202312-496:その場その時に存在していなくても描ける

過去の事象をテーマにしたドラマや小説には時代考証という過程が必要です。ライターは実際に見たことがない過去の事象を目撃者のように描きます。
2日かけて読んだ小説は、1960年代の学生運動が背景でした。登場人物がどのセクトに属して安田砦で何が起きてその後当事者たちがどう暮らしてきたかなどが物語のなかに描かれています。
ライターが生まれていない頃の話で、当時の全学連の学生はすでに健康寿命の上限に達していますが、現役で活躍中の元気な高齢者はたくさんいますので、ヒアリングは十分可能です。
ノンフィクションとして書かれている場合は、当時を知る者にとって記憶と違う事象が描かれているとSNSなどで指摘されライターは評判を落とし、売れる本も売れなくなります。
今回読んだ本は、所々に現場にいたまたは目撃した者にとっては懐かしい出来事がでてきます。物語にほんの少し事実を加えることで、読者の共感を狙っています。
読者としては、安心安全な場所で懐メロを快適に聴くようなものであります。

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