金言−386:ゴマメの美学

ドイツ人が経営する企業で働いていたとき学んだのは、彼らの意思決定には時間が
かかるが、ひとたび決定すると、吉田茂の孫のようには「ぶれない」ということで
した。時間と費用を十分に使って(時間より費用をたくさん使っているようでした
が)意思決定し、その意思表示をさらに費用をかけてグローバル企業として全世界
の全社員と取引先そして消費者に告知していました。

また、欧米の大企業のいくつかが存続も危ういという厳しい経済状況の昨今、才能
豊かな高額所得の集団の意思決定の結果が、対価として支払われる金額に見合って
いないことが次第に明らかになってきました。振り返れば、好・不況に影響される
ことなく同じことが繰り返されてきたにちがいありません。好況のときには経営者
集団への法外な報酬は黙認され、不況のときには同じ金額が理不尽に思われます。
自分たちのような弱者には、いつの世も会社も世間も理不尽ですけれど。

ところで最近、長い間こだわってきた動き方(「ゴマメの美学」のようなものです
)を変えなければいけない気がしています。サラリーマンを10年以上経験した頃
に身につけた行動パターンですが、一旦決めたシナリオはそのとおりに速やかに実
行し、納得して目標を達成していくという「動き方」です。これが、今の世の中に
は合わないのではないかと考えています。シナリオどおりに動くという動き方には
意味がないのではないかと、ふと、そう思いました。

裏麻雀界において20年間無敗を誇ったプロ雀士・桜井章一の実話を基にした「雀
鬼」シリーズで、「失恋レストラン」の俳優が演じる「章ちゃん」は、何か変だと
感じたら瞬時に手を引くという手法をとっています。あらかじめ決めたとおりに動
くことには意味がないわけです。勝つ確率が高いときにだけ動く、動いた結果に応
じて次の動きを修正するという手法です。これは、傍目には、すぐ「ぶれる」こと
になります。

吉田の孫の行動が味わい深いものに変わります。

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