金言−405:前陣速攻型のスタイルを再考する

卓球で、中国よりも強かった時代の日本人チャンピオンは、中陣ロング型が多かっ
たような覚えがあります。カットサービスで戻ってきた球を強力なドライブで返球
し、さらに戻ってきた球が浮いたところで空いたコーナーに打ち抜くという試合運
びでした。

その後、中国が「前陣速攻」という驚異的な戦法で世界制覇しました。独特のペン
ホルダーのラケットを用いて、プレーヤーは卓球台から決して離れず、3球目攻撃
に徹しました。1球目がサービス、2球目がリターン、この2球目の台でのバウン
ドが頂点に達する前に打ち返します。これが決定打となり3球目で決着します。こ
の戦法で中国は世界を圧倒しました。プレーヤーは卓球台から離れないので、高い
反射神経と瞬発力が求められます。それに対して、従来型は、台から離れ、ボール
がバウンドして頂点に達してからドライブ主体で打ち返し、ラリーを続けながら、
相手を左右にゆさぶり、空いたコーナーに打ち込む戦法でした。このスタイルの弱
点は、相手に常に先を越されて受身になってしまうことでした。

中国式前陣速攻型は、ITバブルの頃流行した企業の意思決定プロセスに似ていま
す。当時求められたのは、経営者のスピード感でした。同業他社よりも早く情報を
入手、迅速な分析、即断即決というプロセスが、企業に優位性をもたらすといわれ
ていました。

前陣速攻の次は、変化球でした。道具(ラケット+ラバー)の進化にも助けられ、
サービスの球質が千変万化し、テニスと同様、サービスエースでポイントをとるよ
うになりました。これは、ベンチャー企業の強みに似ています。NO.1ではなく
、ONLY 1です。差別化の戦法でした。同業他社にない違いが強みです。

現在は、往時の中国式前陣速攻型は勝率が低いかもしれません。四方にアンテナを
張り巡らせ、常にライバルより数歩前に出て、最新の情報を取得し、カネの匂いの
有無をかぎ分けて、即断即決していく。このタフな意思決定プロセスは、世の中が
上昇トレンドにあるときは儲かりました。この2~3年の景気後退の下降トレンド
では、狙いが外れることが多そうです。ライバル企業より数歩前に出たところで、
後ろを振り返ったら、だれもついてこないのに気がつきます。後からついて来る人
がいないと、先に行った人は利益確定ができません。

そこで、勝つことより、負けないことを優先するようになります。日本卓球のお家
芸であった古式・中陣ロング型戦法が有効かも知れません。商売の鉄火場の最前線
から少しはなれ、相手が打ちこんできた球の回転や方向を確認してから、自分の得
意な打法で間違いなく打ち返し、相手のミスを誘発し、また手薄な部分を攻めると
いう勝ちパターン(証明済の技術)で実績を無難に積み上げていく方法です。

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