金言-185:経営者の責任

IR(投資家向け広報)の基本:アナリストが注目するのは会社の事業内容や数字で
はなく、事業運営している経営者であるといわれています。
先週出席したセミナーでこのことを再度教えてもらいました。

事例1

従業員の不注意で発生した事故に対して、経営者が経営責任を問われることがよくあ
ります。一方、経営者が承認した案件にも関わらず、問題が発生すると担当従業員の
責任で経営者は知らされていなかったといいます。この場合、知らなかったという言
い訳で稀に一件落着するすることはありますが、通常、経営者は記者やレポーターの
餌食にされてしまいます。

事例2

経営破たんしている会社が、銀行から新たな金融支援や債務放棄をしてもらって経営
を立て直そうとします。某企業は、金融支援を受け、まず着手したのはリストラでし
た。従業員を減らし、幹部社員を入れ替えました。経営者は会社再建をすることが経
営責任をとることだといい、辞任しません。再度、資金繰りに行き詰まり金融支援を
受けます。そして、従業員を減らし、賃金カットをし、幹部社員を入れ替えて事業再
構築をねらいます。そして、借金さえなければこの会社はすばらしい会社だと本気で
いいます。
経営再建は、現経営者のリーダーシップでやるものだと信じて疑いません。

投資家の目線

投資家は、経営破たんしている会社は経営者の責任と考えます。借金の多寡で会社を
判断しません。借金が多いという理由で会社が潰れることはありませんが、借金を減
らしたからといって会社再建ができるわけでもありません。再建には儲ける仕組みが
不可欠です。借金をつくった原因に関心があります。誤った経営判断、儲からない事
業内容、その会社を運営している経営者が良くないのです。会社を債務超過にした責
任者には経営再建はできません。経営者を替え儲からない事業から撤退し優位性のあ
る事業に経営資源を集中できる企業に投資家は関心を示します。

某金融業経営者のことば

「良いモノが売れるのではありません。売れるモノが良いモノなのです。」

◆あとがき

投資家は、無言で意思表示するそうです。某経営者が紛らわしいことをやっていると
か某企業がおかしいと思ったとき、投資家はお茶の間のワイドショーのレポーターや
コメント屋のように騒ぎません。投資対象から削除するだけのことです。そういう投
資家が増えると、その企業の株価は上昇する要素が減ることになります。

変な人には近づかない、約束を破る人とは約束しない、酒癖の悪い人とは酒を飲まな
い。簡単なことかもしれません。

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