金言−870:業務遂行能力の格差

レッドチャイナの大連の私企業の話。
この会社は同じ敷地内に農村と都市の格差社会構造が共存・共栄しています。
製材工場はよく聞く農村のような環境です。ロシアから白木の木材を仕入、神社の
絵馬や寺の卒塔婆を作って日本に出荷しています。職場環境はまるで農村です、野
外のトイレ、まかない、低賃金です。この敷地内に清潔で冷暖房完備の社屋があり
日本企業のシステム開発を請け負っています。IT会社のほうは電子機器の保全のた
めにエアコン完備で、一流大学卒のSEは製材作業員の何倍もの収入があります。二
つの会社はきっちりと棲み分けされていて、従業員の交流はありません。

日本でこのような商いを同じ敷地内でやったら、プロの労働組合活動家の餌食にな
ります。
我が国では同じ経営者が同時に異なる業態の商いを営むことはよくあります。
ある地方都市での話です。
一つの会社はメーカーと顧客から高い評価を受け、増収増益で従業員も高い収入を
得ています。
もう一つの会社は、斜陽産業で減収減益赤字が続き、社長が優良企業の役員報酬を
つぎ込んで維持しています。当然、大連の会社と同じように職場の格差があります
。経営者が同じなのに、安い給料の会社から高い給料の会社に転籍を希望する従業
員はいません。業務遂行能力という、わかりやすい高い壁があります。

減収減益で赤字の会社で安い給料、ボーナス無しで働いてくれる従業員に社長は毎
日感謝しています。
従業員も自分たちのコスパの悪さを自分たちの責任とは考えません。ましてや、待
遇改善を期待して増収増益に貢献しようとも考えません。河原で拾った石をいくら
磨いても玉にはなりません。安い給料でも暮らしていけるよう、身の丈にあった暮
らしができればいいのです。輸血が途絶えれば会社は昇天、従業員は1年間失業保
険で暮らします。来年の今ごろはどうなるかは、だれにもわかりません。先行き不
透明なのは世の常であります。

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  1. 田中修治
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