金言-216:やはり勝ち組

某個人投資家のアドバイスをご紹介します。

1)勝ち組側の優位性
勝ち組が勝ち続けている間はビジネスが成長を続けます。技術関連なら最先端の情報
と需要に触れることができ供給に関与すれば業界で勝者の地位が確保されます。投資
家は投資による果実を手にすることができます。

2)負け組側の弱み
負け組が一発逆転で勝ち組になるというのはレアケースです。通常は負け続けること
になります。負け組のリーダーと付き合うと、仕事が増えることはありません。突然
、リーダーが机をひっくり返し事業撤退と叫んだり、勝ち組に買収されたりするリス
クがあります。占領軍のリーダーと新たな良好な関係が構築できれば問題ありません
が、たいがい進駐軍は自分の子飼い(なんとかチルドレンもどき)を重用し、新体制
化では旧負け組の資源は使い捨てとなります。

3)負け組の魅力
負けるとわかっていても、負け組とは付き合いたくなる不確実な(悪意の)魅力があ
ります。
勝ち組との取引ではコスト削減が徹底していて利幅が少なくあまり儲からないかもし
れません。一方、負け組は勝ち組より甘い取引条件を提示しなければならないという
弱みがあります。

ある温泉旅館の例:
この旅館は債務超過になり運転資金が足りなくなりました。買掛金の支払が滞ります
。しかし旅館の商売は続けなければいけません。そこで、新たな仕入れ先を探します
が、新規の取引なので仕入れ価格は割高になります。
納入する業者としては新規顧客でかつ利幅が多いので利益の取れる魅力的な取引とな
ります。しかし、本当に売掛金が回収できるかどうか不安が残る(リスクが高い)取
引です。

4)負け組はさらに負ける
負け組がたとえば温泉旅館だとすると、その旅館の用度係は高値で食材を仕入れなけ
れば取引してくれる業者がいなくなってしまいます。そうすると、となりの旅館に比
べて原価率が高くなり薄利となります。仕入れ価格の優位性がないので価格競争で負
け、お客さまが増えても儲けることが難しくなります。みかけは繁盛していても儲け
が少ないということになり、経営は苦しくなり、撤退、売却、買収は時間の問題にな
っていきます。

高値で仕入れてくれる取引先は納入する側にとっては利益が取れる良い顧客ですが、
いずれ取引は消滅してしまうリスクがあります。消滅したらまた次の負け組を探しま
すか。これにこりて勝ち組についていきますか。ところで勝ち組のスピードについて
いけるだけの体力がありますか。負け組と付き合ってきて、勝ち組が要求する体力を
蓄えることができましたか。

5)勝ち組はさらに勝つ
勝ち組に納入している業者は、厳しい価格の要求に応え利益確保のための努力をしな
ければ生き残ることができません。価格を下げるようにいわれたら、その製品の付加
価値を高めれば対抗することが可能です。製造コストを削減すれば利幅を確保するこ
とが可能です。そういう努力を繰り返すことにより生き残ってきた納入業者には体力
がついて、より強い企業に成長していきます。体力のある強い納入業者に支えられ納
入先の勝ち組の優位性はますます確かなものになっていきます。

勝ち組の勝つための厳しい要求に応えるたびに、サプライヤーには体力がついていき
ます。一時流行した「WIN WIN」の関係です。

今年こそは、妖しい材料を振りまく負け組リーダーの魅力の惑わされることなく、経
営基盤のしっかりした勝ち組のリーダーについていきたいものです。

◆あとがき
このメルマガ創刊時に、某SIerで机を並べていた先輩方と先週お会いする機会が
ありました。2001年12月の創刊なので、あれから4年経ちました。

当時、ITバブルがピークを迎え、未上場企業の経営者は上場を急ぎました。いわゆ
る一攫千金は無理としても、株式上場の恩恵に従業員も与れることを期待していまし
た。世の中それほど甘くないといいますか、従業員として上場企業に勤めているとい
う名誉はいただきましたが、それだけだったような気がしました。上場前後1年ほど
で、金を稼ぐ優秀な人材は社外へ流出し、上場益の分け前を期待した幹部社員、無策
な従業員と流出先がたまたま見つからなかった従業員が残りました。

先週お会いした先輩方は、上場後利益確定の売りを選ばれたようです。

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