金言−354:代替案効果

「松竹梅」3つのメニューを並べると、竹を選ぶ消費者が多いそうです。複数の選
択肢から選ぶと安心するといいます。これを心理学では代替案効果といいます。
複数の選択肢の中でも、3択が一番選びやすいので、品揃え提案は3択が多くなり
ます。

1)3択の効果
「松竹梅」の3択で商品を並べると、竹が一番売れます。次は高額の松で、安い梅
は敬遠されます。竹には、高すぎない安すぎない、多すぎない少なすぎないという
安心感があるからです。一方、梅は、何か足りない問題があるから安いと思われ、
安物買いの銭失いとなるのを嫌う心理が働きます。

2)仮想店舗
インターネットの仮想店舗では、状況が変わります。消費者は、松竹梅の3択では
、最安の梅を選び、価格比較サイトでは同じ商品なら最安のショップで購入します
。もちろん、店舗の評価とか口コミ、取引条件、納期などを考慮して、最安店を敬
遠することもありますが、中間の価格を提示しているショップを選ぶことはまず考
えられません。

インターネットで検索するときは、一番売れているモノ、一番安いモノ、一番評判
が良いモノなど、最も安く人気があり良く売れているモノとショップを選ぶことが
できます。PCの画面で、皆が選ぶ、皆が納得しているらしいモノが簡単に一覧で
きます。だから、3択で「竹」を選ぶ必要がありません。心理学者は、周りに他人
がいない環境では、ミエを張らずに安いものを選べるとコメントします。

3)ビジネスでの提案順位
最初に就職した会社では、オーナー社長に提案を求められたときは、無難な案を2
番目に置き、1番目は採算を多少犠牲にするが理想的な案、3番目はまず選らばれ
ないだろうという「見劣りする」案を並べることになっていました。実店舗での松
竹梅に似ていました。

情報処理会社では、少し違いました。あらかじめ担当者が厳選したA案だけを提案
すると、斜に構えた上司が(A案がベストチョイスだと内心思っていても)「B案
はないのか」と文句をつけるところは、どこでも同じです。ところが、松竹梅の順
位が異なりました。提案者が最善と考える案が一番先にでてきます。複数の案を出
して相手に選んでもらうのではなく、提案者が最善と考える案は何かということを
明示することが、まず求められたのです。中間の無難な案を選ぶという安全策をと
らない積極的な経営姿勢を垣間見た気がしました。

ぜひとも選んで欲しい案を「松」にするか「竹」にするかは、提案する側とされる
側の案件関与度にも左右されるようです。相手の選択次第で提案者が深く影響を受
ける場合は、提案者にとっても都合がよい最善策の「松」が最初に提案され、単に
商品を売るというような商取引では、無難に選ばれる「竹」案になるのでしょう。

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