第四部 異業種=情報処理産業
2003年6月1日創刊

■はじめに。
1980年代、当時全盛であったミニコミ誌には縁がなかったのですが、20年後の現在、インターネットのおかげで、個人でもメディアを持つことができる時代になりました。デザイナー・イラストレーター・コピーライターのプロがはきだす紫煙の中で創りあげられてきたクリエイティブな世界に、遠慮がちに踏み込むことにいたしました。

これまでの人生の中で培ってきたことを、WEBを活用して情報発信してまいります。それに触れると、触れたその人のデシジョンが将来変わるかも知れない。これが価値ある情報です。

本編では、異業種であった情報処理企業に転職した5年間の総括を、フィクションとして紹介します。

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No.93 03年5月31日

第4部 異業種=情報処理産業

はじめに。

2001年8月25日に第一部を創刊して以来、おかげさまで一度も欠刊、休刊することなく続けてまいりました。あらためてウェブにて御礼申しあげます。

第一部では、15年勤めていた大企業本社スタッフの将来性に見切りをつけ、外資に転職するいきさつを振り返り、第二部では欧米を拠点にしてバブル日本の絶頂期を楽しみ、第三部ではその後にやってきたバブル崩壊での後遺症をかかえながら、再起をはかっていた時期を回想していました。

第4部の内容。

本編では、ITバブルのおかげで潜り込むことができた、情報処理産業の会社でのノンフィクションを個人情報やインサイダー問題に抵触しないように紹介していきたいと思っております。

上場を目指すIT企業に転職した経緯と異業種での新たな出会いを中心に話をすすめてまいります。異業種での挑戦というよりは、まったく違う文化と行動パターンをもった人たちを紹介していきます。システムズエンジニアと呼ばれる高度情報処理技術者集団の中で出会った人たちの否定的な部分にはなるべく触れず、肯定的な側面に注目してまいります。この匠の集団の企みが必ずや、今の日本を救うであろうと期待しています。

これより、本文。

Profile: 川西専務

人材紹介会社から、ソフト開発の会社を紹介され面接に行きました。ゲームソフトを開発している会社ぐらいのつもりで、行ったのですが、会社の業務内容については話題になりませんでした。今思えば、WindowsPCを触ったこともないレジャー産業出身者にSIとか、要件定義とか、ミドルウェアとか、基盤系とかの単語を並べても理解できないと評価したからでしょう。

川西専務は、新潟のブルト-ザーが捕まった飛行機屋の取引に関与していた商社マンだったそうです。面接では欧米人との取引やパブリックリレーションズの成功体験を1時間以上、歓談のような形で楽しみました。人事権をお持ちということで、専務と話をしただけで幸運にも採用が決まりました。

川西専務が面接を終えるときに、給与の希望額をきかれ、お任せするとお答えしたら、「安売りはしない方がいい」とおっしゃいました。翌日、16日付け採用との電話をもらったときに、1日付に前倒しもお願いしてしまいました。待遇も良く、振り返れば、当時はITバブルが花開いた時期で、例外なく上場を目指していた会社でした。

川西専務のご紹介は、あらためて来週にさせていただきます。まずは、このような感じで、第4部をすすめてまいりたいと存じます。お付き合いのほど、よろしくお願い申しあげます。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: 梅雨時はアジサイのフラワーパワーで・・・

植物から気をもらうというのは、東洋・西洋の両方にあり、花そのものを飾って心を癒したり、また花の香りを使うアロマセラピー等はよく耳にするところですね。さらに、同じ種類の花でも(バラのように)色の違いによって受ける印象が違うことから、花は色にも多大なパワーがあるともいわれています。

例えば、鮮やかな黄色をした大輪のヒマワリは見ているだけでその花のエネルギーがバテた体に新しい元気を吹き込んでくれるような気持ちになりますし、梅や桜の淡いピンクは、心が穏やかで楽しくなってくる感じがします。そして、もうすぐやってくる梅雨時ですが、これにはやっぱりアジサイが一番ではないでしょうか。青紫色の花が、しっとりと雨にぬれて咲いている姿は、とても風情があって心の緊張を洗い流してくれるようです。

青と紫の色は、いずれも精神的な疲れや、緊張を鎮める作用をもっています。目の疲れや、過度のストレスを抱えた人にはうってつけなのかもしれません。「梅雨はうっとうしい!」とイライラしていないで、アジサイの花を目に着く所において、落ち着きを取り戻してから気分もあらたに仕事にとりかかりましょう。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

社会人になって最初の職場が都市ホテルの現場であったため、またその現場が長かったため、いまだに接客業は気になる商売です。

最近、高級レストランではありませんが、名のあるレストランチェーンやコーヒーショップで目に付くことがあります。それは、サービスの質が低下したことです。30年以上前から、飲食サービスは配膳会やパート、アルバイトのウェイター、ウェイトレスが仕切る世界になっています。ところが最近は、サービスができる人が少なくなりました。サービスの基本が、サービス業で軽視されているような気がしています。飲食業の職場長は、キャッシュフローや経営の効率化を優先課題にしているようです。その反面、キャッシュフローとは無縁な公務員のサービス内容が向上しています。役所の窓口では、やさしく丁寧に根気強く説明してくれます。もしかしたら、市民を失望させる公僕は、同僚から負の評価をされて職場を追放されるという危機感をもっているかもしれません。

先日、私鉄の定期券を駅の窓口で購入したとき、「ありがとうございました」といわれてしまい、びっくりしました。

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No.94 03年6月7日

本編では、情報処理産業の会社でのノンフィクションを個人情報やインサイダー問題に抵触しないように紹介していきたいと思っております。システムズエンジニアと呼ばれる高度情報処理技術者集団の中で出会った人たちの否定的な部分にはなるべく触れず、肯定的な側面に注目してまいります。この匠の集団の企みが必ずや、今の日本を救うであろうと期待しています。

Profile: 川西専務

会社創業時から高度情報技術者集団のなかで技術者ではなく管理者として活躍された方です。

上場に向けて、経営基盤の確立に注力。その集中力と緻密さは、非常にすばらしく、目がさめる思いがしました。もちろん、決裁を受ける立場としては、ハードルが高く、このハードルを越えないと社長決裁には届かず、廃案となってしまいます。

ある時、川西専務が次期社長候補として話題になったとき、社員の掲示板に、「あの人が社長になるなら会社を辞める」と書き込んだシステムズエンジニアがいました。その後この流れはとまらなくなり、折からのIT業界のバブルが専務には逆風となりました。SEが慢性的に不足し、技術者が確保できればいくらでも売上が上げられるという現場の声が聞こえていました。そのような中で、SEの兄貴分のような輩が、専務の目の届かない現場を肩で風を切って歩くようになりました。

川西専務のデスクにいくと、彼は必ず笑顔で迎えてくれました。直属の上司ではなかったので、後々リスクにはなるのですが、専務の笑顔が見たくて、一日一回は、相談にいったり、報告したりしました。ガス抜きと称して、定期的に一杯飲む機会をつくってくれていましたので、人となりを知るファンは少なくなかったのでが、手抜きする社員や能率の悪い社員にとっては、近寄りがたい人物でした。この専務が上場寸前まで、会社の意思決定の重要なカギを握っていました。

以後、本編の各場面に登場にされます。

次回は、専務の秘書の新川さんをご紹介しましょう。

◆あとがき

街ではマスクをした人がいなくなった映像とともに、SARSが沈静化しているとアジアの大国は報道をはじめています。今回のSARS禍のおかげで、先進国と同レベルの衛生環境構築も、きっと指導者の課題に加わり、GDP7%増の競争力を間違いなくつけていくことでしょう。今、中国が旬です。Gentlemen, start your engine!

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No.95 03年6月14日

Profile: 新川さん、川西専務秘書。

30代以下の若いSEとSEのたまごに混じって、社員の信頼性の平均点アップに大変貢献されている方です。高度情報処理技術者集団にあって、頼りになるお姉さんという立場でしょう。

川西専務は業務内容と成果には妥協をほとんどされない方ですから、秘書としてかなり気をつかわないと、勤まりません。前職は外資とききました。もちろんきれいな英語を話します。偶然この外資の会社とはドイツで仕事をしていた頃取引があったので、その辺で身近に感じました。

勤怠が非常によい方です。就業規則では9時出勤ですが、9時過ぎに出社するSE小僧たちが多い中で、通勤電車がもっとも混雑する時間帯に出勤します。事業部長自らが重役出勤をするので、朝はだれもいないという事業部もありました。9時30分前に出社すると、電気をまずつけます。その後、9時までの間、社員からの電話が数本入ります。内容は同じで、「電車がおくれた」「体調不良」などで遅刻の言い訳です。でも遅刻するという電話をしてくるのはまだいいほうで、中には個人でフレックスタイムを実施しているのもいます。

病院立ち寄りで11時過ぎに出社してきた社員に声をかけました。「酒井さん、大丈夫?」

これは大人の世界ではおきまりの挨拶で、「ご心配おかけしました、大丈夫です」とかの定型の返事がかえってくるものです。ところが「大丈夫だから、出社しました」と返ってきました。確かにこの子は質問に答えていますが、喧嘩をうっているようにも聞こえます。顧客のサイトで仕事をしていて、お客さまから声をかけられたとき、きっとこのような返事を日常しているのでしょう。川西専務は一部始終を聞いています。しかし、社会人としての常識を専務が教えるわけにもいかず、といって、秘書が注意したら角がたちます。この酒井さんの上司は重役出勤で、部下の勤怠や常識には関心はありません。関心があるのは、受注したシステム開発の納期と品質、担当SEの作業内容です。

このような企業風土のなかで、新川さんは社長特別賞を受賞し、海外研修を経験されました。

◆あとがき

質問:

韓国国会議事堂内の漢字表記について

先週、韓国国会議事堂を見学しました。漢字をやめてハングルに統一しているはずが、議事堂内に漢字が目立ちました。まず、議場内の議員氏名の席札が漢字です。中央ひな壇の議長席も「議長」となっており、ロビーにある会議上の表示も漢字でした。町のなかはハングル一色なのに、議員の氏名は漢字で表示しています。理由は何?

北朝鮮が1948年以降漢字廃止を決定し、また南でも1970年以降漢字廃止の方向に進んでいるとのこと。まだ完全に廃止ではないようで、少しは残っているのでしょうか?
読者の方からの回答をご紹介いたします。

答1:

韓国在住しています。

理由のひとつは、ハングル表記だと、同姓同名が多い、ということがあるんじゃないかと思います。

韓国は、苗字の数も少なく、漢字の読み方が一通りしかないため、あちこちに同姓同名がいて、電話帳を調べるときなども、非常にややこしいです。

あと、ハングルは簡単ですが、漢字はある程度教養のある人しか使えない(漢字教育は中学生以上)ため、漢字を使える、イコール、インテリ、というイメージがあります。

漢字をやめよう、というのは、漢字が外国から入ってきたものであり、韓国独自のハングルがあるんだからそれを使おう、という理由からなんですが、実際には、漢字を知っていると熟語の意味が把握しやすい、中国故事などを理解しやすいので、国語の成績にいい影響を与える、などの理由で、子どもに漢字の塾などに通わせて、漢字教育に熱心な人も大変多いです。

答2:

私の印象では、地下鉄の駅名表示や町の地名表示など、むしろ漢字を使う方向に進んでいると思います。日本や中国からの観光客を呼びたいという思惑もあると思います。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.96 03年6月21日

会社の第一印象

川西専務との面接の際、これから一緒に働く会社の印象を聞かれました。

そこで、最初に出迎えてくれた専務秘書の新川さんの印象を伝え、社員教育がきちんとされている会社の例として原宿に本社のあるレジャー産業をやっている会社を話題にしました。

その会社の社員は縁故採用が大半です。社員は会社にとっては大切な良家の子弟であり、当の本人や家族にとっては、紹介者に迷惑をかけることにならないように気をつかわなければならない組織でした。そういう緊張関係もあったのでしょうか、新入社員教育はかなり厳しいものでした。特にオーナーが早朝出勤なので、勤怠にはとりわけ配慮していました。例えば、9時出勤で30分前に出社しない新入社員に対しては、社員通用口で総務の教育担当者が、帰宅を命じ、当日の研修を休ませました。このようなしつけを3ヶ月受けるわけですから、勤怠と会社に対する忠誠心は期待されるものが身につきます。

新川さんに笑顔で迎えられ、しっかりと案内されたのでこの会社は社員教育がしっかりしていると専務に印象を伝えました。その時の専務の意外な反応が気になりました。どうやら、全体の中の一部を見ただけということを、専務はおっしゃったようです。

入社第1日目のことです。9時出社ということで30分前に玄関についたところ、入館できませんでした。ときどき、社員がIDカードで中にはいっていきますが、受付にはだれもいないので待っていました。9時過ぎに受付に人が現れました。その頃になっても、出社する社員は多くはなく、あたかもフレックスタイム制のようでした。勤怠に対する違和感はこの時から始まっていました。

1週間でわかったのは、川西専務の息のかかった社員の勤怠と、それ以外の社員の勤怠が違うということでした。これは勤怠にとどまらないこともすぐに判明しました。

第一印象は大切です。それが長期間、会社の評価に影響を与えます。そういう意味でIPOを目指して経営基盤確立を開始した会社に運良くめぐり合えたと、川西専務と新川さんの第一印象から感じたわけです。

◆あとがき

今週末は、日光旅行しました。猿軍団の舞台を見ました。入場料が高かったのですがそれよりも、意外だったのは、ステージで猿を操る調教師が栃木弁でトークショウをやっていたことでした。東照宮、華厳の滝、ワールドスクエアと観光し、振り返るとここだけ訛っていました。テレビで見ていたので、全国区だと思っていましたが、実は地方の名物のひとつという印象を受けました。

昔、鹿児島にある城山観光ホテルの幹部と仕事をした際聞いた話で、今でもときどき思い出しますが、「大阪に行くと、TVで関西弁を使っている。おかしい。自分たちには理解できない言葉を公共の放送で使っている。」そうです。(鹿児島の人が、関西弁を理解しないということも意外でした。)

特定の地方の言葉を公共の場で使ったり、営業で使ったりするということは、話題や提供するサービスがローカルであるような感じが少しします。グロ-バルな製品・サービスを関西弁で紹介されると、これはこの地方の特産か民芸品なのかという印象をもってしまうことがあります。ところどころに、馴染みの無い言葉や言い回しがはいると、それが気になってしまいます。

ともかく、東照宮の神馬の厩舎にある彫刻のいうとおり、「悪いことは、見ザル、言わザル、聞かザル」ということでしょう。(見なければ、聞かなければ、言わないのに!)

