金言-183:あいさつしない社員

某IT企業の従業員向け掲示板に、『社員の態度』というテーマで匿名のやりとりが
掲載されていた。これは、現場に派遣されている社員が帰社席に顔を出したときに、
同僚らしい人たちから「あいさつ」をしてもらえないとか、自社に電話をしたら受け
た社員が名乗ってくれないとかいう話題であった。投稿者たちは、「社会人としてと
いうより、人間として周囲への心配り、気配りができるようになりたいものだ」と結
んでいた。

当該企業の新人研修カリキュラムでは、あいさつの仕方、電話の受け方、社会人とし
てのビジネスマナー研修をしているとのこと。それが、現場に配属されるとできなく
なる。現場の先輩や、古参の社員が原因となっているのかも知れない。あいさつをし
なくても仕事はこなせる。ときおり画面に反射する自分の顔を見ながら1日の大半を
過ごしている。つまり、周囲の人とのコミュニケーションをとることがあまり得意で
はない人たちが、選んだ職場かもしれない。

数字が全ての会社では、あいさつを軽くみているとは考えたくないが、数字を上げる
過程の中には、お客さまとの接触があるはずだ。お客さまにあいさつがきちんとでき
ない社員が、システム開発スキルだけで、信頼関係を維持できるのだろうか。
はやりのラーメン屋のオヤジが、味と話題性だけでお客さまを相手にしている。こう
いう店でも繁盛しているという論理では、顧客満足度向上をめざす企業としては情け
ない。顔見知りの社員同士ですらあいさつができない者が、どうしてお客さまにあい
さつができよう。お客さまには最初のうちはあいさつできる。そのうち、野生に戻っ
てしまう。初心はすぐに忘れてしまう。

あいさつしない社員に効く薬はない。試行錯誤を繰り返すなかで、本人の自覚を待つ
ことになる。そこまで待てなければ、はじめからあいさつが好きな人を採用するか、
または昔評判の良かったファーストフード店の接客マニュアルで訓練された経験者を
優先採用するかして、従業員シャッフルの検討をおすすめしたい。

◆あとがき
近所の小学校では来週運動会があります。
昭和の終わり頃までは盛んに行われた運動会を実施する会社が減少していることでし
ょう。何年も前に、都心の某私鉄系遊園地から運動会用の敷地がなくなりました。広
大な平地が必要な運動会ビジネスが儲からなくなったのです。右肩上がりの時代は、
おおらかでした。運動会の係員は何日も前から福利厚生の手伝いに本業を中断しても
文句をいわれない時代でした。どうせ会社が払うのだからといって自腹ではできない
ことを楽しめた気楽なサラリーマンが生息できました。
こういう輩は、自然淘汰の対象となりすでに絶滅しかけています。一部、ガラパゴス
島のような某JR社が話題になっていますが、ここは人為的に絶滅のスピードが加速
してしまうでしょう。

関連記事

  1. 自己破産
PAGE TOP