金言-29:今年は悪いものを全部出せ

1)オーナー: 量販店の建て直しができなかった経営者

2)前評判
あるとき、この経営者は、懇親会に幹部社員を全員集めました。呼ばれたメンバーは全員そろったのですが、肝心の本人が到着していません。「1時間以上遅れるから、先に始めてくれ」と伝言がありました。1時間後に到着し、懇親会は無礼講ということで、和やかな雰囲気で終了しました。

後で、腹心の部下に自分が到着する前に飲食したのは誰かと聞きました。もちろん、名前を報告された人は、お仕置きの対象です。

3)今年は悪いものを全部出せ
量販店の経営から撤退して、今度は、システム開発会社の社長になりました。この会社もうまくいかなかった量販店のケースと同じような所があり、事業計画達成のためには抜本的な対策が必要になっています。そこで、「今年は悪いものを全部出せ」と号令し、お得意のdue diligence(精査)をはじめました。

悪いことは、すべて前社長の責任にすればいいので、内部監査を実施し、将来邪魔になりそうな人物のルール違反には懲戒処分を行いました。そして、利益確保に重要な役割をもつ部門長には、追放したい幹部を配置し業績に対する責任を追加しました。

いろいろとお化粧してやっと上場を達成した会社ですから、過去のしがらみが残っています。社内での裏取引もあったことでしょう。それをすべて洗い出し、リストラのツールに使います。「減収、現益となって、株価が1400円から1000円を切っても仕方がない」とまで言っています。

悪い膿をだして、建て直しをはかるというのは、よく聞く経営方針ですが、裏には社員の幸福や取引先の事情を無視したパワーゲームが垣間見えてしまいます。

4)泥舟
経営者の資質に限界を感じた幹部社員は、すでに泥舟から緊急避難を終えています。残っている幹部は、前船長の取り巻きぐらいです。これから、外にいる子飼いの幹部と在庫の幹部の入れ替えが始まります。こんな会社にいたくないという雰囲気が、17年続いた会社を草刈場にしています。

◆あとがき

大企業の社員だった頃、運動会や社員旅行、忘年会で、いつも感じたことがあります。それは、抽選会やゲームで賞品を持ち帰る中に、決まって力のある幹部社員がいることでした。「いつも賞品を持ちかえる、まだ欲しいのか」「幹事が気を使って、当たるように仕組んでいるのではないか」と昨日まで思っていました。

昨日、10年ぶりにボウリングをする機会がありました。取引先のボウリング大会に参加したのですが、40人が2人1組でチームを組み1人が3ゲーム投げるというタフなゲームでした。そこで、1ゲーム目で150を超えるスコアを2人が一緒に出し、いきなり優勝に一番近いチームとなりました。やはり6ゲームトータルで最高得点となり優勝し、豪華賞品をいただきました。その後のパーティの席上、大ジャンケン大会でも勝ち残り1個しかない賞品をいただきました。

ゲームをしている時に優勝を意識しました、そして、全員とのジャンケンでは、自分が今年になって経験している強運をみんなに証明しようと思いました。負ける気がしませんでした。

一言、強運を保つために努力していることをお知らせしました。それは、疫病神や貧乏神に近づかないこと。下り坂の人とは飲食を共にしないこと。

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