201906-176:靴を脱いで正座・威儀を正して平身低頭

平身低頭

どうしても要求を受け入れてもらいたいと願うとき、土下座して頼みます。
話せばわかるという情況ではないので、目に見える形で頼むときの作法です。
また、重大な謝罪のときにも相手に誠意を示せと要求されたときに使います。
ビジネスシーンでは、靴を脱いで正座・威儀を正して平身低頭するのが好ましい所作と有識者がいっていました。
直近の経験では、ビジネスシーンで2~3年前に一度そういう場面がありました。
ある重要な行事の直前、職人のご機嫌を損ねたときに土下座してでも機嫌を直してもらいたいと交渉したときです。屋外でちょうど目の前が水たまりでした。ここで土下座をしたら服が汚れ行事進行に差し障るのでやめました。あのときは、やってもいいかと一瞬思いました。やっていたら、「魔がさした」という後講釈になったはずです。

土下座が流行しています。
ただし、土下座は最上級の謝罪表現ではありません。
謝る理由があることを認めた相手を、上から目線で屈服させたことを目に見える形にするために相手に要求する行為に変化しています。
「やられたらやりかえす」「倍返し」のクロージングが、土下座になっています。
強い相手に対して、従属の証として、オオカミや犬はあおむけになって腹を見せるそうです。ヒトは、戦意を削がれた相手を追い詰め、最終的に屈服させた証拠として土下座を要求し始めました。
いつものこととして、この社会現象がデフォルトになると、土下座は「深くお詫び申しあげる」形として成立しなくなります。そうすると、本当に謝りたいヒトは、土下座を選ばなくなります。
早晩、謝罪記者会見の席上、無礼な記者たちに土下座を要求されたときに、心あるヒトは何か別の表現をすることになるでしょう。きっとそれが、その年の流行語のひとつになるにちがいありません。

土下座は最上級の謝罪表現ではありません

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