金言−377:価格は下げるが、品質は上げる

価格は安いが品質は悪くない(低価格で良質な)商品を提供して、好業績で業界一
人勝ち状態の会社が気を吐いています。一方、昔ながらのブランド老舗商法から構
造的に抜け出せない会社は、業務提携・統廃合などを繰り返して生き残り方を探し
ながら苦しい経営を続けています。

ほとんどの有名大企業が赤字転落または巨額の減益を発表しています。ブランドイ
メージよりも、低価格で良質な商品やサービスを選ぶ消費者が増えています。いま
や、高額所得者が、銀座の老舗百貨店での買い物を減らし、駅ビルなどにある低価
格で良質なモノを提供する店に足を運ぶようになりました。衣料品では、ユニクロ
が儲かり、老舗百貨店はM&Aの荒波にもまれています。

先週は東京・神奈川の私立中学の入学試験が開始されました。続いて、高校、大学
と受験シーズンが最盛期を迎えます。私立学校も少子化で厳しい経営環境にあるこ
とと思います。伝統とブランドをセールスポイントにした有名校、偏差値が高くて
優秀な生徒が集まる難関校、特徴のある教育理念を実践する学校など、得意分野に
特化し差別化に成功している学校は受験生の人気を集め、入学試験時には巨額の受
験料を稼いでいます。

前回発表の150億円黒字を一転7000億円の赤字決算に下方修正した大企業が
あります。氷山の一角です。現在の景況感が、高額所得者層に対しても「湯水のよ
うに金を使える」意識に影響を与えているはずです。一旦、高額所得者層が消費を
控え始めると、プレミアムを上乗せした高額な商品やサービスは買い手不在となり
ます。巨額な付加価値を上乗せすることによって成り立つビジネスモデルは、低価
格良質な商品・サービスによって市場から撤退を余儀なくされます。

私立学校に対する世間の考え方にも変化が生じているかもしれません。たとえば、
高額所得者の子弟が通うセレブな私立校は、銀座の高級クラブの客離れと同じよう
に生徒数の減少に悩まされるようになるかもしれません。一方、なるべく無駄を省
き、華美を抑制し、しかしながら良質な教育カリキュラムを組む私立校が、教育事
業でのユニクロ現象を引き起こすかもしれません。今は、有名デザイナーのプレミ
アを上乗せした高値の制服や割高な指定鞄や靴などにお金をかけるより、その分を
英語教育にまわしたいというような実利を選ぶ環境のような気がします。

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