金言-245:当事者の記録

1)国記
古事記・日本書紀が記録する時代に、時の権力者であった曽我一族が編纂した国記・
天皇紀は、大化の改新で、焼失したといわれています。
いつの世も、勝者はその支配の正当性を歴史に記録します。曽我氏が滅びていなけれ
ば、奈良時代以前の日本史は、現在伝えられている内容とは異なる内容になっていた
に違いありません。

2)社史
企業が50年、100年と存続していくと、社内で社史編纂が記念行事のひとつに加
えられます。大手印刷会社には、得意先の社史編纂を請け負う部門があります。
現在の職場の基礎となった過去の功績や出来事を学び、現在の社業に励むための教訓
が社史に記録され、将来へ伝えられます。

3)適正評価手続(due diligence report)
企業の吸収・合併などでオーナーが替わると、あらたに創業時から社史編纂をするこ
とは難しくなります。新しい大株主にとっては、取得した企業の創業以来の歴史より
、現在と近未来の商売を法的に拘束する過去の商慣習・約束事や契約、負債などが気
になります。
M&Aの際は、適正評価手続(精査)が行われます。ここで、グローバル企業なら、
各国に調査員を派遣して、徹底的に対象企業の中身を調べます。その結果、隠れた瑕
疵が見つかると、M&Aは不成立となりますが、精査した資料(企業秘密を含む)の
内容は、M&Aを仕掛けた当事者に伝わってしまいます。ブラックボックスがなくな
ってしまうので、その時点で企業は、コーポレートイメージの変質を避けることがで
きなくなります。

4)当事者の記録
記紀であれ国記であれ社史であれ、勝者が編纂する歴史にかわりはありません。した
がって、編纂時の勝者が過去の勝者を選択し、彼らの行った意思決定と結果に評価を
与えます。敗者となった当事者の存在は、不当な評価を受け記録から削除されるか、
簡単な記述で処理されます。
最近出版された、某企業の内幕をレポートした書籍に、筆者の足跡が1行記載されて
いました。筆者が在籍した期間は、この企業にとって暗黒時代とされています。頻繁
なM&Aの中で生き残ったグループが、当時の顛末を総括する立場にあるので、きわ
めて当然な評価です。そして、敗者は、事実を多く語りません。別の選択肢があった
ことを詳細に述べることは、敗者の言い訳に聞こえてしまうことを嫌うからです。
しかしながら、モチベーションがいくらか残っているなら、当事者がきっちりと記録
を残すことにより、当時の出来事から何らかの教訓を得ることも可能です。

◆あとがき

梅雨明けが7月31日と8月1日では、商売に差がでるそうです。過去、梅雨明けが
遅れて8月になった年は、冷夏で農作物は不作、行楽地は利用人員が減少、クーラー
などの夏物家電と夏物衣料が販売不振とのこと。さらには、猛暑の翌年が冷夏の場合
、その翌年は大地震が来るともいわれます。阪神大地震がこのケースでしたが、その
数年後に同じ猛暑冷夏のパターンがあった翌年は無事でした。今年の8月は猛暑との
ことで、猛暑冷夏のパターンにはならないようです。

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