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.97 03年6月28日

1997年12月8日入社後、2回目の月曜日。

08:30~20:30 終日会議があり、事務局の一員として同席。

8:30から2時間近く続いた会議は、定例の経営会議。

その後は、ひとつの会議が終わると次の会議が始まるという、繰り返しが20:30まで続きました。この会議は月例で、各事業部の活動状況を点検というキーワードで、職場長が経営者に報告する会議体でした。久しぶりにタフな経営者の言動を目にすることができました。

この会議では、各事業部の責任者が経営者(社長)に主要事項を報告し、質疑応答があるのですが、重要な判断や決裁は通常、別に会議を設定していました。

Profile: 東副社長

会議では、川西専務は活発にチェックをいれ、このチェックをクリアしないと次に進みませんでした。川西専務が主催する直轄部門会議では、出席メンバーは必ず、意味のある発言と提案を求められます。単なる報告は嫌われました。

不思議なことがあります。この会社には代取が2人います。拒否権をもつ主要株主から派遣されている東副社長は、代表権をお持ちなのですが、筆頭株主で過半数の株をもつ会社から転籍した代取社長が出席する会議では、一言も発しません。東副社長は4年後に退任されましたが、この間、その態度は変わりませんでした。

副社長が取り仕切る部門の会議に出席する機会があったのですが、そのときの彼の雄弁さには驚かされました。引用された資料が6ヶ月前のものでした。代取が引用する資料は最新のものであるべきで、役員秘書(新川さんではありません)の怠慢と甘さを感じましたが、大きな声、明るい雰囲気、自信に満ちた内容など、とにかく意外でした。

東副社長の息がかかる部門と幹部社員が、会社の売上の80%を稼いでいます。即効性のない事業、先行投資が必要な新規事業には口をはさまず、ROE(株主資本利益率)に注目し、出資した会社から出向している立場として、利益を確保し確実に配当金を持ち帰ることに専念されていたのでしょう。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: 気になる口臭に・・・

誰かと話している時に、自分の口の臭いが気になった経験はありませんか?口臭に悩む人の多くは、胃腸の不調等の内臓疾患や口内炎、歯槽膿漏等の症状を抱えています。また、内臓疾患のために常備している胃腸薬で更に口臭がひどくなっている場合もあります。このような時には、規則正しい食生活で胃腸を丈夫にしたり、歯槽膿漏等は歯医者さんでしっかりと治してもらうのがベストです。

また、単に臭いの強いものを食べた時の口臭ならば、食後の歯磨きはもちろんですが、舌についている白い苔のようなもの(舌苔といいます)にも臭いがついている場合があるので、舌もついでにブラッシングしましょう(ブラッシングの後はレモンティーを口にふくむと、紅茶のフラボノイドとレモンのクエン酸が口臭を防いでくれます)。

ツボ療法では、胃腸の調子を整える『足の三里』のツボ(親指と他の指で『L字』をつくり、親指を膝頭に当てた時の中指の先)が効果を発揮します。胃腸が弱い人は少し強めに普段から押しておきましょう。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

今週は、去年開業した外資系銀行のスペシャルセミナーに参加しました。1200人も集まり大盛況でした。営業責任者の話や欧米人の頭取のスピーチが気持ちのよいほど歯切れがよく、この銀行は日本の大手銀行に比べて、幹部の顔が見えると感じました。

景気の気は雰囲気の気だそうです。高名な評論家のコメントより、ここに集まった銀行で資産運用しようという1200人の個人顧客がどう感じているかのほうが、意味のある指標、景気の判断材料になるといっていました。

また、リスクという言葉は危険ではなく、金融用語では可能性とよむそうです。小さな可能性には当然、もたらされる見返りも少ないということです。適切なリスク、適切なリターンを取り入れないと、生き長らえるコストを賄えないと脅かされました。説得力があり、何となくこの銀行が好きになりました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.98 03年7月5日

1997年12月12日

ThinkPadに加えて、デスクトップのパソコンが支給されました。この5年ほどMACを使っていたのでWindows95は少し勝手がちがうのですが、オフィスと自宅で、ウェブを使ってグループウェアやEメールを利用する環境ができました。携帯電話も支給されるということでしたが、緊急性がなかったので辞退しました。(その後、これという「きっかけ」がなく、会社名義の携帯電話が支給されたのは2年後でした。)

少しずつ、メールの受発信が増えてきましたが、メールでの意思疎通の文化に慣れるには、相応の場数を踏むことが必要であることを勉強させられました。

何しろ、顔が見えるところにいる社員が言葉を発せず、用件をメールで済ませようとします。よく、事務担当者がメールでもかまわないが、急ぎの用件はメールを出したと一言ほしいといっていました。また、文面を読むと、喧嘩を売っているように感じるメールが、実はただの業務連絡だったりしました

Profile: 富山さん、品質管理室

早稲田の理工系を卒業された富山さんは、ISO9001を全社展開するミッションをもち、4年かけて実現させました。当時、席が隣だったので、Windowsが動かなくなったときやウイルスチェックソフトの定義ファイル更新などでお世話になりました。

40代の富山さんの「ていうかー」からはじまる日常会話に、上司はいつも悩まされていたようです。そして会社が一番辛かったのは、ISO(アイエスオーと読んでください)の要求事項を満足するための施策の文言が、酷似していると某社(富山さんの前職)からクレームが入ったことでした。まわりからは、コピー・ペーストは、まずいよという声があがりました。この四面楚歌のような状況をいかに切り抜けたのか、詳細は不明です。とにかく、ISOの全社展開は、この会社が上場するための経営基盤強化策のひとつでありました。

もうひとつ。富山さんが書く専門分野の文章は、すばらしいものでした。文章には、高い知性を感じさせるものがありました。無記名の論文なら社内ではまず入選するでしょう。ところが、本人いわく、人前ではアガルそうで、提案なり報告をそれなりの場で発表するとなると、滅茶苦茶になります。説得力はないし、第一話しの展開が分かりにくいのです。何を言いたいのか、何を言っているのか、不明瞭となってしまいます。そういうわけで、論文は書類審査でOKでも、口頭で落ちてしまいます。技術者には、こういうタイプがいるそうです。

◆あとがき

今週は、SARSの終息宣言、2010年冬季五輪開催地決定(カナダのバンクーバー)、そして日経平均が9000円台後半まで持ち直し、「持たざるリスク」で買いが増え、広範な株価上昇を期待するという、少し明るい気分の1週間でした。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.99 03年7月12日

1997年12月27日

きょうから9日間の休暇。年末に長期の休みを経験するのは、初めてのこと。レジャー産業にいた頃は、年末年始と夏休みは稼ぎ時であったので、まとまった休みはありませんでした。

IT業界に転職したので、毎日「基盤系、金融系、システム開発、コンサル」などという言葉を耳にします。世界が違うようです。
レジャー産業、とりわけ飲食、宿泊に関わる業界の現場は、差別化や顧客満足度をいつも考えています。お客様に喜ばれるサービスを提供することがプロとして基本であり、常に頭から離れない課題でもあります。そういう世界の人間には、次のようなフレーズは別のインパクトがあります。

「顧客中心のビジネスモデルの構築に欠かせないのがCRMソリューション。多種多様化する顧客からの要求にスピーディーに対応できるかどうかがビジネスの成功を左右します。・・・のソリューションは企業と顧客との間で密接なコミュニケーションを築き、顧客に最適なサービスを提供できるシステム作りを支援します。また顧客満足度を向上し、収益向上を実現できる多彩なアプリケーション群と高い実績を持つ国外のCRMパッケージをベースに、コンサルティングから運用・サポートまで、個々の企業に最適なカスタマイズを行って提供しています。」

CRMはサービス業にとって、当然のことであり、他業界から教えてもらうことなどありません。この道ではプロなのです。ましてや、社会人として常識的なあいさつもできない、まともに世間話もできないSE小僧に、顧客サービス向上の提案などされたくないのです。売上や集客力、顧客満足は属人的な要素が非常に多いことに、高度情報処理技術者は気がつかないようです。

サービス業を選んだ人たちは、デスクワーク・ペーパーワークより接客を選んだ人たちでした。システムズ・エンジニアの道を選んだ人たちは、接客が苦手かも知れません。また、四六時中、画面に向かってキーボードをたたいている人は、生身の人間と期待されるコミュニケーションをとるには、とっさに頭を切り替える訓練に励まなければいけません。

このようなことを、IT業界で1ヶ月経過した年末に感じていました。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: ベジタリアンって、栄養的には大丈夫?

ベジタリアンとは、野菜中心の食事で肉や魚を食べない人のことをいいます。一般に欧米人に多く、なかには肉や魚だけでなく卵や乳製品でさえも一切摂らない厳格なベジタリアンの人もいます。でも、これらの徹底的なベジタリアンの人達、栄養的には本当に大丈夫なのでしょうか?

本来、人間は、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの五大栄養素がないと生きてはいけないといわれています。特に筋肉等を作るタンパク質の多くは肉や卵に含まれています。しかしながら、結論からいうと、ベジタリアンでもちゃんと問題なく生活はできるようです。まず炭水化物のほとんどは、米や麦等の穀物から摂取できるので、これは全く大丈夫です。脂質も植物性の油(菜種やトウモロコシ等)で十分にまかなえます。さらに、野菜にはさまざまビタミンやミネラルが含まれていることは今さらいうまでもありません(カルシウムだけは普通の野菜には少ないですが、海苔等の海藻類で補えます)。

さて、一番やっかいそうなのはタンパク質なのですが、これも動物性タンパク質に対する植物性タンパク質の代表であり、『畑の肉』ともいわれる大豆にしっかりと含まれています。

そういう訳なので、ベジタリアンの人達は例えステーキや卵焼きを食べなくても、米や豆腐、海藻等を食べていれば栄養的には全く問題はなく、大丈夫ということになります。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

「1984」という小説に登場するBIG BROTHERという言葉を覚えていますか。

確か、「BIG BROTHERはいつもあなたを見ている」というフレーズがあったような気がします。

今週、長崎で中学1年の生徒が犯した殺人事件の解決に役立ったのが、防犯カメラだったという報道、また、新宿に防犯カメラを設置したことにより犯罪発生件数が10%以上減少したというコメントを聞いて、学生時代に読んだ「1984」を思い出しました。

犯罪防止と今回のような事件解決の実績により、今後防犯カメラがいろいろなところに設置されることでしょう。凶悪な犯罪が横行し、市民が不安になっている現在、極めて違和感なく、カメラが設置されることでしょう。ところが、このビデオに記録されるのは、犯罪者より一般市民の方が圧倒的に多いのです。そうなると、防犯カメラは国民監視カメラの機能を持つことになります。

だれもが納得するような状況の中で、世の中が変わっていくような気がしました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.100 03年7月19日

おかげさまで、100号です。これまで辛抱強くお付き合いをたまわり、誠にありがとうございます。

創刊号から100号発行までは短い期間でしたが、転職が1回、転居は3回経験しました。といっても、結局自分で選んだことですから、「ありました」ではなくて「しました」ということでしょうか。

いろいろなことがありました。メルマガのおかげで、それらのことがらを一度は文章にすることにより、時の移ろいのなかで風化することのないように、自分のなかで捉えなおすこともできたようです。100号を記念して、虎の子の人脈の中から、ひとりの人物をご紹介させていただきます。

Profile: 津波さん

本社からの出向社員。地方都市の企業や公共団体のシステム開発での実績と人柄が認められ、本社で勤務されるようになったそうです。津波さんと初めてお会いしたのは、入社1年目の新人が主催する年末の社員パーティの会場でした。こちらは入社1ヶ月未満、津波さんは子会社に出向してきたばかりでした。

印象深かったのは、2つあります。ひとつは、口の両脇「口角」をグッと引き上げた、穏やかな笑顔です。(イメージはこちら。 http://www.whiteessence.com/column/moto/0304_02.html)

もうひとつは、浅草の「吾妻橋」から東京港にいたる「勝どき橋」までの隅田川の橋の名前や、港湾局をご存知だったことです。

異業種から転職し、前職の4年間、春のうららの隅田川を上り下りして暮らしてきましたので隅田川とか東京港、お台場のことは水上アクセスという面では知っていることが比較的多いはずでした。ところが全く門外漢であるIT業界の津波さんが詳しいことをご存知だったのです。まさかの坂のひとつでした。

実は、システム開発というのは、エンドユーザがどういう環境でどういう業務で使うのかを熟知していないとうまくいかない仕事だったのです。業務アプリというのでしょうか、とにかくコンピュータを使う現場の人たちが、ストレスなく使えないと、費用を払ってくれません。それには、システム開発の要件を正確に定義する必要があります。そこで、先方の社員と同じ程度の業務知識が蓄積されるわけです。

ともかく、SE小僧の中にあって人間味のある「第1村人発見」となりました。津波さんのお嬢さんも話題性のある方なのですが、お嬢さんとの出会いは津波さんとお会いしてから5年後の話になりますので、虎の子のファイルに残しておきます。

この会社では、数少ないオリジナルソフトウェアとしてISOの文書管理ツールを開発販売していました。パーティでお会いした後、津波さんと仕事の場でお会いしたのは、このソフトウェアの販売に関するミーティングからでした。このソフトウェアは手間のかかるソフトウェアで、導入するには全社的なコンセンサス、経営幹部の品質管理に対する積極的姿勢や、ペーパーレスに前向きに取り組むコスト削減意識が要求されることが多いのです。このような手離れの悪い商品を3億円売ろうとする産業システム事業部で、津波さんは営業部長をされていました。

◆あとがき

大手ファミリーレストランの店長さんから聞いた、30分でもいいから働きたいという近所の主婦の話です。

このレストランチェーンでは正社員、パートの区別なく、従業員は400円程度でお店のメニューの中から好きなものが食べられるそうです。食事をしたいから30分でも働きたいというのは、30分の時給で昼食の費用が相殺できるのです。パートさんにとっては、昼時に30分働けば、食事がただになるのです。

30分のパートさんは、お店にとっては従業員の休憩時間だけ働いてもらえるので都合がいいそうです。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.101 03年7月26日

あいさつをしない社員

まだ違和感があるのですが、向こう3軒両隣という顔が見え独り言でも聞こえる位置に座っている同じ職場の社員同士が、口をきかず、顔も見ず、社内メールで業務連絡をすませようとします。一声かければ済む要件でもメール発信で処理。用件依頼や連絡の記録が残り、また相手がメールを開いたかどうかの確認ができるので、便利っちゃあ便利なのですが、せめて、「メールを送ったので手がすいたら読んでね」ぐらいは、声をかけてもらいたいものです。

「社員会Q&A」に、『社員の態度』というテーマで匿名のやりとりが、1998年5月8日から9日に掲載されていました。これは、現場に派遣されている社員(SE)が本社に顔を出したときに、本社デスクに座っている社員に「あいさつ」をしてもらえないとか、本社に電話をしたとき、電話を受けた社員が名乗ってくれないとかいう話題でした。何人かの書き込みのまとめとして、「社会人としてというより、人間としてまわりへの心配り、気配りができるようになりたいものだ」と結んでいます。

この会社の6ヶ月間の新人研修カリキュラムの中には、あいさつの仕方、電話の受け方、社会人としてのマナー(ビジネスマナー)研修をしているとのことです。それが、現場に配属されるとできなくなります。現場の先輩や、古参の社員が原因となっているのかも知れません。あいさつをしなくても仕事はこなせます。多くの社員は、画面に映る自分の顔を見ながら無言で1日の大半を過ごしています。高度情報処理技術者という集団は、周囲の人とのコミュニケーションをとることがあまり得意ではない人たちが、選んだ職業なのでしょうか。

数字が全ての民間企業で、経営者があいさつを軽くみているとは思えませんが、数字を上げる過程の中には、お客さまとの接触があるはずです。お客さまにあいさつがきちんとできない社員がお客さまとの信頼関係を構築できるのが不思議です。

行列ができるラーメン屋のオヤジさんは、味だけでお客さまを満足させているのでしょうか。顔見知りの社員同士ですらあいさつができない者は、お客さまには最初のうちは注意してあいさつしていても、そのうち、野生に戻ってしまいます。初心(慣れないこと)はすぐに忘れてしまいます。(派遣先には、大きな声であいさつする大手宅配便の会社もあるのですが、見習うという気持ちがあまりないようです。)

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: 坐骨神経痛ってどんな症状?

