昔、東京湾の埋め立て地で「世界都市博覧会」というイベント計画がありました。
そしてこのイベントを中止するという公約を掲げた候補者が都知事に就任し、博覧
会は中止になりました。
ただし、開催に向けて私企業は先行投資をしていました。たとえば、開催会場予定
地にホテルがふたつ建設されていました。一つは、イベント中止で集客の見込がた
たず、開業を見送りました。もう一つのホテルは予定どおり開業しました。
ここで明暗が分かれました。
博覧会が中止されたにもかかわらず、埋め立て地に開業したいくつかの複合施設が
大人気となり、にわかに活況を呈し、そのおかげで開業したホテルは特需の恩恵を
受けました。
開業を強行したホテルの経営陣は、開業時のビッグイベント中止で集客の期待がで
きないため、赤字を覚悟しました。そこで傷口を広げないためホテルオープン時の
幹部スタッフのコストを削減しました。業界でささやかれたのは、一流ホテルの
2流3流のスタッフを採用して人件費を抑えたということでした。
(大手ホテルから転職したホテルマンは2階級特進のポストを手に入れました。)
開業すると、このホテルは大化けし連日たくさんのお客さまが足を運びました。会
社としては、想定外のうれしい誤算であったことでしょう。一流ホテルの即戦力の
スタッフをヘッドハンティングすることなく、大盛況となったので、粗利益は膨ら
みました。
もちろん、ホテルが話題になり、人が集まり、儲かるとすべてが吉となります。ス
タッフのモチベーションは上がり、シェイプアップされ、人材育成が急速に進み、
すべてめでたしめでたしとなりました。もちろん営利企業ですから、儲けに貢献し
た部門長は業界でも高い評価を受けます。過去のキャリアとか出身ホテルとかは問
答無用です。優秀なホテルマンに成り上がったわけです。
今月スタートした「ホテルコンシェルジュ」の撮影場所を見て、昔のことを思いだ
しました。
もうひとつ、昔は「アシスタントマネージャー」と呼ばれた職場でありました。外
資ホテルが増えて名前が変わったようです。
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