金言-953:清濁併せ吞む

「清濁併せ呑む」とは、「心が広く、器量が大きいこと」を意味する言葉です。この言葉を初めて耳にしたのは商いの現場でした。大事な局面では常に結果を出し会社の利益に目に見える貢献をし、取引の際には大きな裁量権を行使する上司が発した言葉です。裁量権が大きいので、近くにいるとどうしても粗さが気になってしまいます。裁量権の範囲をこえ濫用、いいかえると公私混同、さらには横領着服で御用となりかねない無法な行為が混在します。そういう場面で、力のある上司は「わかっているな」「清濁併せ吞むということだ」と周囲の不安を吹き飛ばします。コンプライアンスより目先の利益が優先する現場の話です。悪さが週刊誌の記事になれば、経営陣が記者会見をすることになります。

元気で機嫌のいい金魚は盛んに底砂利を口に含んでは吐き出す行動を繰り返します。先祖のフナのDNAを継承して、金魚も底砂利や餌や汚物など口に入るものはすべて清濁併せ吞むをやっています。ヒトも雑食ですから、いったん受け入れて良否を瞬時に判断し、いいものは消化しダメなものを吐き出します。既知のモノだけで暮らしていけなくなれば、未知のモノを試さなければいけません。

想像するに、あの上司は懐が深くて頼りになる人物であることを証明する方法論として、ダメなモノ悪いモノ使えないモノを気持ちよく取り込んでいたに違いありません。もちろん、口に含んで具合が悪ければ問答無用で吐き出します。金魚と同じです。金魚が小まめに小石を含んでは吐き出しているのを見ていると、勉強になります。

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