金言−734:木工品

サラリーマン稼業をやめ、先輩とソフトウェア会社を立ち上げたことがあります。
経済ニュースで米国の住宅着工件数などの景気指標が話題になるときに、戸建て住
宅の建設現場が画面に流れてきますが、戸建て住宅の建て方が日本と少し違うと感
じます。
米国の戸建ては、圧倒的に木造です。
我が国ではプレハブというか、あらかじめ工場で製造したパーツを現場で組み立て
る戸建てがありますが、米国の戸建ては垂木のような骨組みにベニヤ板をホッチキ
スのような電動工具で張り付けています。
よく米国のホームドラマで、中古住宅を買って、住人がリフォームするシーンがあ
ります。ほとんど木造なので、リフォームはDIYで板とペンキと壁紙を買ってくれ
ばだれでもできるというわけです。西部劇の何とかタウンのような木造住宅の伝統
が受け継がれているのかもしれません。
日本の戸建てはそうはいきません。壁や床がブラックボックスになっていて、一部
をはがして取り換えるというのは素人には敷居が高いです。
寺社建造物が朽ち果てて瓦解しないのは、いたんだ部分を取り換えるという定期的
な保守がしっかりできているからです。コンクリートと金属で造ったモノは経年劣
化で取り壊しとなりますが、木造は 痛んだ部分を補修交換して原型を留めます。
身の回りにある日用雑貨でも同じです。我が家で断捨離が一段と進む中で、生き残
っているのは木製の家具や小物です。1畳弱の重厚長大な白木の天板は、テーブル
が代替わりしてもそのまま居座っていますし、高価なコニャックの木製化粧箱も半
世紀近く、踏み台にされたり、物入れになったりしながら断捨離の対象外となって
稼働しています。
木製品は転用の自由度が高く、有事の際に残っていれば燃料になります。
火事に遭わず、津波や土砂崩れを逃れ、さらに使用者が生き残っているという幸運
な環境があればの話ですが。

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