金言:263:兵を語らず

16歳のスポーツ選手が、次の最終戦で優勝しないとグランプリファイナルに出場で
きないという追い込まれた状況で、「優勝を意識しないと、優勝できない」とメディ
アのインタビューに答えました。そして、プレッシャーに負けず、昨夜の本番でみご
と自己ベストの記録で圧勝し、グランプリファイナルの出場権を獲得しました。おめ
でとうございます。

野球、バレーボール、サッカーなど、監督がイニシアティブを握る団体競技で、監督
が「勝ちにいく」と試合前にコメントするのをたびたび耳にします。試合が始まり、
試合前の期待を裏切り、勝ちが遠のくと、選手は「ゲームを楽しむ」「完全燃焼」に
課題を読替えます。

商売の世界では、受注競争に負けたり、案件が赤字になったりすると、営業選手には
、長時間の反省や総括のためのデスクワークが課せられます。詳細な経過説明や、市
場や競合他社の動向が分析され、現場の責任者が責めを負い、次は勝てそうな施策が
検討されます。営業マンが記録的な好成績をだすと、本人は「理由はよくわからない
、とにかく運が良かった」とコメントすることがあります。ゴルフでホールインワン
したプレーヤーに達成の秘訣をインタビューするときと同じです。「勝軍の将、兵を
語らず」です。成功体験を共有したくないのかもしれません。漁師が魚のいる場所を
秘密にするようなものでしょう。

成功体験や知恵を共有して、集団の優位性を強化していく手法がありますが、成功体
験は、多くの場合、暗黙知が重要な部分を占めていますので、その時その場にいなか
った人には、あの時あの場の共有なり追体験は困難です。二匹目のドジョウは、知恵
の共有者の前には現れないかもしれません。

◆あとがき

外資系の企業は、12月が決算です。そして、欧米本社の幹部社員やスタッフは早々
にクリスマス休暇に入ります。12月に入ると、日本の子会社は、親会社のキーパー
ソンが休暇のため、意思決定のスピードが落ち、悩まされます。日本の顧客が正月気
分の最中に、親会社の幹部は東南アジアでの休暇を楽しんだあとに日本に出張してき
ます。元旦を日本で迎えることもありです。これも現地従業員の辛いところです。そ
して、日本の正月気分が一段落すると次は、アジアの工場が旧正月を迎えます。12
月初旬から2月上旬は、年中無休のベンチャー企業にはチャンスです。

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