金言-184:SOLID OR POLITICAL

1980年代後半の頃、ヨーロッパの某業界で覇権争いをしていた38歳の経営者は
、幹部社員を採用する際にこんなことをいっていました。

「SOLID(信頼できる)か、POLITICAL(政治的)か。」
「当時、幹部社員への協力会社からのプレゼント作戦はPOLITICALでした。
CEO以外の幹部社員の多数を味方につけてCEOを解任することが可能でした。日
本支社が邪魔な日本のディストリビュータは、本社の購買と直接取引を望みました。
そこでCEOを除く多数の幹部に高価な贈り物をしました。一方、日本支社の代表は
CEOの家族に高価なプレゼントをしていました。驚くことに、両者とも会社に領収
書をまわして、それぞれの会社は贈り物を製品サンプル代として経費処理をしていた
ようです。」
「派閥抗争、内部闘争、覇権争いですから、情報収集には金がかかり知恵としかけが
必要です。SOLIDという評価基準は、愛社精神でもコンプライアンス(法令遵守
)でもありません。敵か味方かです。ヨーロッパ本社のCEOは、日本のディストリ
ビュータから日本支社の代表の汚点と弱点のヒアリングをします。日本支社の代表は
、ディストリビュータの敵対行為を本社CEOにレポートします。」

時代は右肩あがりで、日本は経済大国でした。いい時代でした。商材があれば、利益
の額の違いだけで、だれがやっても儲かる環境でした。利権争いなので、上流から流
れてくるチャンスを拾える場所にだれが席取りをしているかがポイントです。したが
って、おいしいポジションをめぐって、どろどろの競争が展開されました。

派閥抗争や収賄、不正取引、談合など日常茶飯事で、さまざまな犯罪行為が摘発され
ないことが強者の証明でした。その筋の大物、シャドーキャビネット、政治家が儲か
る仕組みのなかで定位置をキープしていました。こんなことは間違っている、長くは
ずがないと予感した人たちは、その後のバブル経済崩壊でも、浮かび上がることがで
きませんでした。反主流も傍流も脱サラ組も、主流と一緒に淘汰の波に呑み込まれて
しまいました。

バブル崩壊より前、いまから30年も昔の話ですが、当時第一次石油危機に絡んだ談
合事件がありました。ところが公取の摘発に対して外資系で無傷の会社があったそう
です。その会社の日本支社長は同業他社の会合に出席すると、必ず会合の内容をメモ
に残し法務にまわしたそうです。もちろん談合はしないと同業者には事前に断ってい
ます。

こういう会社の経営者がいう台詞です。
「SOLID(信頼できる)か、POLITICAL(政治的)か。」

◆あとがき
どんな試験でも、時間をかけて基礎を学び応用問題を解いてきた人が合格します。試
験本番でいくら考えても、自宅学習で応用問題をこなしてきた受験生には勝てません
。勝てる受験生にとって本番の試験問題は想定内といわれてしまいます。

本番は考える時間ではなく、行動する時間といいます。勝負をする前に何通りものパ
ターンを想定し考えた人が勝ち組です。勝負は時の運ですが、選択枝は想定内だとい
うハッタリも大事です。

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