金言-13:弱体なITプロフェッショナル

1)オーナー:某コンピュータ雑誌編集長

2)トラブル
毎週火曜日9:15PMに登場する無名のプロジェクトリーダーとちがって、今日プ
ロフェッショナルサービスを掲げるIT業界のITエンジニアの技術力は、オールド
エコノミーが期待するほど向上していないという。

噴出するシステムトラブルの原因は、難しいことをやろうとして発生したものではな
く、単純なミスによってもたらされている。たとえばロケット設計図の転記ミスが原
因で、間違った配線をしたまま納品し、種嶋さんの帰省先から発射したりしている。

3)求められるのはプロのエンジニア
医者・弁護士は、大学で専門的な知識を学び、国家試験をうけ、研修期間を経て一人
前のプロへの道が開ける。同様に高度な専門知識と技術をもとに顧客の問題解決に向
けたサービスの提供をうたうITエンジニアたち。彼らには大学や工業高校で体系的
な知識、スキルを得る機会がなかった。教える側の人材が教えるべき内容を理解して
いないのである。

IT業界では需要が供給を上回るとのことで、新卒を採用するが、学部学科を問わな
い。ある程度の知能をもつ人材であれば専門知識を問わず採用する。企業内で半年程
度の社内教育をして現場に投入する。メインフレーム全盛の時代はこれで機能したら
しい。

4)インド、中国、韓国の急成長
若手登用といって、二階級特進で抜擢するが、ふたを開けて見れば、株屋・アナリス
ト対策で、顧客満足度改善には役にたっていない。年配者を含めたアマチュアたちが
、易しい内容を難しく表現し、尻拭いをするベテランの仕事を増やしている。

高成長がやがてとまり、現在の人材不足が一転し余剰になったとき、遅刻常習、挨拶
もできないようなビジネススキルに欠陥をもつエンジニアたちは生き残れない。

唯一の支えである「言葉の障壁」がなくなると、人件費と能力の両面で問題にならな
いインド、中国、韓国の急成長の前に、日本のエンジニアはITプロフェッショナル
の看板を下ろすことになりかねない。

5年~10年後の子供たちは、中国や韓国に出稼ぎにいき、日本にいる家族に仕送り
をしなければならない日本を経験するかもしれない。


◆あとがき
熊本にあるIT企業の話です。
この会社は米国の大手企業の下請けをやることで、経営基盤が整い技術力もついてき
たのですが、店頭公開するにあたって、営業力がないまま技術力を頼みに、米国のお
得意様に生意気なことをいいました。

将来性に失望した米国企業の日本法人は、35%の持ち株を売却し、出向社員を引き
上げてしまいました。熊本の会社の経営者は東アジアの大きなうねりの中で、勝ち目
のない選択をしたのでしょう。

船が沈むのを予感したITネズミたちは新鮮なチーズを求めて走り始めます。

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