金言−520:3代目の危うさ

我が家では、よく祖父が父に「家は3代目が危ない」といっていたそうです。大正
の関東大震災を経験した祖父、昭和の米国との戦争で敗戦を経験した父、平成の2
度のバブル崩壊と100年に一度、1000年に一度の未曾有の経済危機を体験し
た孫。生糸を扱う商家としては、祖父が3代目なのか、父が3代目なのか、それと
も孫が3代目なのか不明です。

先週の国営テレビ放送局の日本史を材料にした番組の中で、徳川家康の孫である3
代目家光が将軍職を継いで苦労した秘話が紹介されていました。家光は、実戦経験
無しにもかかわらず直系長子ということで家康が後継者に決めたということです。
民法上の法定相続人の中で文武に最も優れた子を後継者に指名することにすると、
子どもたちの間で後継者指名競争が起きます。家康はこれを嫌い、家光より優位性
のあった次男を退け長男を3代目に指名したといわれています。これが、徳川将軍
家の200年以上におよぶ安定した政権の基礎となりました。

東アジアの半島の小国などを除き、現代国家は、選挙によって指導者を決めている
ので直系長子が後継者になることはレアケースとなっています。わが国では、サン
トリーなど非上場の一部の同族会社は創業者一族のなかで後継者を決めていますが
、公開企業は創業家からの社長招聘は株主に説明責任が果たせないとかいって、見
送るケースがあります。

一国の指導者が指導力を失ったとき、国民は辞任を求めます。そして後継者は公選
となります。ここで、政局不安や空白が生じます。東アジアの半島では、国の財政
が苦しくとも政局は表面的に安定しています。将軍の失脚はなく、3代目も決まっ
ており、政権交代は時間の問題となります。

良いとか悪いとかではなく、持ちこたえることができなくなった時に、時代が変わ
ります。天下大乱新佛出現です。自然に変わるのではなく、民意が形になるという
ことのような気がします。

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