某半導体メーカーの経営者が、今期赤字転落の業績予想を発表する際、残存者利益
を獲得できる体力を自社は持っていると述べました。残存者利益とは、飽和市場・
衰退市場で競合他社が事業撤退した後、生き残った企業が残存する市場を独占し利
益を手にするというものです。
少ないパイを皆で分け合うより、残ったパイを最後に独占するほうが「おまけ」が
多いかもしれません。将来性の希薄な市場に居残るより、余力を残して早めに撤退
し、他の有望な業態に転換するほうが無難な選択かもしれません。皆が居なくなっ
た市場に果たしてどれだけビジネスチャンスが残っているかも不透明ですが、競合
がいないので、生き残ればONLY ONEで、当座はNO.1企業となります。
生き残って残存利益を取得するという意味では、限りなく灰色な容疑者が無罪を主
張して、最高裁まで争ってしぶとく無罪を獲得するケースに類似点を感じます。先
頃、輸入雑貨商の元社長が、最高裁で無罪判決を受けたにもかかわらず、米国国内
で米国の法律に基づいて身柄を拘束されました。最終的に、被疑者は移送先のLA
で自らの手で疑惑を封じ込めました。
この元社長は、サッカー少年時代に南米で修行し、その後Jリーグ創立時には日本
を代表するサッカー選手のひとりとなったスポーツマンと同じ名前でした。また、
このサッカー選手を取り巻く支援者や監督たちが、「スター選手を育てるのが最優
先、ゴール前で良いボールをまわすために皆が協力している、本当はそんなにうま
い選手ではない」といっていたのも気になっていたので、その相乗効果で同じ名前
の元社長がなぜか記憶に残っていたと思います。
胡散臭い「フルハムロード」という輸入雑貨店の名前も覚えています。それほど儲
かるはずもないビジネスモデルなのに、儲かっているような暮らしぶりが報道され
るたびに、保険金殺人事件関与にグレーな印象を受けました。年初まではこの元社
長は、残存者利益を楽しんでいたに違いありません。最高裁で無罪が確定し、一事
不再理の法則により、過去の同一事件で裁かれるリスクが消滅したからです。そし
て、先日、意外にも残存者利益を自ら放棄してしまいました。サプライズでした、
何かが終わったような、祭りのあとのようなインパクトを受けました。