202105-259:1996世界都市博覧会は前年に都知事が中止

世界都市博覧会特需を見込んで、お台場の埋立地にはホテルや遊園地が建設され、陸路ではゆりかもめが走り、海路では桟橋が整備され渡し船も私企業が建造しました。
インフラ整備が進んでいるなかで、中止を公約に掲げた都知事候補者が当選し、都議会は開催を求める決議を大差で可決したのですが、結果は中止となりました。

ホテルは2個建設中で、1個は開業を延期しました。ここで明暗が分かれました。
大規模イベントは無くなりましたが、お台場が整備され新たな観光スポットになり、開業を強行したホテルは大繁盛しました。連日レストランは満席、客室も満室、ウェディング宴会も大盛況でした。

当初、都市博中止で閑古鳥がなくことを織り込み、ホテル経営陣はローコストで運営してリスク軽減を狙いました。経営幹部のヘッドハンティングも従業員の引き抜きも一流ホテルのAクラスを避けました。都市博覧会中止で一流ホテルマンにとっても都落ちになる場所でした。ところが蓋をあけてみれば、連日大入りでB級従業員はA級ホテルの倍以上の接客経験を積むことになり、結果としてB級従業員のスキルは著しく向上してA級となり、同じくB級採用の管理職従業員の能力は稼ぎに応じて高く評価されました。勝てば官軍で、既存の一流ホテルのA級従業員よりたくさん稼ぐため市場価値も大化けしました。
そして、開業を見送ったもう一つのホテルは儲け損ない、ブランド力も経営者の能力は疑われ、系列グループのお荷物となってしまいました。

東京2020ではどんなドラマが進行しているのでしょう。
きっと1996年のお台場よりドラスティックな局面がたくさんあるはずです。

1995年5月31日、青島幸男・東京都知事は翌年3月から開催する予定だった世界都市博覧会を取りやめることを最終決断した。
博覧会は4期務めた鈴木俊一・前都知事が臨海副都心開発の起爆剤として計画。後継候補の石原信雄・前官房副長官らを相手に「博覧会中止」を訴え、約170万票を集め4月に当選したばかりだった。当選後に都議会は開催を求める決議を大差で可決。

世界都市博覧会を中止、青島都知事が決断

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