金言-134:所得格差

UFJ総合研究所、主任研究員森永卓郎氏の講演の一部をご紹介します。

1)日米の所得格差
日本では、新入社員の年収が300万円とすると、社長の年収は10倍の3000万
円といいます。一方、米国のCEOの年収は17億円、これにストックオプションな
どをいれると30億円になるそうです。米国大統領のブレーンが講演すると、そのギ
ャラは1時間2万ドルともいわれています。1年を300万円で暮らす本を書いたエ
コノミストは、ある米国企業経営者が来日したとき、飛行機はビジネスクラスかファ
ーストクラスかと聞いたそうです。米国人は、自分の飛行機で来たといい、飛行機は
成田に置いてあるとのことでした。成田を自家用機の駐機場にするといくらかかるか
と聞いたところ、1日300万円という答えがかえってきました。

2)所得格差を拡大する方法
デフレにすることです。供給過多となると労働者の立場は弱くなり、リストラを武器
にした経営者は賃下げ放題になります。成果主義が横行します。この評価方法で成功
する勤め人は、業務処理能力ではなく、上司の受けがよく、同僚の手柄を横取りし、
同僚の足を引っ張るのが得意な輩です。こうして、一部の人たちだけに富が集中し、
大多数の労働者は年収300万以下になります。最近、1億円のマンションが売れな
くなったそうです。もう日本には1億円でマンションを買う人がいなくなったのでは
ないかと、不動産の営業マンが嘆いています。高額マンションは5億円以上でないと
売れなくなっているとのことです。六本木ヒルズを歩くと、所得格差が米国並みにな
ってきていることが分かるそうです。

3)デフレ対策
供給過多を是正するために、歴代の政府は需要を増やす政策をとってきましたが、現
政権は供給を減らしてバランスをとろうとしているといいます。公共事業をカットす
ることで歳出を減らし、規制緩和で自由競争を増やすことにより、弱い企業には市場
から退場してもらいます。これには供給が減る効果があります。日本の現政権が狙っ
ているのは、規制緩和による競争激化で競争力のある企業と強い労働者のみが生き残
ることです。これによって、強い日本ができるというわけです。あるタイミングで日
銀は通貨の発行額を増やします。(13円のコストで1万円札が1枚作れます。)3
ヶ月でデフレが終わります。

4)フットワーク
デフレを止めたとき、きわめて短期間に、不動産は高騰し株価は劇的に上昇するとい
う事例が歴史に記録されています。普段からフットワークをよくしていないと、この
劇的な上昇、資産格差の発生時に、トレンドに乗り遅れ、勝ち組に入れません。キー
は竹中さんが握っているそうです。

◆あとがき
米国のカリスマ投資家の公演を2800円の授業料を払って、拝聴しました。
日本の株価を左右しているのが外国人投資家だとアナリストとかエコノミストがコメ
ントしています。本日、聞いたカリスマ投資家の話はどうもよく分かりませんでした
。話の内容は理解できるのですが、それがどうしたという気持ちになってしまします
。米国人と笑いのつぼが違うので、ジョークが笑えないというのと同じで、話が面白
くありませんでした。今年になって、米国人大物投資家の講演を2回聞きましたが、
2回とも馴染めませんでした。共感する部分が少ないのです。

ひとつ学んだことは、外国人投資家の意識が理解できないので、日本の株価動向が読
めないのは当然であるということです。

関連記事

PAGE TOP