神経の中で、最も太いのが坐骨神経と呼ばれるものです。この神経は、背骨の脊髄神経の下端から発して両足の足先まで走っています。そういう訳で、坐骨神経の痛む範囲は腰から足の指先までと広範囲なので、足先やふくらはぎが痛いからといって、足を揉んだり湿布を貼ったりしても全然治らない時には、この坐骨神経痛を疑ってみることです。

そもそも坐骨神経痛は椎間板ヘルニアによって腰骨部の神経が圧迫されて起こる時に顕著に(痛みが)現れる場合が多いのですが、ヘルニアでなくても症状が現れることがあります。おそらく坐骨神経付近の筋肉のこりや緊張、骨盤の歪みによって間接的に神経を圧迫して起こるものと考えられます。ですから、前者のヘルニアが原因の場合は最悪の時は手術をしなければなりませんが、後者の場合はおしりの周辺や、膝の裏側のツボを肘や指で少し強めに指圧したり、骨盤の歪みを矯正すれば痛みは、だんだん治まってきます。しかし、指圧の力加減が難しいのと、場所が一人でできるところではないので、ムリをせずに専門家に任せましょう。

中野坂上治療院古賀 直樹
http://homepage2.nifty.com/genkigenki/

◆あとがき
横浜ハンバーグのランチマットに書かれていた宣伝コピーをご紹介します。「お肉は本当に太るの?」太るのが嫌だから肉は食べないという人、ちょっと待って。お肉は、血液や筋肉を作るという意味でも、健康を維持するために欠かせない食品です。確かに夜遅い時間に食べた肉は、体内でエネルギーになる暇も与えられず,蓄積。肥満や胃もたれの原因となります。早い時間に肉を食べ、パワフルにその日を過ごす。ちゃんとつきあえば、強い味方になる。それが、お肉なのです。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.102 03年8月2日

企業に与える様々な脅威

1998年10月、技術論文が中心の社内論文に応募しました。技術職ではない社員には経営への提言というテーマが用意されていましたので「情報開示にともなう情報保護の補強策」についてまとめてみました。その一節をご紹介します。

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文書管理の徹底による企業防衛情報開示のうねりは、文書管理の徹底が企業防衛の必要事項となってきている。1998年1月に改正民事訴訟法が施行され、純然たる私的メモ書きや「技術上の秘密」などを除き、企業は幅広く社内文書を裁判所に提出しなければならなくなった。ずさんな管理をしていれば、「なぜその文書だけが紛失しているのか」と悪い心証を裁判官に持たれてしまうわけだ。ISO9000認証取得で要求される大量の文書管理と同様、文書管理の徹底は、単なるコスト削減だけでなく、訴訟を受けた際、企業を守る重要戦略となっている。文書管理ソフトウェアを含め、文書管理ビジネスに対する関心が今後ますます高まることが期待される。

さらに、次の事項も情報は自分で守るという大前提の条件である。
・机の上に書類を放置して離席しない。
・重要書類は鍵をかけて保管する。
・企業機密情報が含まれている書類をゴミ箱に捨てない。

これらを怠ったことが原因で事故が発生したときは、運が悪かったとか魔がさしたと言うことになるのだろうか。
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2003年8月1日、大手町にある某商社のITサービス事業部(400名)が主催した「情報漏洩の傾向と対策」セミナーに参加しました。情報漏洩対策のレベル1は、物理的に個人PCのデータ保護をすることでした。データの入ったPCの盗難防止対策が出発点です。もちろん、ITサービスの事業は、属人的でアナログな対策ではなく、システム的なソリューションを販売することで利益をあげるのですが、どうも物理的なデータ保護が盲点のような気がします。

98年に異業種のIT企業で感じた疑問はいまだに解決されていないような気がします。社員が帰宅した後のデスクには、書類が山積みされ、デスクトップPCは電源が入りっぱなし、ノートブックは机の上に残されているという状態が皆無ではありません。アクセスコントロール、情報の暗号化、情報へのアクセス履歴の記録、コミュニケーションデータファイルの保護など、ITを駆使した商売の足元をすくうのは、整理整頓の躾に聞く耳をもたないSE小僧たちであるような気がしてなりません。

大企業でまだ職場にPC1台やっと導入できた時代(PCが高価であったため)、某オーナー企業では、終業時に、各職場のファイルキャビネットを施錠させ、社員には帰宅時に机上に電話以外の物(書類、筆記具など)を残すことを厳禁していました。当時は、情報漏洩防止というより整理整頓というオーナーの厳命に社員は盲従していただけでした。今、振り返れば、やはりオーナーはたいした人物だと、再認識いたしました(他のことはさておきまして)。

◆あとがき

人人有責

先週、日露戦争後日本が40年統治した中国の地方都市に行ってきました。すぐ東側にある半島の国家が使用している文字に比べて、市内の表示物のほとんどの意味が分かるというのは、便利なものです。そこで、よく見かけたのが「人人有責」という4文字が下の句についた看板です。町のなかをきれいにするとか、約束を守るとか、いろいろな呼びかけの後にこの言葉がついています。この意味は「みんなに責任がある」ということでした。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.103 03年8月9日

川西専務と東副社長のご紹介が済んでいますので、次に社長の森村さんにご登場ねがいましょうか。森村さんは、パブリックカンパニーにすることを本社のオーナーが発表して以来、店頭公開を目指して、経営基盤の確立とか営業力強化などの施策を先頭にたって推進されてきました。

この会社は社長が3年程で交代するためでしょうか、社員は社長に呼びかけるとき「森村社長」と、肩書きの前に苗字をつけます。日常、社内では「さん」づけで呼び合っているのですが、社長本人に直接呼びかけるときは、固有名詞にします。これには違和感がありました。事業部長とか部長とかは複数いらっしゃるので、社内、公式の席では、頭に苗字をつけないと特定できません。しかし社長はユニークです。ひとりしかいません。ですから、まわりで森村社長と声があがるたびに、社長は森村さんのほかにいないのに何か気になってしまいます。

実は、前職で15年間ほど、外資とは無縁の民族企業それもオーナー企業でそこの本社に長く在籍したことがあったものですから、どうしても長年受けた社員教育がトラウマとして残っています。オーナー社長に向かって、「苗字プラス社長」で呼ぶのはご法度でした。日常社内で、オーナーの苗字が社員の口から出ることは全くありません。協力会社でさえオーナーとか親指を代用して社長を特定します。これは絶対的な権力構造のある社会では普通のことで、時代劇でお上とか上様と徳川将軍家の当主を呼ぶのと同じです。

代表権をもつ社長というのは圧倒的な権力を持つ人物と社員が納得していると思ったのですが、このSI会社では違いました。「森村社長の意見はそうだろうが、自分はそうは思わない」と、職場長は自分のテリトリーでは部下に公言します。もちろん、公式の席でも各職場長は自分の意見をしっかりと述べます。「当事業部の結論にそって会社は意思決定をしてもらいたい」とまず主張し、代表権をもつ経営者の決裁を仰ぎます。もちろん、提案が否認されたり差し戻しになったりするのは日常茶飯事ですが、認否保留はありません。

現場からあがってきた案件についての意思決定は問題ないのですが、経営者の独自の判断による上意下達は、スムーズに運ばないことがあります。例えば、森村さんの意向を受けた部下が、意思決定の会議体で森村案件を提案する際、森村さんがその会議に欠席した場合、社長の意向が無力化され継続審議になったりすることがあります。自分はそうは思わないという幹部社員が多いことがネックになるのかも知れません。

ワンマンとは別の意味で、しっかりとした経営ビジョンを持ちリーダーシップを発揮する経営者の存在を、株屋さんたちは評価するということが、IR(投資家向け広報)のひとつであることを後日知りました。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: 海の水・・・なぜ飲んだらダメなの?

長い梅雨も明けて、暑くなってきました。夏休みの海水浴で、ボートの上で寝ていたら、いつのまにか沖の方まで流されて漂流・・・なんてことはまさかないでしょうが、「船の故障で一週間もの間、洋上をさまよって奇蹟の生還」等のニュースを目にすることはたまにありますね。こんな時に、ノドが渇いたからといって、まわりの海水を飲むと死んでしまうとよくいわれますが、これは、何故なのでしょうか?

海水の塩分濃度は、わずか3.5%で、あとは普通の淡水です。しかしこの濃度、一見少ないようにみえますが、しょう油の0.15%と比べてみても実は大変な濃度なのです。

汗を舐めてみると塩辛いですね。それからもわかるように、人間の汗や体液にも当然塩分は含まれています。その中でも最も塩分が高いのは尿ですが、それでも濃度は2.2%程度で、とても海水のそれにはかないません。いうまでもなく、この尿は腎臓でろ過されて体外に排泄されたものです。

海水を飲むと、それを排泄する為に腎臓はフル稼働して尿を排泄し続けなければなりません。しかし、その腎臓自体が分解出来る限界が2.2%なのですから、海水を飲めば飲む程、体の水分ばかりが奪われて、分解出来なかった塩分だけが残ります。更にノドが渇いて・・・の悪循環が繰り返されるのです。最終的には、腎機能やその他の器官が壊れて脱水症状をおこして死に到ってしまうのです。やはり海水を直接飲むことはムリなのです。海水を飲むような状況になることはないにしろ、汗をかきやすい夏は脱水症状をおこさないよう、体調に十分注意しましょう。

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◆あとがき

残暑お見舞い申しあげます。梅雨が明けたらすぐ立秋。地震、集中豪雨で被害を受け、今週は台風がきて、うなぎを食べる暇もなく、秋を迎えてしまいそうです。ターミネーターのシュワちゃんが、ハリウッドがある州の知事選に立候補を表明しました。日本では剣道の万年青年が知事選出馬を先輩に止められて泣きました。笑顔と力を感じさせる米国には、勝てませんか。角さんのお嬢さんには、もっとがんばってほしいものです。なにしろ、「国際経営開発研究所(IMD)による1991年から2002年までの日本と米国の国際競争力ランキング推移を参照すると、2002年の日本の国際競争力は、世界の49カ国中30位(1位は米国)に下落しています。何とアジアのマレーシア、隣国の韓国にも抜かれてしまっている状況です。1992年に1位だったことから、この10年で30位にまで急落。」という状況なのですから。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.104 03年8月16日
業務提携について

1998年、まだITバブルが続いている頃の話です。米国発信の情報技術関連のビジネスモデルが毎日話題になっていました。日本の企業は生き残りをかけてとか、負け組みにならないようにとかで、コラボレーションが注目されていました。「協業」という言葉を初めて耳にしたときは、違和感がありました。同業他社と手を組んだり、得意先とパートナーという関係でビジネスを展開したりしていく気持ちを表現する際、この「協業」という言葉が、頻繁にでてきます。

ある会社とこの「協業」をして、その内容をプレス発表しようということになり、発表資料について本社広報室に確認をいれました。そのとき、協業は一般的な言葉ではないから「協力」にした方がいいというコメントがありました。今から5年前のことです。その際、「業務提携」という言葉もリリース原稿にあったのですが、これは事前に川西専務の強い指導により削除されました。理由は、上場を前にして、あたかも資本関係に影響を与えるような営業活動の発表は、株主の誤解を招く恐れがあるから、慎重にすべきであるというものでした。

残念ながら、この姿勢は大半の幹部社員には理解されませんでした。おいしい話には業務提携という合言葉が相変わらず日常的に口にされていました。その後、特定のソフトウェアとビジネスモデルを使った新規事業を始めるときに、権利金として数千万から億単位の前金を業務提携という名目でこの会社は出費します。

川西専務という怖い天敵がいなくなった後、ITねずみ小僧たちは、業務提携して前金を払えば増収増益になるという賢いアメリカ人の下手な日本語に踊らされ、公金をばら撒きはじめました。

◆あとがき
今大流行しているウイルスに感染しました。インターネットにつなぎ、しばらくすると「Remote Procedure Callサービスは異常終了したため再起動します」というメッセージがでて、いきなり再起動のカウントダウンが始まりました。このエラーの意味がわからずメーカーのテクニカルサービスの電話しようとしても、話中でつながりません。マニュアルには、トラブルの際はウェブサイトを参照するようにかかれていますが、ウェブサイトを開こうとすると再起動が始まります。電話は通じない、FAQのウェブサイトは開けないということになり、お手上げ状態になりました。

たまたまWindows98のPCでメールを見たとき、Blasterに関するメールマガジンが配信されていて、いつもなら読み飛ばすところが、上記のエラーメッセージを目にしました。全く同じエラーメッセージであったので、ウイルスに感染したことに気がつきました。原因が判明すれば後は何とかなります。手順書どおりにワームを削除し、XPは復旧しました。今回は、ただインターネットに繋いだだけでOSが感染してしまうので、困りました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.105 03年8月23日

「名刺のデザイン」

名刺の手直し、変更に、4年間で3回関わりました。

1回目は、入社1週間以内に川西専務に直接申しあげ、即決で反映されました。たいしたことではないのですが、名刺に会社のウェブサイトのアドレス(URL)をいれるというものでした。当時はまだ、インターネットが基幹業務をつなぐところまでは技術的にも成長していなかったため、会社のウェブサイトは、一方通行の情報発信にとどまっていました。インターネットが事業の新しい柱として検討される2年前のことでした。

2回目は、社名の略称(通称)がローマ字で、複数の読み方ができるという、少し紛らわしいものであったため、IPOの観点から改善提案をしました。社名変更の第一ステージと思われることを避けようとしたため、まずは、あまり影響のないところで、ローマ字のロゴにルビを振るという提案をしました。提案そのものは、大半の経営会議メンバーに理解されたのですが、「社名変更と誤解されないか」という川西専務の一言で逃げ腰となってしまいました。結局、社名呼称の改善案は、廃案となりました。経営会議の議題にとりあげてもらうには事前承認という手続きを踏んでいるため、社名変更の推進者である代表取締役が当日欠席という不測の事態になっても、上申を取り下げるわけにはいきませんでした。法人設立時に社名を決定したメンバーである専務とIPOには明解な商号による株式売買促進を考えている森村社長との間には、温度差がありました。

3回目は、社名変更、上場という場面です。社名変更は、全社的な意識変革を要求する会社の意思決定を目に見える形で表現しています。VI(ビジュアル アイデンティティ)という視点からロゴを作成し、名刺のデザインを一新しました。これは、森村さんの圧倒的なリーダーシップにより実現されました。一方、旧社名にこだわる20%程度の社員の抵抗を受けました。その抵抗勢力を味方にしようとした人物がいました。日頃、森村さんの太鼓もちをしている方ですが、子分にしようとした若者たちに、将来ロゴマークは変更する、社名はまた変えればいいとリップサービスをしました。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: かき氷を食べていて頭が痛くなるのは何故?

