金言-228:老壮青

1通のメール
2大政党制下で、時には斜に構えて軌道修正を促し順法精神を発揮して存在感をアピ
ールするべき集団が壊れてしまいました。この集団の執行部が「若さだけでは大きな
過ちを防ぎきれなかったという大きな反省があるとして、これからは、いわゆる老壮
青が一丸となって、再生に向けて取り組んでいく姿勢を示すことが何より重要だ」と
自らの軌道修正を発表しました。たった1通のメールを掲げて、「東大卒、大蔵官僚
」というエリート集団出身の青年が演じたドラマは、所属組織を壊し競争相手の優位
性をさらに補強することで幕を閉じます。

年功序列が見事に機能していた頃
次期総理大臣の椅子に一番近い人物が、国会議員の70%が自分より年長者であるこ
とを理由に就任を断ったという時代がありました。この時代、年功序列が機能し日本
は右肩あがりで経済発展をしていました。いずれ特権を味わう順番が必ずまわってく
るという仕組みの下で、青年は年長者の特権を受け入れていました。これがいわゆる
エイジグループです。力のある国会議員でさえ、年長者の無形の力には勝てませんで
した。

若手登用
バブルがはじけた後の10数年間で、年功序列が廃れました。それまでは外資の特徴
であった成果主義が、ベンチャー企業から始まってオールドエコノミーの大企業にま
で浸透していきました。年配の経営者は、先行投資として現在の価値よりも10年後
の価値に注目し、即戦力の控えの年長幹部を退け、中間管理職の青年を経営グループ
に登用を試みました。若手登用=企業の優位性というトレンドになりました。

団塊の世代の復権
年長であることが本人の価値向上の重しになっている昨今、もしかしたら、本来の能
力主義が見直されるかもしれません。来年から定年退職者が大量に発生します、この
人たちに、団塊の世代の存在力を再びアピールするチャンス到来です。体力も時間も
限界があるので、力仕事は効率が悪いです。体力と時間と金と、そして聞く耳をもっ
た経営者にとっては、かつてビジネスワールドで欧米と戦い、アジアの工場で汗を流
した往年の企業戦士は、小僧たちより金になる人材です。

たった1通のメールで勝負して、玉砕した青年のおかげで、捲土重来、天下大乱、新
佛出現となるかもしれません。野党の弱体化は日本株の買い材料です、外国人投資家
をしのぐパフォーマンスを、団塊世代の個人投資家に期待しています。

◆あとがき

コスト削減の目的ではなく、幹部社員の地位保全と秘密漏えい防止(見られたくない
影の部分を、部下に見られてしまうリスクを軽減するため)のために派遣社員を便利
に使っていたベンチャー企業がありました。この会社と取引していた派遣会社の担当
者は印象的でした。12歳以上年長の相手と互角に取引をしていました。関西の有名
私立大学社会心理学部を卒業して2年目というこの若者は、年長の登録社員を企業に
派遣し、派遣先とのトラブルには、早朝深夜問わず派遣社員の相談にのり、しかるべ
き指導と取引先への対応をしていました。

社会にでて2年だというのに、10年以上勤め人を経験している取引先の窓口責任者
を上回る管理能力を発揮しています。いろいろ理由をつけて、この若者を呼び出し本
人の成長の秘密をさぐりました。特別な仕掛けはありませんでした。目的意識がより
高く、日常まめに働いているということでした。年少者を対等に扱う奇特な取引先が
いたこと、これは本人の良運です。

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