金言−638:農薬入り冷凍食品出荷の顛末

農薬入り冷凍食品を出荷したアクリフーズ群馬工場のずさんな生産工程管理がマス
コミ受けの良いネタを提供してくれました。
製品の味見は業務ですが、商品のつまみ食いは業務上横領の疑いをもたれます。
昔お世話になったホテルのメインキッチンでは、毎日料理長が出勤すると、その日
に提供する料理を弟子たちが1人前用意して、料理長に味見をしてもらうのが日課
でした。初めてその光景を目にしたとき、うらやましいと思いました。弟子たちの
味と素材の検証をしているとは知りませんでした。
サービス業は、OJTが主流ですし、デスクワークという職種が嫌いで選んだ人たち
の職場ですから、知らされるより自分で盗みとるぐらいの気持ちが求められます。
今思えば、味見が業務上必要な理由を新入社員には論理的に説明してもらうべきで
した。
職場でのご法度を順守するのが常識ではなくなってきたのは、年功序列がなくなり
能力と結果のみを評価するようになったのが一因です。皿洗いはいつまでたっても
皿洗い、嫌なら辞めればという考え方が広がっています。その上、ボーナスが半減
したら、不満が顕在化してしまいます。
いつの世も、結果には原因があり、農薬を混ぜた動機もあります。先行き不透明な
待遇の従業員の不満を、「ごまめの歯ぎしり」と軽く見た上司は会社に巨額の損害
を与え、そういう企業風土を放置した経営者は、お詫びの席で引責辞任の発表を迫
られます。

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