金言-38:EAIには魅力がない

1)オーナー:米国ソフトウェア会社のCEO

2)EAIの話は、顧客には魅力がない。
EAIは、エンタープライズ・アプリケーション・インテグレーションのことです。企業内に散在していたり、企業間で独立していたりするビジネスプロセスを短期間で効率的につなぐ技術で、昨年あたりまで話題になっていました。既存システムを廃棄し、新規に入れ替えるのが一番いいのですが、それには時間とお金がかかります。そこでレガシーの延命策として、つなぎの技術に注目したわけです。ところが最近、企業は高額なIT投資を凍結。一回あたりの投資額を少なくして、その都度、投資効果を確認しながら次の投資をするような傾向になっているそうです。

そこでEAIは無駄だといいます。クライアントは東京―横浜間の道路を補修したいだけなのに、EAIは全国の道路を一緒に直そうとするそうです。

3)プロのスプリンター
大規模な開発が減り、細切れで小額の投資が増えているそうです。最近の米国では、細かい仕事をいかに赤字にしないで効率よくこなしていくかが、ミッションクリティカルな経営課題になっているそうです。箱根の旅館で、個人客を丁寧に部屋まで案内するより、池袋のホテルで1000人の団体客をあっという間に部屋に押し込んでしまうスピードが要求されているのでしょう。アマチュアのマラソンランナーでは、プロのスプリンター(短距離走者)のスピードについていけません。

◆あとがき

残暑お見舞い申しあげます。消極的から攻撃的にモードを変えたCEOの話を聞きました。この会社は、米国で小さく始めました。最初の2年間は20名の規模でしたが、あるとき、マーケットに攻撃的に出ていくことにしました。ビジネスプロセスを見直したところ、前からいるレガシー社員は4名しか残りませんでした。16名をリストラし、専門家集団をスカウトして100名の会社にしました。大きなビジネスをするときには、小さなビジネスしか経験したことのない人たちは舞台から下ろされます。小さな入れ物には、大きな獲物は入りません。小は大を兼ねるわけにはいきません。

4名のレガシーグループは「次は自分の番か」と話し合っていますが、「そうだ、お前の番だ」という明確な答えが返ってくるのを、予想できません。

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