従業員の横領

失敗事例はたくさんありますが、だいたい次の失敗でそれまでの失敗事例の大半は記憶から消えていきます。それでも数が多いので、折に触れてよみがえります。

その一つが外房の海辺のホテルの営業活性化案件。
クライアントの社長からサポート依頼を受け、いくつか提案しました。
ヘッドハンティングで就任した副社長は営業パーソンで景気のいいバラ色の絵を描いています。現場を取り仕切る古参の支配人がいけませんでした。過去のしがらみを引きずり、副社長の攻めの動きに乗ってきません。社長副社長には面従腹背、事務処理で緩慢な動きをしていまいた。もう一つ問題点がありました。フロントを仕切っていたのが、支配人の娘でした。これはいけません、オーナー一族でも無い従業員が親子で事業所の重要な部門を仕切っています。
町場の食堂や魚屋、八百屋ならまだしも、会社は従業員の癒着を嫌います。内部牽制が甘くなります。

そうこうしているうちに、副社長が売り上げを持ち逃げしました。これでキャッシュフローが破綻しました。もちろん、支配人親子は揃って失業です。サポート料は副社長が持ち逃げする予定のカネから運よくもぎ取ることができました。

潰れそうな会社は、数少ない経験からではありますが、だいたい幹部従業員の横領が命取りになります。省力化により、ダブルチェックのない作業で会社のカネに手をつけます。それに経理システムが自計式。会計ソフトに入力する際に悪さをします。領収書を発行しない売り上げ100万を95万と入力しても、ソフトは誤りに気がつきません。入力情報に基づいてソフトは売り上げを計上します。

粗利が10%ならザクっと1万抜かれたらその分を取り戻すためにはさらに10万の売り上げが必要になります。こんな商いは儲かりません。

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