イージス艦「あたご」の事故関連で主任大臣が国会などで公言している内容は、日
曜夕の笑点大喜利のようなものです。しかし、あのような稚拙な答弁では、大臣の
座布団は山田君にもっていかれてしまいます。昔この笑点に現職の国会議員が出演
して国会議員同士で大喜利をしたことがあります。落語を本職としている人たちよ
りはるかに巧妙な話をつくっていました。いかに急場をしのぐ言い逃れができるか
が議員の寿命を延ばす技のようです。そういう意味でも、あの51歳の大臣はまだ
まだ修行が足りないなと感じました。
短命に終わった前総理大臣は、支持率を低下させる一因であった複数の農水大臣を
適切に罷免できませんでした。今の総理も今回「あたご」で下手な言い訳をしてい
る大臣を罷免しないといっています。民間では、不祥事が明るみにでるとトップが
辞任するのがお約束になっています。不祥事をおこした会社の是正は、それを未然
に防ぐことができなかった経営陣には任せないというのが市場の答えです。
危機管理やコンプライアンス上、不祥事に対して断固とした意思決定をすることを
平常時に決めている組織が、いざ本番では、当該不祥事を例外または特例案件とし
て扱い、問題解決を先送りすることがあります。事前の取り決めどおりに実行する
ことで傷口がさらにひろがってしまうことを恐れるからです。
株式投資と似ているところがあります。買った後で下がることが多い昨今の相場で
、ロスカットを設定しても、その価格で損切がなかなかできません。理由は、損切
した後に上昇することが多いからです。損切するのは我慢できないくらい下がった
ときで、その時点で、セリングクライマックスを迎え、市場には売り手がいなくな
り、下落が止まり反転します。相場が急落している非常時に、平常時に決めた損切
価格まで下がっても、じっと嵐が通過するのを待ってしまいます。嵐が接近してい
るときに無策で、じっと篭城するから、結果として被害が大きくなってしまいます
。嵐は必ず通り過ぎます、しかし、致命的な被害を受けてしまうと復活が困難にな
ります。もちろん、想定できる脅威に対して堅固な守備体制が敷かれていれば、台
風一過の晴天をすがすがしく迎えることができますが。
大臣罷免も損切も、一切例外なしで、あらかじめ設定した条件に到達した時点で情
状酌量なしに自動的に発動することができるようになると、リスクが軽減され意思
決定が安定するようになります。意思決定者にとっては、一定レベル到達で切り捨
て、新たな未来の可能性により集中することができるというメリットがあります。