今年の夏は冷夏で、かき氷やアイスクリーム等の冷たいものを食べる機会はあまりないかもしれませんが、それにしても何故、冷たいかき氷を食べて頭がキーンと痛くなるのでしょう?

この頭が痛くなる現象・・・これは病気ではなく、一過性の頭痛としてみられます。頭部には、呼吸や体温の調節など、生命維持に必要な神経がたくさん通っています。その中に、『三叉神経(さんさしんけい)』という頭と顔の大部分の感覚と咀嚼を司っている神経があります。冷たいものを食べて頭が痛くなるのは、この三叉神経が冷たい刺激を受けたことによって、鼻の奥にある副鼻腔の粘膜の血管を急激に収縮させるからといわれていますが、本当のところはまだよくわかっていません(収縮性と考えられるのは、熱いもの食べてもこの反応がみられないから)。

ところで、頭が痛くなっているまさにその時は、「冷たい」感覚が「痛い」感覚に間違って変換されて伝わっている時なのです。そこで、おでこに更に冷たい刺激(食べているかき氷の皿を押し当てる等)を与えると、三叉神経は改めて「冷たい」刺激を受け取り、痛みがまぎれてしまうそうです。暑くなってかき氷を食べる機会があれば、ぜひためしてみましょう。

中野坂上治療院
古賀 直樹
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◆あとがき
この1週間、暑い日が続き、気温と株価が上昇しました。この夏は低いのに体が慣れてしまっていたのでしょうか、暑いからといってすぐ海に行く準備ができていません。日がでれば光化学スモッグ警報が発令され、紫外線が危ないとかで、野外での活動に二の足をふんでしまいます。こういうときに、海・山・株式でしっかり稼ぐ人は、ごりっぱです。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.106 03年8月30日

「会社設立」

近況報告です。本編で紹介させていただいておりますシステム開発会社で培った人脈を資本にして、今回は転職ではなく、創業にチャレンジすることにしました。9月中旬法人設立をターゲットにしています。手続きを進めていくなかで感じたことを紹介させていただきます。

1)法務局の出張所

まずウェブサイトを検索し、法人設立方法の概要を調べました。どうやら手続きは素人でもできそうなことがわかりました。類似商号のチェックで、法務局の出張所に行きました。数ヶ月前に都税事務所に相談に行ったときと同じで、官庁の敷居が低いことがよくわかりました。事務所は明るくもなく、きれいでもなく、笑顔であいさつもないのですが、質問には、丁寧に応えてくれます。法令書式の販売店まで教えてくれました。

2)文具店

法務局の目の前にある文具店で法令書式セットを5880円で購入しました。まず、有限会社の書式かと聞かれ、株式会社だと返事をすると、資本金1円の会社設立用の書式かと聞かれました。そこで1億円と答えました。

3)公証人役場

株式会社登記の法令書式セットの手順書どおりにカーボン紙を使って複写をして、定款を3部作成し、公証人役場で認証してもらいました。公証人役場はキレイでしたが、公証人は高齢で手が震えていました。周りには遺言・相続にからんだ件などで、専門家らしい方々が何人か待合所にいました。公証人と顔見知りでないと、印鑑証明やら身分証明が要求されるようです。個人で手書きの定款の認証を受けるのはあまり多くないようです。手順書どおりに記入しましたので、審査は数分で終わりました。4万円の印紙を貼り、手数料5万円、謄本発行料1500円を払いました。お釣りが5000円足りなかったのですが、キャリア40年はありそうな、窓口の女性が釣銭を間違えるとは思いませんでしたので、危うく5000円チップを渡して帰るところでした。

釣銭の間違いは初めてではないらしく、足りないといったら、はいと言って5000円くれました。こちらも気がついて得した気分でもらいました。ともかく、お上につまらないことを言って、心証を悪くするのを避けました。

4)銀行

定款認証の次は、資本金払込取扱いを銀行に委託するフェーズに進みます。近くの大手銀行に委託しようと思い、目的を告げてまず個人口座を開設しました。その後、公証人が認証した定款を持って、払込委託の依頼書を銀行窓口に提出しました。30分待たされた挙句、個人の取引が1年以上ないと法人設立の窓口にはならないと支店長代理(銀行の営業担当者のこと)にいわれました。冒頭で交渉の余地無しといわれたので、せめて口座を作るときに教えてほしかったと控えめにクレームを告げて次の銀行に向かいました。

これは誤算でした。手順書は、銀行との個人取引履歴の有無に言及していません。そこで、10年以上使っている別の銀行に行き、経緯を説明し、取扱いをお願いしました。(ここでも30分以上待たされ、受付されてから、窓口に呼ばれたときは、3時を過ぎていました。そして有限会社かと、まず聞かれました)資本金を払い込む窓口になってもらうだけと気軽に考えていたのが間違いでした。会社をつくる個人と銀行との取引履歴、信用調査があるようです。その後、事業計画書の提出を求められ、銀行内で稟議決裁し、承認されたら、払込取扱いの依頼書を受けるとのことでした。混んでいるので、決裁に10日はかかるといわれました。

フェーズごとに、素人が手続きするにはハードルが高い部分があることに気づかされます。しかしながら、窓口の対応が、最初に断られた大手銀行より格段によろしかったので、紹介しましょう。UFJ銀行新宿新都心支店です。この銀行の窓口の女性たちは、1件処理が終わるたびに立ち上がりお客様に頭をさげて御礼をいいます。そして頭を上げたときにお客様と目が合うと微笑み返しがあります。銀行間での格差は相当なものだと思いませんか。

最近はインターネット振込や、ATMばかりでしたので、この銀行の窓口にはご無沙汰していましたので、気がつきませんでした。

意外にも2日後に支店長代理より稟議決裁承認の連絡がありました。即、次の手続きを進めました。今日はここまでです。次回には法務局申請までたどり着きたいと願っています。

◆あとがき

本編の補足です。昨夜、危うく、定款謄本、銀行通帳、免許証、実印、健康保険証、キャッシュカード、クレジットカード、多少の現金などが入った鞄を紛失するところでした。銀行から取引OKの返事をもらい気分よく家族と食事をしての帰路、バスの中に鞄を残して降りてしまいました。バスが発車してから気が付きました。走り出したバスを追いかけ、力一杯、バスのボディをたたき、停車してもらいました。

10年ほど前、大阪でJRの網棚にお客様に配るお歳暮10万円相当を忘れたことがあります。その時もドアが閉まった瞬間に忘れたことに気がついたのですが、電車は走り出したら停まりません。幸運にも、忘れ物発見の連絡があり姫路まで受取に行きました。そのときのことが、昨夜バス停を降りた瞬間に走馬灯のように思い出されました。少し走ったようです。次に気付いた時はバスのボディをたたいていました。

法務局への法人設立登記申請の前に、厳しい警告を受けたと理解し、今後慎重に進めてまいる所存であります。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.107 03年9月6日

「会社設立」その2

その後の近況報告です。

本編で紹介させていただいておりますシステム開発会社で培った人脈を資本にして、今回は転職ではなく、創業にチャレンジすることにしました。9月中旬法人設立をターゲットにしています。手続きを進めていくなかで感じたことを紹介させていただきます。

6)設立登記申請書の仕上げ

商業登記研究会編の株式会社設立登記申請届出様式集を参考にして、慎重に(自分ではそのつもりですが)書類を整備していきました。

早朝から準備をしたり、印を押したりして集中して作業をすすめました。途中、念のため、インターネットで法務局のページを開いて最新情報をチェックしました。そこで印刷された商業登記研究会のマニュアルと法務局ウェブサイトの内容に食い違いがありました。

一つ目は、登記すべき事項を、コンピュータ取扱い庁ではOCR用申請用紙に記載する点でした。マニュアルでは、ワープロでOCR用紙に出力することになっていますが、法務局のウェブサイトでは、フロッピーディスクにテキストで保存して申請書に添付、その内容を出力して申請書に綴じ契印するという、提出方法が可能となっていました。

そうすると、この出力紙を申請書のどこに綴じるかが問題になります。もちろん手元のマニュアルには記載されていません。そこで、管轄の出張所に行き、確認しました。

二つ目は、15万円(資本金1000万円の場合)の登録免許税額を収入印紙で納付用台紙に貼付する点でした。案内書には、申請人は必ず消印(しょういん)を押すと記載されていました。これは、定款を公証人役場で認証してもらったときと同じです。この点は確認しませんでした、法務局では場所によって収入印紙を貼付するか振り込むかの違いがあるので、東京法務局新宿出張所は収入印紙を貼付するという確認をしました。

三つ目は、申請書提出可能日です。案内書には「取締役および監査役の調査の手続き(商173の2)の終了の日の翌日から起算して2週間以内にしなければなりません(商188?)」と記載されています。取締役の調査の手続きは、銀行の株式払込金保管証明書の発行日以降となります。9月3日に保管証明書が発行された場合、調査書の日付は3日以降となります。したがって、法務局には翌日の4日から2週間以内に申請ということになります。4日は先負(先駆けするのに先負けでは縁起が悪い)5日は仏滅、6日は大安ですが土曜。ということで3日友引に申請できないものかと思い、法務局に確認に行きました。返事は3日に申請可能ということでした。

前回もコメントしましたが、官庁の窓口は想像以上に敷居が低いです。市役所、区役所、法務局出張所、都税事務所、ハローワークなど、相談窓口は納税者にやさしく対応しています。物分りの悪い(ボケ老人)高齢者(若いひとでも物分りが得意では無い人もいます)

に、親切に何回も教えてくれます。税務署では、手が震える高齢納税者には、代書もしてくれます。

7)法人登記申請

9月3日に、窓口の女性も男性もたちあがって、お客さまを迎え、処理が終わると再び立ち上げって頭をさげて御礼をいう株式会社UFJ銀行新宿新都心支店(UFJ田無支店はBTM銀行と同じで、このサービスはありませんでした。どうも支店によりサービス格差がありそうです。)に行き、保管証明書をもらい、そして書類を調えて、同日、法務局へ法人設立登記申請いたしました。

8)補正

9月5日、法務局から補正の電話がありました。印鑑は届け出る会社印を押印することと、収入印紙の消印は不要であるという2点でした。
1点目は、必要なところに追加で会社印を押すこと、2点目の15万円の収入印紙の消印不要については、貼付台紙の右肩に「消印(しょういん)誤り」と記載して申請人が押印することで補正が終了しました。(案内書は、収入印紙には申請人が消印すると記載)

非常に親切丁寧な対応で、「素人が申請するとたくさん不備がありますね」といったら、「よくできていますよ」という言葉が返ってきました。当初の予定通り、12日大安に申請が受理される見込です。

◆あとがき

本題からそれて、法人設立の事務的な手続きの紹介をさせていただきましたが、個人で会社設立する手引き書を本屋で一度は立ち読みされた読者が多いと思います。転職に関わるエピソードを展開していくなかで、これからは同時に次のステップとして、起業にまつわるTIPSをあわせてご紹介申しあげましょう。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.108 03年9月13日

「ソリューション営業本部長」

慶応ボーイでサラリーマンを日電からスタートされた三田さんをご紹介します。米国市場での生活を経験され、外資系に転職されてからは、堪能な英語、米国での体験を背景にした国際感覚そして有益な人脈を、有効に活用されています。

IPOを視野にいれた営業力強化の一貫として、会社は営業のリーダーとして三田さんを迎えました。35%は外資系の会社の資本がはいっている会社ですが、残り65%の民族系の企業風土に徐々に変質していく時機と重なりました。月例の事業計画進捗のレビューは当然のことですが、正月の明治神宮参拝、四半期ごとの合宿などには違和感があったようです。

とりわけ、200億の営業目標のうちで3億に満たないパッケージ(自社開発の文書管理ソフト)の業績不振について、2泊で開催された幹部社員全員参加の営業戦略会議で、討議時間の大半をこのパッケージに関する話題に使った技術系役員に対して、失望したようです。属人的にこの技術系役員の不適切な経営姿勢を問題にするのは時間の浪費にしかならないのですが、このとき、営業本部長としてこの会社で貢献しようと思うモチベーションがなくなりました。就任してわずか6ヶ月、この営業戦略会議の後、三田さんは転職活動を始めました。そして3ヶ月後には次の職場が決まっていました。外資系の会社の営業部長のポストにつき、その3ヶ月後には優秀セールスマンとして夫人同伴でハワイに報奨旅行に行っているような有能な方でした。

川西専務が折角釣り上げた金になる魚を、部下の役員が逃がしてしまったようなものです。しかしながら、機会損失(タラレバ)は経営責任の対象外なのでしょう。この会社はその後も幹部社員の流出を止められず、そして優秀なSE(システムズ・エンジニア)の草刈場となっています。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:胃下垂になったら・・・

