2016年五輪の開催地が決まりました。南米初、ブラジル・リオデジャネイロに
2014年のサッカーワールドカップ開催に続く大きなイベントが決まりました。
中国では北京五輪のあと、来年上海万博が開催されます。ブラジルはサッカーのあ
とオリンピックで、これからインフラ整備などで欧米中心の投資マネーがブラジル
に流入し、そして巨額の利益が付加されて欧米に戻っていくことでしょう。
スポーツイベントでは、各種プロモーションに関連して巨額の費用が使われます。
主催者は、スポンサーから集めた軍資金をすべて期間中に使い切ります。ピーター
・ユベロスがロス五輪で商業化に成功して以来、オリンピックは儲かる商売として
人気になりました。高額なスポンサー料、サプライヤー、放映権、肖像権など金に
換わるものはすべて売りにだされ、開催時に資金に余裕のある企業がオフィシャル
スポンサー、オフィシャルサプライヤーとなり、有力メディアが独占放映権を買い
ます。
スキー人口が増加中の古き良き時代、福島県の町営スキー場に行ったことがありま
す。オープン初期であったので、係員は地元の民宿や農家の人たちがやっていたの
で素朴な温かみの雰囲気がありました。ところが、その後何年かして再び行ったと
きは驚きました。素朴な田舎の雰囲気はなくなり、従業員は商業化され効率よく金
を稼いでいました。他県からのお客さまを迎える地元住民という温かみは消え、短
いスキーシーズン中にできるだけ稼いでおきたいという都会の商人もどきに変わっ
ていました。
五輪スポンサー料やテレビ放映権の収入分配で極端に優遇されている米国オリンピ
ック委員会の悪材料、南米初という大義名分、次世代の世界経済を担う将来性を考
えると、IOC委員の選択は賢明で妥当なものといえます。7年後の世界経済のリ
ーダーが、ブラジル・ロシア・インド・中国になる可能性と、経済不況の元凶であ
る住宅・金融政策を実行した米国が7年後も世界経済の中心であり続ける可能性を
比較したとき、シカゴではなく南米のほうが、儲かりそうだとIOC委員は思った
かもしれません。
東京都民としては、2016年まで湯水のごとくプロモーション費用が使われるリ
スクが回避されましたので、ラッキーであったともいえます。