金言-15:通勤電車の既得権

1)オーナー:KPY9さん(東京都杉並区高円寺)

2)シーン:元気がでるたとえ

2000年前、弟子に「後のものは先になり、先のものは後になる」という話をした
ラビがいたそうだが、賞味期限のある在庫でいうと「先入れ、先出し」は常識。ハン
デルズAG香港では、”first come, first out” とGerman Kidsがいっていた。

この言葉で元気がでる理由は、通勤電車で説明がつく。

満員で走っている通勤電車で、席に座っているのは、始発かターミナル駅で乗り込ん
できた乗客である。たまに、席が空くことがあるが、これも周囲の動きとタイミング
で幸運な乗客に席がまわってくる。
時々、満員の通勤電車が故障か不具合を起こして、近くの駅で運行中止、ホームで待
機する回送電車に乗り換えることがある。その時、満員電車のドア近くにいた乗客に
今度は席がまわってくる。
今まで、既得権で混雑した電車のなかで居眠りや読書をして涼しい顔をしていた乗客
がこんどは、ドアの近くでもみくちゃにされる立場になる。もしかしたら、乗り継ぎ
の電車に乗りこめないかもしれない。

これを、パブリックカンパニーに置き換えてみよう。利益に貢献する能力はないが、
太鼓持ちや先行投資的な登用の恩恵を受けて、席についた幹部がいる。彼らが企業の
構造改革によって、または自分たち自身の経営判断の誤りのため、後から来る会社に
移らなければならないシーンを想定してみたらいい。

半年前に、現在を予感して逃げ出した「チーズをさがす3匹のねずみ」は、とっくに
途中下車して、第一発見者の特権を楽しんでいる。会議で居眠りをしていた重役は、
足もとが揺れはじめてようやく危ない状況を認める。定説を前に自分はそうは思わな
いと、わがまま放題の種嶋さん。気がつくと、番犬やゴルフのお供や通訳もすでにド
アの方に動いている。

ドア付近の乗客には、次の回送電車には席をとれるチャンスがある。さあ元気をだし
て、網棚からカバンを下ろして合図を待とう。

3)執行猶予はつけたくない。

電車が故障して乗り換える場合、座っていた乗客の既得権は、もちろん次の電車では
消滅している。次の電車には運転手と車掌もいるわけで、ハンドルのない電車の運転
手のミスに、執行猶予はつけたくない。

◆あとがき
パソコンが安くなり、大手ではないメーカーから機能満載のモデルがでています。人
材も同様、大企業よりベンチャーの方にスペックの高い人が集まりはじめています。

大企業では、自分の立場を守るために全社的な仕事を増やしている輩がいます。ベン
チャーには縁のない人たちです。一方、ベンチャーには「掃き溜めの鶴」のような、
現状では「オーバースペック」な人材がいます。もちろん、大企業と比較すれば、基
礎教育とかスケールとかでは、勝負にならず、平均点では負けるでしょう。それは、
ベンチャーにはアンダースペックの部分とオーバースペックの部分が混在しているた
め、平均点を下げているからです。

地上で最大最強の恐竜が滅びたように、名のある大企業が次々と「チャプター11」
をだして、マーケットから退場しています。恐竜は無敵かもしれませんが、生存する
ためにランニングコストがかかりました。昔のアメ車はタイヤがパンクしてエンジン
が不調でも砂漠のなかを次の町までどうにか辿りつける力を持っていました。でもこ
れは、湯水のように使える豊富なガソリンの存在があってはじめて可能なことでした。

KPY1さんがいらしたような大企業が乾いた雑巾をしぼっている状況で、ベンチャ
ーの雑巾はタライのなかを泳いでいます。これからが、楽しみです。

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