胃下垂とは、胃の機能が弱って胃が垂れ下がってしまった状態をいいます。胃下垂になると、胃アトニーといって、胃の筋肉が弱くなり消化活動が低くなって、更に胃下垂になるという悪循環を引き起こします。症状としては、下腹が出てきて、胸やけやもたれ、食欲不振等が現れます。

このような症状の時は、次の体操をすると効果的です。1)両膝を立ててあお向けに寝て、下腹部を手で押さえる。2)そのままの姿勢から両膝を右側だけに20~30回倒す。

この方法は、胃の消化や運動機能に多大な影響を与える迷走神経を刺激します。これによって、胃をはじめとしたさまざまな消化器官が強くなって、胃下垂にも非常に効果があります。胃下垂気味で調子の悪い人は、ぜひやってみましょう。

また、ツボ療法では、『足の三里』(膝の下外側で、手の親指と他の指で『Lの字』を作って、親指側を曲げた膝頭に当てた時の中指の先端の部分)のツボに鍼をしたり灸をすることで、胃の機能を向上させています。

中野坂上治療院 古賀 直樹
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◆あとがき

累積赤字を一掃した社長を隠居させ、親会社から社長を迎えたソフトウェア開発会社の話題です。よくある話かも知れません。隠居となった元社長は、雇われ社長で長生きするためには、累積赤字を一掃してはいけないとおっしゃいます。一方、新社長は、前任者のやり方を否定することで差別化をはかっています。愚かにも、赤字一掃に貢献してきた営業幹部を前社長と一緒にリリースしてしまいました。新社長の次なる策は、SEに製造工場や警備会社のように制服を着用させることだそうです。シリコンバレーから定着したジーンズにポロシャツの高度情報処理技術者集団が、ポリエステルの作業着を着ることになります。会社がだめになるには、それなりの予兆があるのです。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.109 03年9月20日
余談:法人設立登記申請

本編で展開している1999年から2001年の話題から、本日は2003年に戻って法人設立登記申請の話題をご紹介します。

1)法人設立登記申請

本編では、東京法務局新宿出張所に株式会社設立登記申請書を9月3日に提出したことにします。設立登記申請書一式を1階の申請窓口に提出します。この時点では、受付票はありません、窓口では申請書の内容確認をしてくれません。申請者は、受付の箱に投函するだけです。ガイドブックには書かれていませんが、登記申請書余白(表上部)に連絡先電話番号を必ず記載します。登記を進めることができない「補正」があったときは、申請人あてに電話連絡があります。そして、9月3日に提出した法人登記申請の補正日は9月12日と告示してあります。

2)補正

9月12日に補正の有無を電話で確認します。補正がない場合はただちに証明書等の交付が受けられます。会社設立日は申請書を提出した9月3日となります。もちろん、補正があった場合は、指摘事項を補正して再提出となり、数日後に返事をもらえます。しかしながら、設立日は、申請書提出日となります。

3)会社設立日

最終的に補正が無くなるまでは、登記簿謄本と印鑑証明書の交付申請ができません。最短で9月12日に、9月3日設立という証明書が交付されます。そしてこの登記簿謄本と印鑑証明書を提出して初めて、資本金を払い込んだ銀行は、会社名義の口座を開設してくれます。保管してくれていた資本金が普通口座に入ります。9月3日から12日までは雇用保険受給でいう待機期間のようなもので、会社の存在を証明できないので取引契約は締結できないでしょう。

4)登記印紙

登記簿謄本1通1000円、印鑑証明書1通500円の発行手数料がかかります。収入印紙ではなく、登記印紙を窓口で購入して、申請書に貼付します。

◆あとがき

6歳のこどもから聞いた話です。一般のテレビドラマを見ていた6歳のこども(小学校1年生)がとつぜん、何を言っているのか分からないといいました。見ていた番組は児童向けではありませんが、いわゆるドラマです。ただし、出演している役者全員が関西地方の言葉だけを使っていました。普段TVで見ている、標準語を話すタレントが、突然なじみのない訛りだけを使っていたので、話の内容が理解できず、戸惑ったのです。

言われてみれば、普段耳にしない訛りばかりでドラマが展開していると、話の展開についていくのに少し違和感があります。きっと頭の中で標準語の字幕スーパーが流れているのかもしれません。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.110 03年9月27日

社長特別賞

毎年1月に社員全員集合のイベントがあります。そこで、事業計画発表、永年勤続の表彰や功労プロジェクトの表彰をします。上場が射程距離にはいってきたのでしょうか、会社はいろいろとアナリスト向けにお約束の施策を次々と実行していきます。人材登用という部分では、若手登用、女性幹部の採用などですが、その前に若い女子社員を社長特別賞として全社員向けに表彰しました。

今回ご紹介する受賞者は、4年で野生に戻ってしまった社員です。事務担当者として入社し、事業部長の覚えめでたく、秘書的な立場に次第になっていくのですが、そこにはセクハラの危ない一面があり、退職か配置転換にまで話がこじれました。そこで、この大木さんは営業本部へ異動することになりました。前回ご紹介したソリューション営業本部長(在職期間1年)が、退職前の11月に、自部門の功労賞の推薦枠で大木さんを特別賞にノミネートしました。置き土産でした。折から全社あげて上場を目指していた経営陣にとっては、若い未知数の女子社員を表彰するのは社員のモチベーションを向上するのによい材料でした。そういう追い風もあってこの大木さんはめでたく受賞しました。

業界紙に女性が活躍する職場として紹介してもらうなど、広報のしかけがうまくいっているときが大木さんの絶頂期でした。その後、担当している製品の販売が低迷し、大木さんが本来お持ちの属性が次第に全面に出てきてしまいました。当時の上司の評価は業績向上に貢献しない部下ということでした。

成約する見込みがある案件は、顧客満足度の高い営業サポートをするのですが、見込みの薄い案件は、後輩にまる投げしてしまいます。そして、営業のノルマをもたず説明要員に徹します。営業会議で大木さんから聞いた最後のメッセージは、「たまごを温める」という言葉でした。問い合わせのあった案件を新鮮なうちにフォローして、孵化しそうになるまで面倒を見て、クロージングはノルマを持っている男性社員に任せようという立場です。インキュベーターは、ベンチャーを孵化させて成功報酬をとらなければいけません。大木さんは案件から成功報酬をとるのではなく、コストセンターの人件費から収入を確保するというスタンスでした。

野生にもどったというのは、本来の根性が露呈しメッキがはげたことを表現したかったのですが、適切な表現ではないかもしれません。野生にもどって、生存に必要なものは自分で確保し、自分の身は自分で守るという野生ではないのですから。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:高血圧と低血圧

よく、血圧が高いとか低いとかいいますが、そもそも血圧とは何でしょうか?血液は、心臓がポンプのように血液押し出すことによって血管の中を流れる訳ですが、その時に血液が血管を内側から押す力のことを血圧といいます。この力は、心臓の押す力、血管の弾力と流れやすさ(流れにくさ)、血液の量等によって高い低いが決まります。つまり、高血圧とは、血液が血管を押す力が強い状態のことで、低血圧とは、血液が血管を押す力が弱い状態のことをいいます。高血圧の場合、一般的に健康上に問題なのは、この血管を強く押している原因が何かということです。血管の中がコレステロール等で狭くなっていたり、血液自体の粘度が高かったりすると(今、よくいわれる『ドロドロ血液』)血管や心臓への負担も高くなるので、心臓病を始め、さまざまな病気を引き起こしてしまうのです。高血圧は中年以降に多いとされてはいますが年齢に関係なく常にチェックしておきましょう。一方、低血圧には、特に原因がないのにめまいや立ちくらみを起こす『本態性低血圧』と、種々の疾患(心臓・血管障害等)が原因で起こる『二次性低血圧』。そして、急に体を起こしたりした時に、脳への血流が一時的に少なくなって起こる『起立性低血圧』等があります。低血圧は、全体的に体力がない人や、肉体的活動の少ない生活をしている人がこの症状を訴える場合が多いので、まずは規則正しい生活と食事を行うようにしましょう。

中野坂上治療院 古賀 直樹
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◆あとがき

大学時代にクラスメートから聞いた話を思い出しました。彼は、苦しいとき悩んでいるとき、それを周囲にもらさず、自分独りで解決することに美学を感じていました。悩みや苦しみは、自分自身の環境の中で発生するもので、共有してもらっても、結局自分自身で解決しなければいけないといっています。悩みを共有させられる方もそのほうが楽です。相手も同じ様に何かで苦しんでいるでしょうから。

そこから学んだことは、楽しいこと、うれしいこと、よろこびはたくさんの人と共有しようということでした。自分の幸運を周りと共有し、逆に近くの人の良運にあやかりたいと喜びを共有するのです。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.111 03年10月4日
今回は協力会社の社長の秀丸さんをご紹介します。若いころ、宣伝部で毎晩深夜まで宣伝物を制作していた頃の経験が、秀丸さんとの接点でした。

異業種でも事業計画書の作成はアナログです。高度情報処理技術者集団の会社でも平面の印刷物にはオールドエコノミーの暗黙知が必要です。しかしながら、ITバブルの最中、情報システムの再構築による経営革新をしなければ生き残れないと念仏を唱える経営幹部たちは、自社の事業計画書や会社案内などの印刷物が、素人集団で作成されていることに気が付いていませんでした。知っていたとしてもその是正処置の優先順位は意外に低いものでした。素人というのは、デザインだけでなく、制作物の納期短縮とコスト削減の努力の仕方がトロイということです。昼間居眠りをしていて、夜遊んでくれる友人が職場にしかいないので毎晩おそくまで会社に残っている小僧たちが、やっている成果物なのです。これを、ニューエコノミーのシステムズエンジニアが評価するのですから、紺屋の白袴の側面が見えてしまいます。

こんなことがありました。上場を控えて社名変更をすることになり、会社案内改定の仕事がありました。まわりの素人(とりあえず制作物に関しては)経営幹部が、自分たちの淡い経験から、社名変更の新聞広告掲載日に会社案内が完成しないと判断し、その場しのぎのバックアップを、経営会議で話題にしたようです。実務を担当している私のところに、使いが来たので、最終校正の後(責了または校了)は、彼らの言葉でいう仕様変更をしないということなら、掲載日の2日前に納品できると言ってあげました。結果はそのとおりになったのですが、仕様変更をしないだけでは、納期どおりには進みません。オペレーターや印刷工場の職人さんたちに、仕事の優先順位を変えてもらわないといけません。これは暗黙知の領域です。

秀丸さんの名刺はノンタイトルの開発営業部です。社長とは書いてありません。営業で社長の肩書きは金にならないようです。これは後々参考にさせていただきました。

秀丸さんにとっては売上につながらないお付き合いでしたが、自己啓発になりました。個人のホームページを立ち上げるときにアドバイスをいただきました。なりよりも、このメールマガジンの最初の購読登録者なのです。人に会って話をすることが、精神衛生上必要なことであり、話をすることによって知恵が形になり、元気になることを教えてくださった方です。

最近では、経営者の先輩として、実印の管理の仕方、貸金庫の有用性などを教えていただきました。

◆あとがき

昼間の地下鉄車内での話です。10代終わり頃の若者2人の隣に座りました。何となく聞こえてきた話に息子たちの子供の頃の様子が重なりました。(いつも涙目になります)「人生一つじゃ足りない。いろいろな音楽を聴いて勉強するには時間が足りない。」「そうだけど今がんばって形にならなければ人生何回やってもだめじゃないかな。」

恐る恐る、この2人の若者の顔を見ました。昔キャンディーズが「自分たちには時間がない」といって、夜空に輝く星を指差すお笑い番組がありました。50代の父親世代はもっと時間がありません。残り時間が少ないので、酒を飲んで思考停止する贅沢はなるべく慎みたいものです。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.112 03年10月11日

筆頭株主の不可解な発言

この会社は、1泊2日で、年度の初めに全社員および株主、社友など来賓を招いてフォーラムを開催していました。そこで筆頭株主が特別講演をされるのですが、2回連続して一般社員には不可解な発言がありました。2社の合弁企業なので、筆頭株主以外にはもう1社しかいないのですが、そのもう1社について、名指しで非難としか思えない内容を、筆頭株主が発表しました。信頼できるパートナーではないとか、わけのわからないコンピュータ屋とかいう内容のもので、来賓や役員の中にはその会社の幹部がいるのですが、その彼らを前にしての発言でした。

発言の趣旨は到底理解できるものではありませんが、口からでた言葉は、パートナーにとっては明確に敵対的で不愉快なものでした。

その後、非難されたパートナー会社から出向していた幹部社員(幹部社員しか出向していません)が、出向を解除され、すでに転籍していた社員は部下を引き連れて会社を去っていきました。その結果かどうか、年末には50億円程度の売上がどこかの会社に移りました。

経営者同士が不仲になったのか、経営方針が合弁を維持できないほどに変わったのか不明です。それまでは御用聞きをするだけで、パートナー会社から150億円の注文が転がり込んでいました。蓄積された技術力と実績で新規案件、継続案件が確保されていた会社運営が、営業力強化を迫られることになりました。現場では「パートナー会社は発注停止した」とささやかれていました。

今振り返れば、株式公開、親会社からの自立という合言葉を実行するために、故会長自らが退路を断って、全社員に向けて、「俺がやるから、お前たちもやれ」と大号令を発したのでないかと想像されます。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: コレステロールって・・・!?

前回、高血圧の原因の一つとして、コレステロールの存在を挙げましたが、コレステロールとは、一体どんなものなのでしょうか?

