金言-218:少人数でも世界はかえられる

1)ホワイトハウスというTVドラマのセリフ
「献身的で思慮深い人間が集まれば少人数でも世界を変えられる」
「それは何故か」
「実際に世界を変えてきたからだ」

2)偽計、風説の流布、粉飾決算
ホリエモンとその側近は、法に定めのないグレーな部分にはリスクをとって実行しま
した。その結果、巨万の富を手に入れ、今度は東京地検特捜部の捜査によって富の大
半を失いつつあります。4人程度のマネーゲーム仕掛け人が日本市場を変えました。
たった一つの銘柄の売り注文で、1月18日東証は取引停止に追い込まれました。東
アジアの半島のメディアに「情けない」金融システムと酷評されました。

3)個人投資家のパニック
2日続けて日本株は暴落しました。大勢が集まっているところで「火事だ」と叫べば
、混乱します。大幅下落の中での「売買停止の可能性もある」という言葉は、まさに
これです。整然と退出すれば全員が助かるかもれないケースで中途半端な情報が、惨
事を招きます。理解を超えた東証の取引停止によって、一般投資家はパニックにまき
こまれました。ほんの一握りの人たちの意思表示が、市場を混乱させました。

4)合成の誤謬
それぞれの人は合理的に行動していたとしても、全体としては好ましくない結果をも
たらしてしまう状態を、経済学では「合成の誤謬」というそうです。
ホリエモンの一件は、かかわる人たちがそれぞれ最善の方法で対応した結果、相乗効
果でよくなるのではなく、最悪の状況が発生したということになりました。
光の単色を重ね合わせていくと透明になりますが、絵の具は色を重ねていくと黒にな
ります。危難を回避するために各部門が単色で描いたきれいな絵を重ねると、黒にな
るか透明になるかどちらでしょうか。合成の誤謬は、光の単色を選べば発生しないか
もしれません。

5)余談
70年代に大学が全共闘にバリケード封鎖されていたときの小話です。
機動隊導入がいつおきてもおかしくない末期的な状況で、某大学闘争委員会のメンバ
ーが、情報収集活動としてバリケードの外にでました。最寄り駅の改札口付近の公衆
電話からこの学生は全共闘の執行部に「機動隊が集まっている」と一報を入れました
。それを受けた執行部は急遽主たる活動家の一斉検挙を避けるため、バリケードの外
に緊急非難をしました。15分後、街から戻った学生は、バリケードのなかにだれも
いないことに気がつきました。その後3ヶ月、機動隊は現れませんでした。パソコン
はもちろんインターネットも携帯電話も存在していない時代のことで、信頼できる情
報伝達手段は電話か口頭でした。

このとき、電話をした学生に対して、執行部はこうコメントしました。「たった10
円で組織を動かした。これこそがアナキストの得意するところだ。」
(情報の信憑性の確認を怠り、パニックになって一時的に封鎖を解除した全共闘執行
部の判断ミスはお咎めなし。官憲と日夜いたちごっこを繰り返している人たちにとっ
てはいつものことだったのです。)

◆あとがき
昨年、上場廃止に追い込まれた私鉄の親会社の従業員が、指図されて行った違法行為
が原因で亡くなりました。今週、ホリエモンの周辺で同様に不法行為をやったと推定
される人物が亡くなりました。ご家族にお悔やみ申しあげます。

約定件数が400万件に近づいたら取引停止という東京証券取引所。高校野球では点
差が開いたら、9回までやらずにコールドゲームといって途中でゲームオーバーが宣
告されます。商人にとっては、取引銀行が一定額の入出金に達すると店じまいし、翌
日は稼働時間が短縮されるというようなものです。まるで、停電や断水が定期的にく
りかえされる某国状態です。

ホリエモンの凋落に関連して某TV局の会長さんの会見を見て感じたのは、郵政民営
化に反対して政権党から離れた政治家たちの顔つきと良く似ているということです。
この数年、ITとかいう業界で儲けた成金小僧たちになめられ続けたご老人の、した
り顔とお見受けしました。小生意気なSE小僧と仕事をしたことのある団塊の世代の
方々もこの年寄り連中の言動には一理あると感じていらっしゃるかもしれません。さ
らに上場廃止になれば、自分たちが長年つくりあげてきたと思っている好ましい秩序
が回復すると考えているかもしれません。

これは大人の勘違いです。米国GM全盛期の会長の名を冠した博物館で流されている
社史ビデオの結びの一節にこうあります。
「古き良き時代を懐かしむ人に幸せは来ない」

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