金言−415:暗黙知は盗めない

その道のプロ、マイスター、匠、大御所、神様などと呼ばれる人たちは、本人にし
か意味のないアナログな知恵を財産として所有しています。

「教えない、学べない、だから盗め」といわれますが、盗まれる本人たちは、盗ま
れることに危機感を持っていない人が本物だと思います。本物なら、簡単に盗める
わけがありません。本物なら、盗まれても、財産をすべて失うことはありません。

IT技術とか特許とか、工業製品、ビジネスモデルとかは、仕様やアイデアを盗まれ
ると優位性がなくなってしまうものが多いですが、アナログの暗黙知は、本物であ
れば、心配ご無用ということです。

暗黙知は、その人にとって、特定の場所で、その時に身につけたもので、それゆえ
に意味と価値があるものです。第三者が別の場所で別のタイミングで異なる環境で
取得しても、本来の価値はコピーできないでしょう。

ベテランやトップセールスマンは、成功の秘訣を聞かれても明確に答えません。な
ぜ成功したかは、理屈では説明できないようです。反対に、失敗事例の場合は饒舌
になります。言い訳が次々にでてきます。

今では、成功事例を後講釈で説明する必要はありません。結果で評価する会社なら
、結果だけを評価してもらえればいいので、成功するための仕掛けを開示したら損
だと思います。情報共有は結果主義の評価制度では、うまくいきません。横並びで
平等に利益を分けるという制度ではありませんから、自分の狩猟場は、公開しませ
ん。

狩猟場を公開せず、独自の仕掛けは秘密にし、知恵の共有は拒みます。そして暗黙
知には漏洩の心配がありません。その人だけに意味のある知恵ですから、他人が盗
んでもアナログなゴミとなるにちがいありません。

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