コレステロール・・・これは脂肪の一つで、正式には『ステロイド核を持つ脂肪』のことをいいます。とり過ぎると、動脈硬化を引き起こして血液循環が悪くなり(高脂血症という)、心筋梗塞や脳梗塞の原因となるといわれることから、コレステロールと名がつくものはすべて悪者というイメージが固執してしまいました。その為に、コレステロールを多く含むといわれているエビや貝類までも、本当は好物なのに敬遠してしまう人がいますが、これは大きな間違いなのです。

確かに動物性コレステロールはとり過ぎると、先に述べたような症状が出る可能性がありますが、コレステロール自体は体の細胞膜を作ったり、副腎皮質ホルモンの材料になったりという体には絶対不可欠な存在で、普段の食生活にさえ注意すれば問題はないのです。また、エビや貝類は確かにコレステロールを持ってはいますが、動物性コレステロールとは全く別の種類のもので、有害どころか、逆に体の中の余分なコレステロールを取り除いてくれる働きを持っているのです。しかも、エビや貝類には他にも良質なタンパク質も多く含んでいますから、血管を丈夫にして、脳細胞の働きさえ活発にしてくれるのでいうことありません。

確かにコレステロールのとり過ぎが、脳梗塞や心筋梗塞の誘因の一つにはなりますが、これらは他のさまざまな要因が組み合わさっても起こります。正しい食生活を常に心がけるようにしましょう。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき
証券界には、「投資とは失敗した投機」という言い方があるそうです。

株式投資を中長期的な資産形成の対象としてではなく、投機と考える投資家が多く、値上りしたら利益確保の売付をします。しかし、買った株が値下がりした場合は、なかなか損切りができず、そのまま保有してしまいます。急に長い目になります。つまり、投機の失敗が塩つけの長期保有となり、それは見方を変えれば「投資」ということになります。

涼しくなってきました。インフルエンザの流行を先取りして、マスクをつくっている会社の株を買いました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.113 03年10月18日

「ガス抜き」

いわゆる精神病院に、お見舞いに行ったときに目にした光景を時々思い出します。面会受付で居合わせた若い母親と幼児のことです。同じタイミングで病棟に入ったので、この母子の面会相手がだれだか分かりました。患者は、30代前後の男性で一日中、ベッドの横でうつむいていました。ウツ状態と想像されました。めがねをかけた男性は、下をむいて何かをつぶやいていました。その後、この一家がどうなったかは知る由もありません。悲しい現実があることを再認識し、いっそう心の健康に気をつけようと学習しました。

情報処理業界にもこのような症状で苦しんでいる技術者が多いそうです。そこで、川西専務は「ガス抜き」と称して、社員を定期的に飲食の場に呼んで予防処置をされていました。人が財産という親会社では、オーナーが率先して「ガス抜き」をしていました。朝礼、夕礼で、カラオケ大合唱という日課もあったようです。

このようなイベントが定期的に社内で開催され、更には六本木や銀座で自分自身の予防処置だけに毎晩のように、会議・接待費を使う輩も生き残っていました。夕方になると社内をまわって、接待・会議費に余裕のある部門長から遊興費の原資を確保している幹部社員がいました。この人の立派なところは、忙しい部門長に代わって、若手技術者を飲食の席に誘い、先輩として悩みごとなどの話を聞き、「ガス抜き」をしてやっていること、そしてその費用を部門長の予算から落としていることでした。

月例で事業計画達成進捗状況の確認を全社的にチェックし、4半期決算を目指し経営基盤の確立と強化をしている会社なのですが、この「ガス抜き」には特別の配慮を感じました。酒田さんは不思議な幹部社員でした。人事総務部の部長を経て、パートナー協業推進室を立ち上げた幹部社員ですが、この人は「ガス抜き」の専門家で、それも自分自身の予防処置に高額な費用を使っていることで知られ、そのうえに、会社の予算に加えて、風評ではパートナーからキックバックをもらっていることになっていました。

酒田さんの幹部社員としての地位を保証した経営者は、過労ストレスから神経を病む技術者が発生すると高いものにつくので、それを未然に防ぐことができるなら相当の代価を払うのは仕方ないと考えていたのではないでしょうか。酒田さんもそのあたりの事情を、人事総務部の責任者として理解していたはずです。

皮肉なもので、情報処理産業と呼ばれる高度な知識と情報技術を必要とする企業は、それを支える属人的なウィークポイントを持っています。ITで構築するミッションクリティカルな情報システムは、定期的な宴がないと狂ってしまうような、極めて打たれ弱いシステムズエンジニアをたくさん抱えている脆弱でアナログな組織が生み出しているものかもしれません。

◆あとがき

お客さまの接待で、カラオケにいった友人から聞いた話です。一連の定型的な会話の中で、昼間は金融系の仕事をしていると応えた利発そうな子がいました。利発と判断したのは、「お父さんは何をしているの」と聞いたときに、「父は」と答えたからです。後で聞いたら、夜稼いた金をドル円の為替売買と株取引に投入して、資産運用をやっているということでした。ますます、利発な子だと感心しました。

次号は10月25日に発行します。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.114 03年10月25日

「不思議な人物」

情報処理の会社が東証上場を目指して、アナリスト受けする各種のしかけを実行していく中で、外部から見たら極めて自然で世の中の流れに沿った人事を発表しました。まず、若手登用として40歳未満で生え抜きの技術者を抜擢して役員にしました。つぎに女性技術者を部長にこれも大抜擢しました。それから、成果主義らしい人事評価制度を導入しました。

1)SE小僧が取締役に就任

この人事に、先輩の事業部長たちは、1週間睡眠不足になるほどがっかりさせられました。10年以上面倒みてきた部下が突然上司それも役員になるのですから、カルチャーショックのようなものです。技術力、統率力、人気とも圧倒的に上回る複数の幹部社員が会社に見切りをつけました。経営者は10年後の会社を担う人材として先行投資したことを、若手登用の理由に挙げました。今は実力人気ともまだまだですが、10年後にかけるといいます。1年先が見えないIT業界で10年先をいうのです。30代で取締役になった小僧は、「ガス抜き」の席で、10年で取締役、末は社長になると若い新入社員たちに向けて希望と野心を語ります。

2)最高級の牛肉は腐る寸前が美味

確かに先輩たちには10年先がありません。この先5年ぐらいしか、賞味期限が残っていません。最高級の牛肉は、腐る寸前が美味でしかも出回ることは稀なため、高額でお得意さんに渡ります。勤続による劣化が見えるかもしれませんが、ベテランの社員には目に見えない知恵が隠されています。それを会社が有効活用しないのは、もったいない話なのですが、反面、既存の役員連中にとっては、アマチュアが入ってくるので、身の危険も危機感もなく、快適な人事ともいえます。トップは、強い2番手を嫌い、取締役はB級の人材をまわりに集めて子供会を組織します。このような、ハイスクールの人事に力のある幹部社員はみずから会社を興しはじめました。

3)不思議な人物

もう一人、羽鳥という若手登用戦術で取締役に抜擢された若者がいました。この人は、小僧と呼べるほど元気がなく、地味で目立たない人でした。誠実な性格と確かな技術がセールスポイントです。新規事業立ち上げをまかされ、いいかげんな先輩役員が決めてしまった業務提携を押し付けられていました。毎月の業績は、10年後には黒字になるかもしれないという利益の出ない取引のため、赤字です。ところが、本人は不可解にも毎日重役出勤し、悪びれず、淡々と出社しデスクワークをしています。この人は強い精神力をもっているのでしょう、担当事業不振の重圧をかわし、心身ともに社員の頃と同じように健康的に暮らしているように見えます。取締役に「なりたくてなったわけではない」と顔に書いてあります。

(女性部長と人事評価制度のついては、またの機会にご紹介します。)

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: のぼせて鼻血が出たら・・・

鼻を強くぶつけたり傷つけたり、またはのぼせ等が原因で、誰でも一度くらいは鼻血が出たことはあるでしょう。鼻の粘膜は、小さな血管が網の目のように走っていて、ちょっとした刺激でも出血しやすいのです。とっさの時に鼻血が出ると慌ててしまいがちですが、興奮すると余計に頭に血がのぼってしまい、止まらなくなります。背もたれのあるイスにもたれて、鼻にガーゼを詰めて様子をみましょう。

しかしながら、鼻をぶつけたなど、はっきりした原因がないのにしょっちゅう鼻血が出る、また出血が20分以上も止まる気配がない時は、頭部を始め、内臓の重篤な病気が原因の場合があるので、たかが鼻血と馬鹿にしないで、すぐに病院に行って検査を受けましょう。

(たまに、鼻血が出たからといって、首の後ろをトントン叩いている人がいますが、そういう訳で頭を不用意に叩くと脳に悪影響を与えてしまう可能性があり、危険です。絶対に叩かないこと!)トントン叩くのはよくありませんが、この首の付け根中央のいわゆる「盆のくぼ」は、ツボ療法では、『あもん』という名前のツボで、指圧すると鼻血を早く止めるといわれています。鼻にガーゼを詰めて、背もたれにもたれたら、叩かずに親指で指圧するようにしてみましょう(もう一方の手は額に当てるとやりやすい)。普通の鼻血ならば、早く止まるはずです。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

かきフライのシーズンです。かきは、海中から取り込んだ栄養素を濃縮して蓄えるそうです。その中で特に亜鉛は他の2枚貝の10倍以上の量を蓄積しています。亜鉛は美容に効果あり、皮膚の代謝を促進してくれます。「かき」パワーをビールのおつまみにどうぞ。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.115 03年11月1日

「社内報」

この会社では、3ヶ月に1回、社歴2~3年の新人が編集委員になり会社の社内報を印刷して配布していました。毎号、写真入りで新規に加わった社員が紹介されています。本人の了解を得ましたのでその1節をご紹介します。

「XX日付で入社させていただきました山市です。まったく異なる業界の出身のため、皆さんにとっては常識の事が、私には新鮮に感じられるということがこれから沢山あることと思い、楽しみにしています。簡単に自己紹介します。20年以上も昔になりますが、最初の職場はホテルでした。レストラン/宴会/宿泊の3部門の現場を経験し、次に観光事業(ホテル・ゴルフ・スキー・テニス・プールなど)の宣伝広報業務を担当。ここで、当時スポーツ業界最大手のドイツ企業に転職、欧米での5年間は文化と言語と時差に苦しみながら、本場のビールを楽しんできました。その後は東京港の観光船でマーケティング業務に従事。そういうわけで、今までの雑多な経験を少しでも活用して、サラリーマン人生の集大成として、応用問題にじっくりと取り組んでいきたいと思います。(以下省略)」

不幸なことに、こういう人は、すぐに社内の冷たい風にさらされます。

「反動的社風」

この会社は、親会社からまわってくる仕事をこなすだけで、社員の技術レベル向上と利益蓄積をしてきた会社です。営業力強化やブランドイメージ構築に関する意識が希薄です。一般消費者に対する認知度はゼロです。

親会社が受注した「企業の情報システムの開発や保守という仕事」を請け負うのですから、品質と納期が重要課題で、これに問題がなければ、顧客満足度があがり、人さえいれば売上と利益がついてきます。右肩上がりのITバブルの際には、ストックオプションや上場が社員の鼻先に人参のようにぶら下がっていました。

ITによる企業革新をしないと生き残れないという念仏を唱えて、「ホワイトカラーの生産性向上」「コスト削減」などを狙った情報システム再構築の仕事をもらってくるのですが、どうも、社員(高度情報処理技術者)が反動的です。創業15年の会社ですから大卒入社の年長組はマックス37歳です。この若い社員が唱える念仏と、彼らの言動が乖離しているのです。全員とはいいませんが、25%は確実に存在します。(アンケート結果による評価)たかだか社歴数年の若い社員が、社風とか社内の前例を重視する傾向が見られるのです。仕事は最先端のIT分野なのですが、それをこなす日常の作業環境が、無菌室のような温室で身の危険を感じないところなので、作業員が守りの姿勢になるのは仕方のないことかも知れません。

「ネガティブな指向」

違和感がもう一つ。提案なり報告の中に、1ヶ所でも誤りがあると、技術者は全くだめだと否認することです。全くだめだと言われた際に、よくよく話を聞いてみると細部の1ヶ所とか、訂正可能な表現とか、あいまいな表現があるので否認することが多いのです。コンピュータシステムでは、1ヶ所でも不具合があれば、システムは誤作動したり稼動しなかったりします。全面否定に一理あります。

技術者のどちらかというとネガティブな姿勢に比べて、営業、マーケティングはアナログの世界で、楽観的な指向性があります。砂漠を走るキャデラックは、エンジンが片方潰れても、もう片方を動かして煙をだしボディを引きずりながらでも、次の町までたどり着く(ともかくたどり着かないと生き残れません)というヘビーデューティな一面があります。同様に、賢い営業は、何としてでも目標達成するタフで楽観的な姿勢でなければいけません。

営業力より技術力をこの会社は選びました。この辺にこの会社の独自性と限界を垣間見ることができます。

◆あとがき

中国のビジネスに触れると出てくる言葉を紹介します。

急効近利:目前の利益を確保する。上有政策、下有対策:実権を持っている人を動かすことにより不可能を可能とする。多労多得:会社への貢献度で高給を払う。委以重任:有能な人物を大胆に登用し責任を持たせる。昇官発財:官僚は権力をもっているが月給が安い。接待、賄賂が効くこともある。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.116  03年11月8日

「自己主張」

優秀な技術者が営業企画に配属されました。矢?さんは、おとなしい方なのですが、上司がロジカルでない判断をすると、静かに、しかしながら強い態度で自己主張します。幼少の頃、種子島の神童といわれた上司にもちろん致命的な不具合があるのですが、矢?さんは営業会議の席上、はっきりと「聞いていません、わかりません、やっていません」と上司が期待していないと想像される返事をします。これで落着し、話題が次に行くところがまた意外なのですが。

あるとき気がつきました。矢?さんは、定時(17:55)を過ぎると、デスクでコンピュータゲームを始めます。もちろん、その前に当日のデスクワークを片付けている日に限られますが、そういう日がだんだん多くなりました。課せられた業務の生産性に疑問を持ち始めていました。吹っ切れたのでしょう。矢?さんのデスクワークの処理スピードが加速しました。そして、定時から30分ぐらい、まわりが一段落して夜のミーティングのお誘いがかかるまで、コンピュータゲームをしながら待機されているようでした。

常識的には、こういう人は冷や飯コースに進むのですが、矢?さんは何と親会社に転職されました。前職の会社に発注する立場の会社に移り、年俸があがり待遇が改善されました。実力と自信がある人が、もう一つ必要な幸運を手にいれることができたので実現しました。アフターファイブのミーティングのメンバーにとっても、大変うれしい事例となりました。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー: 便秘には・・・

日本人のおよそ7割が便秘に悩まされているそうです。その中のほとんどが女性であるというのも驚きです。便秘が長引くと、吹き出物が出たり、お腹が痛くなったりとさまざまな不快な症状が出てきます。薬に頼るのも仕方ありませんが、いつも頼っていると『便秘薬依存症』になり、薬なしではいられなくなる危険性もあります。そんな時には、次のような方法を試してみてください。

まず、水を一杯飲んだ後に、左右どちらでもよいので横向きになって寝ます。お腹の横で、肋骨の下のライン(前から後ろにかけて)を少し痛いくらいにグイグイと押します。押すのは指でやっても勿論よいのですが、内側に曲げた手首の部分(よく、威張って「エッヘン!」と腰に手を当てるような動作)で押した方がやりやすいでしょう。テレビでもみながら、ゆっくり左右ともやってください。しばらくすると、お腹がグルグルと鳴り出してくるでしょう。

