金言-889:御用聞き

出張料500円+5分100円の御用聞きサービスが商いとして成り立っているそうです。
後期高齢者、介護が必要な人、一時的に身体機能が低下してゴミ出し・買い物・掃除などができなくなった人など、ささいなことでちょっと他人の手を借りたいというニーズの商業化に成功した事例をテレビで見ました。
御用聞きといえば、芦屋の六麓荘町あたりでは今でも健在かと思いますが、そういう高額な伝統的な商売ではなく5分100円の安心安全安価なサービスです。この需要に対して、まず広告料収入を原資にして無料で御用聞きを始めたら、ユーザから何かの詐欺と疑われ、信用されなかったそうです。
無料でサービスを提供すると信用されないというのは、取引先で経験したことがあります。業績不振で金融業者から社外スタッフによる業務改善を迫られ仕方なくコンサルを入れた債務超過の事業所がありました。そのコンサルとのつながりで販促サポートの打診があったときのことです。クライアントの経営者に、サポート料については成功報酬で構わないと、着手金無しの実費程度の額を提示しました。ところが、この経営者は喜ぶどころか、安価な仕事は信用できないと門前払い。こちらはキャッシュフローに苦しんでいるだろうから、結果がでたときに分け前をいただくという、クライアントに都合のいいはずの条件を出したつもりでした。当時はカネもないのに見栄っ張りな男だとがっかりしました。当然と思いましたが、この人が市場から消えるのに時間はそれほどかかりませんでした。
この数年で学習したことは、カネを払ってやってもらった方が安心で借りもつくらないので楽だということです。親戚・友人・知人にタダ同然で頼むと後でつけがまわってきて高いものにつきます。それを嫌って、しがらみのない赤の他人に安心安全安価な御用聞きを頼みたいというニーズがあるのでしょう。介護保険料ではカバーできない部分での、世のため人のためのお仕事です。従来からある善意の無料サービスに割高な見返りを求められるくらいなら、余計な気をつかわず気楽な有料サポートを選ぶというご時世であります。

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