金言−303:匂い

初めての訪問先に踏み込んだとき、何となく良い匂いがすることがあります。一説に
は、無意識下の情報が処理される過程で、感覚中枢を刺激するためだといわれます。
良い匂いのする会社は、金の匂いもするはずです。

1)銀座のオフィス
昔、某プロ野球チームのオーナーが替わる際に、球団のマスコットからユニフォーム
まで一切のデザインを受注した制作会社に、発注者側として原稿を届けたことがあり
ます。
銀座にオフィスがあり、その受付には、ワンレンボディコン嬢が2人待機していて、
迷宮に踏み込んだような不安を感じました。まだ、80年代のバブルが始まっていな
い頃でしたので、ベンツや豪華なオフィスは建築家や一流デザイナーなどのステータ
スシンボルのひとつでした。見てはいけないもの、踏み込んではいけない世界のよう
な、別世界のメッセージを門外漢に発しているようでした。そして、受付を通るとき
、甘い香りと良い匂いがしました。

2)香港のオフィス
梅雨時の香港は、格差社会を実感します。最近聞かない不快指数100%に近い市街
地で、オフィスの中は快適です。トイレは鍵がかかっていて、利用するためには入居
しているそれぞれのオフィスの受付で鍵を借りなければいけないビルがあります。い
ままでサプライヤーの1社という目立たない会社が、サプライ先の会社を買収すると
発表し、M&Aにともなう精査が始まりました。いままで取引業者だった会社が親会
社になったような存在感がでてきました。初めて、このサプライヤーの香港本社オフ
ィスを訪問したとき、社長室のじゅうたんに驚かされました。ゴルフ場のラフを歩い
ているような感じで、靴がじゅうたんに埋もれるような気がしました。しかし、この
事務所は匂いがしませんでした。金の匂いも香水の香りも感じませんでした。違和感
だけを覚えました。

3)中国シンセンのオフィス
台湾人の経営幹部が中国大陸の広大な敷地に、現地の労働者を雇用して工場を建設し
、その敷地のなかに台湾人が砦を築いて暮らしている様子です。工場を見学した後、
この砦で、お茶をごちそうになると、ほっとします。安全と快適さの匂いがします。

4)くわえタバコのオフィス
タバコの匂いがするオフィスは、最近めっきり数が減りました。テーブルにタバコの
灰が散らかっている会議室に通される機会は少なくなりました。それでもまだ、灰皿
のおいてある応接室は時々見ることがあります。社内が禁煙でも、取引先のお客様が
喫煙するかもしれないとの配慮だと想像します。喫煙する社員だけで応接室を使うこ
とがあると思います。喫煙者を採用しないと宣言した某同族企業の本社応接室が、存
在しないはずの喫煙社員のたまり場になっていたのを知っています。こういう会社は
良い匂いがしません。

◆あとがき

多摩川かぜのみちを早朝ポタリングして、やはり驚きました。先日の台風で、調布の
多摩川沿いの住宅地は、多摩川の水位より下になりました。報道は誇張ではなく、確
かに増水した流れが堤防を越える危険があったようです。堤防から河川敷に降りる通
路の途中はごみが溜まっていました。河川敷の野球場とサッカー場は冠水し、整備に
時間がかかりそうです。河川敷で暮らしていた人たちは、居住スペースの再構築に忙
しそうです。ただ、流木のおかげで、建築資材は豊富です。

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