更にツボ療法としては、握りこぶしを握り、人差し指のこぶしの側面(中指側)の付近を爪楊枝の反対側等で少し強めに(肌を傷つけない程度に)刺激すると効果があります。ただし、便秘に効果があるのは左手のこぶし(右手は下痢に効果があります)なので、左右をまちがえないように注意し行いましょう。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

SARSの再流行が話題になってきました。日本人がSARSにかかりにくい理由のひとつに、握手をしないということがあるそうです。それと、こまめに手を洗うということが予防になると伝染病専門医がコメントしていました。手を流水で洗うだけでも、ウイルスが流れ落ちるということです。

握手といえば、バブル最盛期に欧米で仕事をしていた頃、レストランで食事中に知り合いに会うたびに、一声かけ、握手をしていたことを思い出します。今日も元気であることを積極的にアピールして、ビジネスにアグレッシブな態度を示すためでした。パンを食べていなければ、それほど気にならないのですが、いろいろな人から食事中にウイルスをもらっていたような気がします。

一番苦手だったのは、一人のフランス人でした。この人(男性)は手にコロンをつけていたので、握手をするたびに慣れない香りがくっついてきました。ビールを飲んでいるときは全く気になりませんが、この香りの移った手でお茶を飲むと違和感があります。(舞台の役者と客席から握手をして、「杉さまのにおい」と喜ぶファンの気持ちとは正反対です。杉さまも手に香水をつけて舞台に立つそうです。)

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.117  03年11月15日

大阪の人

月曜日8:30AMから開催される経営会議に、毎週日曜日の夕方上京してくる事業部長がいました。西日本支社長の井口さんの説明は非常にわかりやすく、丁寧なもので好感の持てる第一印象でした。ところが、日がたつにつれて第一印象とは違う側面というか表面をみせられることになります。

1)井口さんは直属の上司しか見ていません。

彼の上司は代表権をもつ東副社長で同じ親会社の出身です。会議が終わった後、何か連絡するために話しかけたのですが、視点は東副社長から動かず、東さんが退室するまで、生返事もしてくれませんでした。この東さん、少し変なのです。社長が出席する会議では一言も発しないのです。ところが、大阪で東さんが座長をする会議では、雄弁になりお約束の笑いをとったりしています。

2)酒乱

IT業界がまさにバブルの頃、年に1回全社員で温泉1泊二次会会社負担フォーラムを開催していました。1次の会社の親睦会が終わり、社長の部屋に一部の幹部が呼ばれます。新任の営業本部長、技術本部長と社長室パブリックリレーションズ担当部長が呼ばれているときに、井口さんが大阪の子分をひきつれ一升瓶をさげて、乗り込んできました。かなりお酒がまわっているようでした。そこで、井口さんは営業本部長に「e-ビジネス」を知っているかと(乱暴に)いいました。社長や取締役が同席している非公式の酒席で、新入社員に質問するようなもので、無礼な態度でした。その時は、酒乱だとは知らず何とか収めようと新任の幹部社員は努力しました。

2年後、当時の営業本部長は転職先で井口さんの評価を聞かれ、取引に値しない最低の評価を井口さんの見込み客にしてあげました。見込み客は、この元幹部社員の評価を聞いて、不利益を被らずに済んだことでしょう。

3)部下に厳しい

東京で発表する週間営業報告は大変わかりやすく、詳細な資料も準備されています。売上の数字は商圏の規模からいって、本人の発表内容に見合うほどすばらしいものではないのですが、いかにがんばっているかのパフォーマンスを説明するには十分な内容でした。これは、毎週、第一優先で部門長に課す詳細報告書のダイジェスト版だったのです。

◆あとがき

今回の選挙の結果、英国米国と同じように2大政党政治がやってきそうな雰囲気になっています。選挙で勝った政治家の話によると、勝つと確信して、選挙活動をしないとまわりがついてこないし、票もでないそうです。昔のマドンナは、ベルリンの壁が崩壊したときマニフェストを再考するべきだったのですが、しなかったつけがまわっていると評論家がいっていました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.118  03年11月22日

不思議な意思決定プロセス

日本のIT企業は、米国で成功しているソフトウェアの販売権を含む使用許諾に関する契約を締結する機会がよくあります。そのような契約交渉の場面に居合わせた人から聞いた話です。

契約条件などは事前に法務部が検討済みですが、実際に売上貢献するかどうかのリスクは残ります。その大事な交渉がおそまつでした。金髪の米国人支社長は英語で提案し、キャリアウーマンで無国籍風のアシスタントが、癖のある日本語で通訳してくれます。

驚いたのは、交渉相手が英語で話しているときの、日本側経営陣の対応でした。英語を理解しない代表取締役があたかも理解しているように頷いているのです。そうすると、相手は話が通じて合意していると感じます。代表取締役は、英語を話す(飲み屋で金髪のオネーチャンと会話ができるレベル)石黒取締役を通じてコメントを述べます。石黒は不慣れな昼間の英語で自信なさそうに代弁します。相手方のキャリアウーマンは、石黒が伝えようとしている内容を解釈してボスに伝えます。ボスは早口でアシスタントに返事をします。こんなやりとりが続き、相手のペースで交渉が進行していきます。

米国企業の米国人日本支社長は技術畑ではなく、マーケティングが得意なようです。対する日本側経営陣は技術者集団でマーケティングは本で読んだぐらいの知識と経験しかありません。技術畑の石黒は大学の門をくぐらずに実業の世界で入ったものですから、IT技術関連の知識はOJTで学ぶことができたのですが、それ以外のリベラルアーツ(一般教養)までは余裕がなかったようです。会社にとって不運なのは、その石黒がマーケティングと財務の担当取締役であったことです。代表取締役が全ての意思決定ができるうちは、石黒のような鞄持ちは重宝で、下克上のリスクがありません。しかし、上記のような場面では両刃の剣となってしまいます。

石黒は、事前調査をすることもなく、当日も交渉相手の米国人が日本語堪能であることを聞き出せなかったのです。交渉が終わり、別れ際に、米国人支社長は、彼の配偶者が日本人であることを流暢な関西弁で教えてくれました。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:起きたら首がいた~い!・・・『寝違え』

朝起きて、首を回そうとすると激痛が。何もしてないのに突然起る、『寝違え』は、いわゆる首の捻挫です。不自然な形で寝ていたことが大きな原因ですが、一ヶ月に二度も三度も首が痛くなるようなら、骨盤や背骨の歪みによるものかもしれません。

寝違えた時には、湿布等で冷やして痛みをやわらげることがまず先決です。例外もありますが、筋肉が炎症を起こしているので、温めるとかえって痛くなることがあるからです。

ツボ療法では、人差し指と中指の間を手首の方に上がった骨と骨の付け根(手の甲で、押すととても痛い所)の『落枕(らくちん)』というツボが有効です。この部分を少し強く押しながら(爪楊枝の反対側等で)首を頑張って回していると、痛みが少しやわらいできます。そして落枕を押したその後に、耳の後ろにある骨の突起の周辺にある『完骨(かんこつ)』、『風池(ふうち)』のツボを指圧しながら痛い方向に首を動かしましょう。辛い症状を早く治すことができます。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

先日、久しぶりに外資企業の日本支社長(カントリーマネージャー)に会う機会がありました。いままでは、日本独特の商習慣とか人脈とかで、米国企業は日本支社を日本人にまかせていましたが、この1~2年で様子が変ってきたようです。人材紹介会社には、1社の求人に100人以上の応募があるそうです。贅沢なイメージがある外資の日本支社長のポストに人気が集中しているというわけではなく、日本支社長業を生業としている英語堪能なビジネスマンの職場が減っているというのが実情かもしれません。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.119  03年11月29日

ITバブル絶頂期の頃でした。

ネットベンチャーのシステム開発を受託、納入したシステムが本稼動して少したってから、開発事例として使ってもよいということになりました。コピーライターを同行して先方に取材にうかがいました。記事にならなかった雑談部分をご紹介します。

Q1:技術本部長の略歴について。2年前にIT業界に転職されましたが、2年で技術の責任者のなっていますね。インターネットの知識や技術を2年で習得されたわけですか。
A1:そのとおりです。まったくの異業種からの参加でした。ウェブを使ったシステム構築やビジネスモデルに取り組むということは簡単なことではありません。何しろ、ビジネスモデル特許を申請するほどの先端技術が要求されています。短時間で普通の技術者の数倍の勉強をしました。

Q2:御社のスタッフは異業種からの転職者が多いですね。
A2:そのとおりです。旅行代理店、レストラン、運輸会社などからインターネットを活用したビジネスに参加してきています。ITは知らなくてもITを使う業務のプロですから、後は技術を習得すれば実務で使えるシステムを構築できるわけです。

Q3:今回のプロジェクトの責任者が退職されるとのことですが。
A3:彼は、今回のビジネスモデル特許の功績で会社からインセンティブをもらった後、大手コンサルタントにヘッドハンティングされました。はっきりいって、会社に忠誠心を持っている者はいないかもしれません。皆、今の仕事を成功させ、キャリアを積んでステップアップするつもりです。

この会社のその後:

技術本部長は茶髪、社員はラフな服装。テラスは、ビーチパラソルがあって、海の家風。この会社の提案に、大手のクレジット会社、物流、製造メーカが賛同し業務提携しました。そして、ビジネスモデルは時代の波にのり注目されました。お約束どおり上場し、社員はストックオプションの資金を元手にスピンアウトしていきました。

◆あとがき

この10年、日本の国際競争力はずいぶん落ちました。昔エコノミックアニマルとかジャパンアズナンバーワンとかいわれた頃1番か2番だった日本の国際競争力は、2002年のIMD調査によると49カ国中で30位とされています。日本のビジネス風土の弱点としてあげられている中で、企業家精神は49位、企業開業率は48位、企業幹部の国際経験は48位です。調査対象国の数は49ですから、最下位です。海外赴任経験、海外との商取引経験をもつ大企業出身者の創業が、今の日本の弱点を切り返すテコになることを確信します。

来週からは12月です。この1年はこういう年にしたいものだと一瞬思った正月が、つい先週のことのように感じるかもしれません。決算もサンクス・ギビングも終わった外資の連中の頭の中は、クリスマス休暇。2003年の終わりが始まります。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.120  03年12月6日

川西専務が親会社の人事で、取引先企業のCIOに転進することになりました。99年のことでした。親会社が、その会社のシステム開発を受託しており、情報システム担当役員を出向させていました。欠員というか交替要員として、子会社の川西専務がノミネートされました。

専務は、飛行機の取引で有名な商社からソフトウェア開発会社に転職し、長年親会社のオーナーの近くで仕事をし、子会社の創立メンバーとなりました。上場をめざして経営基盤の確立に貢献され、グループ会社の戦略企画に重要なポジションを占めていました。ところが、上場目前で転籍となりました。ストックオプションを自ら導入し、権利行使直前に権利を喪失したようなもので、がっかりされたことと思います。内示があってから10日ほど環境の変化を身体が予期したためでしょうか、心身ともに異変が起き、体調を崩されたそうです。

専務から社長ではなく、取引先のCIOとして出向されるわけですから、社内ではがっかりした人より、これからは枕を高くして眠ることができると喜んだ幹部社員がたくさんいたことでしょう。中でも、ステップアップを予感したのは専務に評価され取締役に昇格した事業部長でした。(以下、吉本としましょう)

吉本は西日本の支店で赤字プロジェクトを発生させ、火消しを親会社からの出向者に肩代わりしてもらって、東京本社に出てきました。以来、専務の黒子としてハードワークをこなしながら本流に乗りはじめました。そしてついに専務が出向することになると、専務の担当業務が、転がり込んできました。専務の下で、専務の意向どおりに業務をしてきたので、大半の社員は、専務がいなくなっても、吉本の言動は変わらないと錯覚したため、専務への信頼感が吉本に転写されました。

専務の社内での影響力消滅が確実になったとき、吉本は、「川西さんは、次の会社でまだ現役のつもりでいる」と部下にもらしました。このあたりで、黒子の呪縛から開放されたのでしょう。専務がお持ちであった信頼性と一種のカリスマを転写された吉本は、専務が指摘していた先輩役員の弱点を幹部社員に開示しました。その結果、種嶋は常務から専務に昇格した後、退任。上席の取締役(高専出身で酒と下半身の守りが弱い)は留任のまま、吉本は常務に昇格しました。

ちなみに、川西さんが出向した会社は、「役員は社内で昼食をとる。昼食時に外出せず、臨戦体制をとる。休憩時間はない。」という、従業員に厳しく、株主にやさしい(1株当り配当100円)消費者金融のオーナー会社でした。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:「手足の冷えに」

手足の冷えは『おじぎ』で解消

「手足が冷た~い」・・・こんな悩みが冬にはつきものですね。以前、冷え性については述べましたが、今回はさらにちょっとユニークな冷えの解消法を紹介します。その方法とは、とても簡単です。それは、おじぎを繰り返し行うことです。やり方にむずかしい条件はありません。両足を揃えて立ち、頭を深く20~30回下げます。そうすると、だんだん手足がジワッと温まってきます。何故でしょう?

