金言-73:辞世の句

1)オーナー:ノンキャリアの国家公務員
4月10日、数え年84歳の天寿を全うした人生の先輩。

2)書き残した一節

「人の嘘に気がついても、気づかぬふりをしてすましている。人が馬鹿にして見下しても一向に平気な顔をしていられる。こうした態度にはつきることのない風格があり、また限りない効用があるものだ。」

3)足跡

太平洋戦争で満州に行き、敗戦後の日本で大蔵省に勤務。25年努めて定年前に勇退。当時の日本は役人天国で、天下り先があり何年か優雅な役員生活をした。

東大卒のキャリアでも、役人の出世街道から外れる人がたくさんいたという。理由は金にまつわる不祥事や破廉恥事件が原因だ。刑事事件は論外だ。出世する役人は、見合いで結婚するといっていた。妻の実家に財力があれば、薄給の公務員が小額の賄賂に手を出す必要がない。キャリア組で昇りつめる人たちは贈賄に無縁な集団らしい。

そういう中で、ノンキャリアで財力もない、あるのは勤勉、誠実、健康という役人が強い意思の力を書き残した。この一節は25年間役所に勤めた役人の処世訓であろう。後から入ってくるキャリア組に抜かれながら、課長まで昇った。

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