金言-116:代表取締役の経営権喪失

1)オーナー:経営コンサルタント

2)取締役会の議決権

株主総会は株式会社の最高意思決定機関です。51%以上の株をもっていれば、ほとんどの決議はオーナー社長ができます。取締役も自由に任免できます。代表取締役は取締役会で選出されます。ところが取締役会の議決権は取締役1名につき1票です。

出席取締役の過半数が、代表取締役解任に賛成するとオーナー社長は解任されてしまいます。この決議に対抗するため、臨時株主総会を開いて、造反取締役を解任する機会があります。ただし、株主総会の招集決定権は取締役会にあります。ここで、取締役会が召集を否認すると、開催できません。どうしても株主総会を開くためには、裁判所の許可が必要となります。時間がかかります。

3)第3者割当による増資

授権資本の枠内(発行する株式数と発行済株式数の差)であれば、自由に取締役会で増資が可能です。取締役会で第3者割当による増資を行うと決議して、臨時株主総会の前に増資してしまうと、前述の「51%以上のオーナー」(代表権のない取締役)は、50%未満の株主に転落となります。過半数の議決権を失い、やっと開催した株主総会でも負けてしまい、「代表取締役の経営権喪失」となります。したがって、オーナーは株式と取締役会の過半数を握らないと、安心して海外旅行に行けません。

◆あとがき

ベンチャー企業を創業して6ヶ月。当初の事業計画では、長くて半年は種蒔になるので、資本金を原資にして辛抱する期間と設定していました。実際に半年過ぎ、総論として事業計画は、当初の見込みどおりであることが確認されました。

見込みを大きくはずしたのは、温度差が原因と思われるスピード感に欠けるパフォーマンスでした。ベンチャー必須条件である、リスクは自分が負うという気持ちになりきれず、「岩陰の大将」を生みだしてしまいました。大企業出身者で創業した会社なので、経歴、実績、人脈、個人の資質とも順風満帆の環境では相乗効果ですばらしい成果が期待できます。ところが、ベンチャーという環境には、まったくの素人集団でハングリー精神の不十分さが命取りになりかねませんでした。ことここにいたって、素人集団が、損切りするか腹をくくって更なる一歩を踏み出すかの正念場を迎えました。

ひとつ学んだことがあります。成功している経営者の中には、複数の肩書きをもって社会に貢献している方々がいます。ところがベンチャーでの肩書き兼務は「二兎を追うもの一兎を得ず」状態になり、一石二鳥などとんでもない勘違いということでした。これがだめでも、あっちがあるなどと現状をエクスキューズしてしまう恐れがあるのです。早晩、どっちもないことに気がつくに違いありません。

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