金言-910: サザエさんを見ていますか?

ブルーマンデー

4月入社の新卒新入社員の皆さんは、試雇用期間中で目下各種研修に日夜精進していることと思います。
金曜の夜が来るのが待ち遠しいか、それともあっという間の1週間か、ひとそれぞれです。日曜の夕方、一家団欒でサザエさんを見ると、少し親の気持ちがわかる気がするはずです。また明日から仕事だという気持ちです。もちろん、休日のガス抜きを忘れるほど月曜が待ち遠しいという勢いのある新人もいるはずです。成果主義で結果をださないと段ボールひと箱抱えてオフィスを去ることになる環境で働いている勤め人先輩方は、サザエさんを見なさそうです。見る余裕がないというよりは、見える世界が違います。

ある上場企業の研修の話です。勝ち組IT企業で新卒採用に悩まされることなく厳しい入社試験を合格して内定研修も真面目にクリアしてきた新入社員の研修をしています。各課題を全員が100点満点を取るまで追試験を繰り返すそうです。私はホテルマンから勤め人稼業を始めましたので、全員100点満点という雰囲気には縁がありません。課題にたいする解は一つではなく、1+1≠2の世界で、顧客満足という正解のない業界で大人の仲間入りをしましたので満点ではなく期待される忖度を学習しました。オーナーの意向で現場研修は転職するまで15年間続きました。まだ商いが続けられているのはあのカリスマオーナーのおかげです。

全員満点必達はIT業界特有の事情があると察します。高額で導入するのに時間とカネがかかるITシステムは目に見えないので、導入するかどうかは開発担当者の信頼性が重要な指標になります。何万行ものプログラムでもたったの1行のプログラムでも、シングルバイト1文字間違いがあれば正常に稼働しません。全く動かないか誤作動するので100%正解以外は、まったくダメということになります。

自分なりの経験では、SIerの会社案内を作成したとき、校正を見た事業部長から「全然ダメ」と言われたことがあります。直接会って話を聞くと、たった1か所表現に違和感があったそうです。単語1個差し換えたら、「全く問題ない」と返ってきました。研修生全員が100点満点をとらなければ研修は全くダメだという理屈です。古き良き時代のサザエさんファミリードラマには存在しなかったシナリオです。

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