して善人ではない上司の下で働いていたときのことです。この人は、部下の失態をとがめる場面でよく声を荒げて机を力強く叩きました。その瞬間、部下が縮み上がるのを見て、この上司は部下との力関係を確認し納得していたようです。
あるとき、この怒られ役の番がまわってきたので、いつものお約束を破ってみようと思いました。滅茶苦茶怒られているときに、なるべく下を向かず、そして、クライマックスの机をたたくお約束のシーンでは、平静を装い何のリアクションもしませんでした。これは一定の効果がありました。いつもと違うリアクション(無反応)を部下がしたので、上司は戸惑ったようです。部下としては、上司の理不尽な感情的な行為にお付き合いしないということを意思表示したつもりでした。
効果が半減したことを学習したようで、その後、上司が机をたたくシーンは激減しました。

下を向いているときは、ネガティブな記憶を空間の下方部分に蓄積しているのでなく、反撃のばねが大きく跳ね返るように下方空間に「ねじれのエネルギー」を注入している「とんでもない部下」がいたわけです。

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