金言−308:時給300円で年収60万円

1)退職理由
外資企業で働いていた頃、本社の幹部社員が退職すると、その理由がファクスで日本
法人にも通知されました。退職理由の多くは「この会社ではこれ以上のビジネスキャ
リアを積むことが期待できないから退職する」という本人の申し出に会社が同意した
というものでした。中には、直属の上司の方針に従うと自分のビジネスキャリアに傷
がつくから辞めるというものもありました。

2)時給300円で年収60万円
最近国営テレビの特番で報道されていましたが、就職氷河期という2000年から数
年間に就職できずフリーターを続けてきた一部の若者が、正社員を目指して中国で働
いているそうです。当時18歳から22歳の頃に正社員の就職口が見つからなかった
人たちです。コールセンターという職場があります。大企業の多くは、人件費の安い
海外に拠点を移し、日本語が話せる現地の人を採用しています。中国大連でも、日本
語を話す人件費の安い現地の中国人を採用してコールセンターを運営してきました。
最近は売り手市場のために、設定した賃金で中国人を雇用するのが難しくなってきま
した。この隙間に日本の人材派遣会社が日本人フリーターを送り込んでいます。日本
の若者が時給300円で大連に住み、日本国内の見込み客にセールスの電話をかけて
います。1年以上現地で暮らし、アフターファイブは中国語の勉強をしています。年
収60万円でつつましく暮しているようです。

3)採用見送り
1年以上中国で仕事をし、中国語を学んだフリーターが、本来の目的である日本企業
の正社員採用に応募しました。ところが、日本企業の採用担当者は中国でのコールセ
ンター勤務の職歴を評価しませんでした。日本企業のコールセンターで日本人と働き
、アフターファイブに中国語を学ぶ程度では、日本国内でもできることで、中国で働
いたというビジネスキャリアにはならないということでした。確かに、彼らは中国の
現地企業で中国人と同じ土俵で結果を出したわけではありません。中国人と同じ賃金
で同じような生活レベルで暮らしただけです。
日本の派遣会社が、現地人が採用できなくて困っている日本企業に現地人と同じ賃金
で日本人を送り込んだだけだったのです。
ビジネスキャリアにならないということを派遣会社がフリーターの若者たちに告知し
たかどうかは不明です。仕事が日本語を使って日本人に対する電話セールスで仕事仲
間も日本人なのですから、キャリアと評価しないのは当然のこと、仕方ありません。

4)経営者の計算
外資企業でのキャリアは、何をやってきたかではなく、これから何ができるかで評価
され値段がつきます。応募者の直近の実績が即戦力となる分野ならそれなりの成果が
期待できると経営者は計算するはずです。しかし、そこそこのキャリアぐらいしか持
っていないような採用担当者に評価され門前払いされるのは、少し腹立たしい思いが
します。でも、応募者の後ろにはだれもいませんが、採用担当者の後ろには経営者が
いますから、対抗できないといったところでしょう。

◆あとがき

父が精神力と体力がともに最盛期のときは、子はまだ若くて実社会での経験もほとん
どありません。子が最盛期に達したときは、父はもう老いて判断力も気力も子に勝る
とは思えません。子は、父がいなくなって初めて父を超えることはできないかも知れ
ないと自分の限界を感じます。もっと父と話しをしておけばよかったと考える反面、
本当にアドバイスが欲しかったときに父は子にアドバイスができただろうかとも考え
ます。

政治の世界では、結局政権を投げ出して美しい国という美学を貫くことができなかっ
た指導者から、丁寧に課題に取り組み結果を出すかもしれない指導者に替わりました
。同じ年齢で就任した因縁もあり、子は父と歩いた道をなつかしく思っているにちが
いありません。

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