おじぎをした時に動くのは、腰から背中の真ん中にかけてで、ここは『脊柱起立筋』という筋肉群があります。そして、この脊柱起立筋には、体の中心が冷えてないかどうかを判断する、いわゆるセンサーみたいなものがあります。おじぎを何度もしたことで体の中心が温まると、このセンサーが、「体の中心はもう冷えてないから、生命の維持は大丈夫!今度は、体の末端にも血液を送って温めろ。」と判断して、中心に集まっていた温かい血液が末端の血管へ行き、それで手足が温かくなる・・・という訳なのです。

おじぎというのは、おもったよりも背中全体の筋肉を動かしているものなのです。やり方によっては、脳への血行もよくしますし、運動不足や腰痛予防にももってこいです。これからは、手軽な方法として、『手足が冷えたらまずおじぎ』を習慣付けるようにしましょう。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

先日、税務署主催の「新設法人」のための税金に関するセミナーに出席しました。法人税・消費税の審査官が、「事業を成功させ、たくさん儲かるようがんばってください。」と何回もいっていました。企業の70%が赤字だそうです。法人税の納税額は減少。ところが、消費税は、赤字であろうと関係なく、取引には発生するので、きっちり徴収するそうです。納税が法定納期限に1日でも遅れたら、4~7%の延滞税が課せられます。2ヶ月以上納税がおくれると年14.6%の延滞税となります。

一方、テレビで、富士市の公営住宅では2ヶ月以上家賃を滞納している戸数が全体の10%になっていると報道していました。数年間で100万円近くの家賃を滞納したまま居座っているケースを取材しています。市の職員は戸別訪問して家賃を少しずつでもいいから払ってくれといい、賃貸人は仕事が見つかったら払うとか、今度お金が入ったら払うとかいっています。でも、水道光熱費は払っています。ベランダに洗濯機があり洗濯物が干してあります。

このまま、払わないと半年後には退去してもらうことになるともいっていました。退去措置には十分な期間を滞納しているのに、まだ猶予を設けています。夜逃げされた現場にいった市職員は、一旦役所にもどり対策を検討するなどと、無責任なことをいっています。その間、市には家賃収入がなく、公営住宅の維持費を払い、催促する地方公務員の給料を税金で支払っています。

経営者が逮捕された盗聴事件で株価が続落している消費者金融の乱暴な取り立てが報道されていますが、税金には延滞税が課税され、水道・電気代は払わないと供給が止まり洗濯ができなくなります。私企業では、提供した役務の対価を徴収しないと事業が存続しませんが、市が運営している住宅賃貸事業は家賃収入がなくても、法人やサラリーマンからきっちり徴収した税金で、運営できるようです。何年も滞納している賃貸人を保護している市職員を、消費者金融に出向させて、貸した金は返してもらう、貸した金が回収できなければ会社は潰れるという納税者の常識を学ばせてほしいものです。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.121  03年12月13日

近隣諸国を一少数民族と恐らく位置付けているアジアの大国が、自前で第3線の基地から有人衛星打ち上げに成功したのにひきかえ、伝来火縄銃を家宝にしている島民が住む島から国産ロケット打ち上げに失敗した東アジアの小国は、またまた先進資本主義諸国から失笑をかったにちがいありません。技術力はあるが、組織を牛耳るマネージメント陣が格下なため情けない結果となっているという評価が聞こえてきます。

東京のW大を卒業し、e-ビジネスで世界をリードするIT企業で殿様商売を経験し、合弁の子会社に転籍した種嶋は、この島の出身でした。この人を評価した人は、少なくとも4人いました。1人は、合弁企業から役員を受け入れる契約を締結した経営者で、余裕があるときは清濁合わせ飲もうという森村社長。あとの3人は、なりふりかまわず種嶋に従って幹部社員に登用された人たちでした。

種嶋はSEの経験に長け、プロジェクトの進捗管理においては多大な貢献可能性が想像されます。もともと、親会社に顔をだし、待機していると仕事をもらえるような下請け会社ですから、たいして営業力は要求されません。ところが、会社が上場することになり、そのための経営基盤の整備というか強化のため、親会社依存の体質改善と営業力強化をスローガンとして掲げました。この営業力強化の体制下で入社した中途採用組は不運でした。元凶は種嶋です。まもなく東証二部上場する会社で、売上に即貢献しようと、多くのベテランが蓄積してきた暗黙知を切り売りする機会を、営業統括担当役員になった種嶋は潰してしまいました。これは属人的な問題かも知れませんが、それを認めた経営陣の責めでもあります。

実績と人望ある幹部社員が、上場目前に会社を去り、独立していきました。元凶である種嶋が耕したSE畑は、草刈場となり、優秀な人材が流出しました。

元凶の事例をひとつご紹介します。

親会社や系列企業、他の大企業で営業実績を積んできた中途採用のベテランに対し、何ら営業経験をもたない役員が、肩書きだけで指揮権を発動します。営業案件に対して、プロセスではなく、結果を短絡的に口にします。案件が発生すると、即コミットメントを要求します。「取れるか取れないかは、やって見ないと分からない」というチャレンジ精神を否定します。攻める前に勝敗の予想を議論したがります。失注した案件を徹底的に分析するため手間のかかる経過報告を要求します。

これはいけません。失敗例をいくら分析しても成功につながりません。野球で三振した時の分析結果が、ホームランを打ったことのない打者にホームランを打つためのヒントになるとは思えません。

数少ない成功事例を分析して共有するのが有効です。ホームランを打った喜びを共有するのではなく、ホームランを打ったその前に、何をしたか、何を考えていたか、どういう精神状態であったかというような成功体験を明確にして、それを共有するほうが、実利的です。

営業は、会議室での議論でから発生するのではないのです、種嶋さん。

◆あとがき

国産ロケット打ち上げ失敗で日本の技術力に疑問がもたれ、海外投資家が嫌気し、日本株価低迷などという風評を思い出すと、つい袈裟まで憎くなり、運が落ちるリスクを承知で種嶋を話題にしてしまいました。どの分野でも凶は、元から断たなければいけません。

ナレッジの共有はできても、暗黙知は共有できません。それぞれの役割を再確認し、餅は餅屋ということで、選択と集中で特化し競争力をつけて、明日につないでいきたいと、毎日セルフコントロールを試みています。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.122  03年12月20日

異業種に転職して、企業風土、社員の気質などの違いや落差に違和感を持つ中で何人かの技術者との有益な出会いは、その機会を与えてくれた川西専務のおかげでした。

秋本さんをご紹介しましょう。この方は、早大卒で、複数年米国の研究所に在籍した経験をもち、親会社から子会社に4年間出向されました。社内異動で机を並べた時期がありその後4年間、週に1回はランチをご一緒したり、月に1回は会社の近くで軽く飲んだりというお付き合いをさせていただきました。

ひととなり:温厚
一芸:英文契約書の読解

パーソナリティが高度情報技術者集団の中で馴染まないようです。一度、新設部門の責任者のポストがまわってきたことがあります。秋本さんはその誘いをことわり、スペシャリストの道を選びました。英文読解力では社内で秋本さんの右に出るものはいません。日常会話が堪能な人たちは沢山いますが、米国企業と契約に関するやり取りを適切に理解できるのは、彼だけだったと思います。ただし、営業畑ではありませんので、金の匂いがする契約をあの手この手でまとめていくというプロセスには関心がなかったようです。その辺のことを、森村社長は読んでいたのでしょう、米国企業とのアライアンスをめぐる英語主導の打ち合わせの場には無縁でした。戦略的な意思決定をする際に、後方支援の立場で重要な役割を担っていました。

秋本さんの鞄のなかには、いつも、英語の辞書と筆箱が入っていました。筆箱には、事務用品一式が詰め込まれています。ユビキタスみたいなもので、いつでもどこでも仕事を始められます。和文英訳で話が合うのは、大学時代の先輩を除いては現在までこの方だけです。そして、インサイダー情報や守秘義務にきっちりと対応していました。森村社長は、いい人材をお持ちです。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:砂糖などの糖分は、やっぱり体によくないの?

砂糖などの『糖分』は、「体に(頭にも!?)よくない」とよくいわれますが、本当にそうなのでしょうか?

実はこれは大きな間違いで、生物に糖分は欠かせないものなのです。しかも、脳を使う際のエネルギーの源となるのは、ブドウ糖という結果も出ているのです。アメリカの大学での研究では、副腎を摘出して記憶力を低下させたマウスにブドウ糖を注射したところ、そのマウスの記憶力の回復が得られたという報告もあります。

さらに、「疲れた時には甘いものが欲しくなる」とよくいわれるように、糖分は体の機能を維持するためにも必要不可欠なものなのです。最近では、偏食やムリなダイエットをする人が多いですが、これでは体にも頭にもよくありません。ごはん等の糖質を含んだ食品は、他のビタミン等とうまくバランスをとって摂取することです。さもないと、ダイエットよりも先に体をこわしてしまいます。

とはいっても、いくら体に必要不可欠といっても、勿論たくさんの糖分の摂りすぎは、カロリーばかりを増やして体内で脂肪になり、肥満や高血圧等の成人病の原因につながってしまうので、摂りすぎは禁物です。しかしながら、いつも頭を使う頭脳労働者は、ある程度バランスを考えて積極的に糖分を補ってやる方が脳が活発になって仕事がもしかしたらはかどるかも・・・しれませんね。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

母方の祖父母が眠る冨士の永源寺が全焼したと、従姉からメールがきました。同じ頃、中東でブッシュジュニアがブッシュパパの遣り残したミッションを成功させました。東京では、父から譲り受けた株券を含み損益―20%で損切りした週でもありました。

年末にあたり、懸案事項を総括し、仕掛かりを整理し、リセットして、文字どおりの新しい年を迎えようと考えています。楽しいクリスマスを。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.123  03年12月27日

異業種に転職して、企業風土、社員の気質などの違いや落差に違和感を持つ中で何人かの技術者との有益な出会いは、その機会を与えてくれた川西専務のおかげでした。

須藤さんをご紹介しましょう。この方は、親会社から子会社に移籍されました。直近の2年間は同じ職場で飲食をともにする機会がたくさんありました。

ひととなり:陰険ではありません、性悪ではありません。一芸:マジック(小学生の頃からの趣味、大学ではマジック同好会)

須藤さんの鞄のなかには、いつも、マジックのネタがはいっていたようです。用途は、カラオケでうけないときに、テーブルマジックで飲み屋のオネーチャンの歓心を買うためです。初夏の箱根塔ノ沢で1泊の宴会がありました。須藤さんに余興としてマジックをお願いしました。宴たけなわ、満を持しての登場となるところ、本人がなかなか腰をあげようとしません。

須藤さんは箱根にいく電車のなかで、今夜披露するマジックを前夜遅くまで練習してきたといっていました。ところが、本番になるとステージになかなか上がろうとしませんでした。延々と司会者や周囲の仲間に持ち上げられて、やっとご登場ということになりました。確かにマジックの出来は素人離れで年季がはいっております。何十年も昔の「どどいつ」の三亀松の芸風のようなものです。一曲歌う前に延々と前説が入ります。もちろん待たされた分、おつりがくるほどお上手です。素人集団の宴席ではこうは参りません。事前準備をしてきた者が本番を躊躇っていると評価します。これでは意思決定が遅い、スピード感がないと、上司の井冨士さんに査定されてしまいます。但し、成果物としてのマジックのパフォーマンスはすばらしいものです。プロセスではなく実績で評価するとなると、出足のトロさは相殺されるでしょう。

須藤さんは、ThinkPadにむかって日中独り言をつぶやいています。彼のつぶやきに隣席の仲間が時々返事をしてしまいます。そんな中で、彼がつぶやきをやめることがあります。居眠りをしているわけではありません。画面をのぞくと、インターネットでマジックのサイトを見ています。そうです、須藤さんがデスクで静かにしている時は、仕事をしていない時なのです。

また、須藤さんは上司が帰社するまで席で待機しています。上司や仲間のガス抜きのお誘いは断りません。やりかけの仕事は翌早朝に済ませるので、問題ありません。ところが、声をかけ皆がエレベータに乗ろうとしても、まだ席から離れません。電話をしたりして仲間を待たせます。待ちきれず置き去りにしようとする絶妙のタイミングで須藤さんは追いつきます。飲み屋では、カラオケはお上手、好き嫌いなく酒を飲み、仕事の進捗状況に影響されずに楽しみます。このプラス思考を上司の井冨士さんは評価していると思います。

一方、不満なところがあります。原価意識というか、コスト感覚というか、会社の利益から経費をだすという管理職の姿勢がうかがえません。どうせ会社の経費だからという感覚、大企業のサラリーマン根性が見え隠れ、残念ながら、この人と夢を共有する気にはなれませんでした。

◆あとがき

今朝は東京で初雪です。イランでは大地震、犠牲者数千人と報道。米国ではBSE(狂牛病)が発生、日本は国内消費の30%を依存している米国産牛肉の輸入を禁止。

米国産牛肉がBSEということで、牛肉不買が前回以上になることが予想されます。牛肉ステーキ、ハンバーガー、焼肉なしの食生活がそれほど深刻なことではないことに気が付きます。豚肉を食べない国とか宗教に加えて、BSEをきっかけに牛肉を食べない先進国や民族がでてくるかもしれません。この際、我が家は家計事情により牛肉購入禁止処分といたします。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.124  04年1月3日

新年おめでとうございます。昨年中は忍耐強く本編をお読みいただき心よりお礼申しあげます。今年もひきつづきよろしくお願いいたします。

正月を迎えると、何年かに一度は、思い出すことがあります。ホテルマン(宿泊部企画担当)だった頃の話ですが、年末年始は泊り込みで、12月30日から正月2日までは徹夜続きでした。

30日は31日からはじまるお正月プランの準備で朝までかかってしまします。30日までイベントがあったりすると、会場の飾り付けは30日の深夜からのスタートになります。31日は早朝にスタンバイが終わります。そして午後は、続々とチェックインされるお客さまの誘導で休みません。客室は満室です。そしてこの年末年始期間だけホテルの全てのレストランが終日満席状態になります。紅白が終わると庭園にある鐘楼でお客さまによる除夜の鐘つきがはじまり、ラウンジではカウントダウンパーティが始まります。元旦はホテルの屋上を開放して初日の出を迎え、また、初日の出クルーズ、初詣バスツアなどが同時進行し、おせち料理や各種のお正月プランでホテル中がにぎやかになります。

2日は、ホテル滞在中のお客さまが退屈されないよう盛りだくさんの催事を終日おこないます。当時はラジコンカーが流行でした。ホテルの駐車場に仮設したサーキットでのラジコンエンジンカーレースに300人がエントリーしたこともありました。3日はチェックアウトのラッシュになります。現金での支払が多く、会計ではカウンターの下にダンボール箱を置いて、頂戴した一万円札の束を投げ込んでいきます。夕方になってやっと一段落し、イベントの装飾を片付けて正月プロジェクトが解散となります。

何年かに一度は思いだすのは、この徹夜続きの勤務が終わり、おせち料理を楽しみに帰宅したときのことです。目にクマをつくってようやく帰ったところ、夕飯はカレーライスと餃子でした。カッとしてテーブルをひっくりかえしました。スープか味噌汁が当時人気であった大型のスピーカーのコーンにかかりました。家族は、ホテルマンはお客さまと同じおいしいおせち料理を食べていると思ったのです。おせち料理は食べ飽きただろうからとカレーライスを用意してくれたのですが、睡眠不足と過労でそこまで考える余裕はありませんでした。

料理長や担当支配人クラスは食べているかもしれませんが、イベント催行中のスタッフは、社員食堂の定食と夜食の弁当しかありません。普段行く町場の食堂は休みですし、ホテルのレストランはどこも満席です。ましてや、スタッフ用に調理場がお客さま用の食材を出すわけがありません。かきいれ時で、正月料金で売れる大事な食材です。

そういうわけで、いまだに当時のことを、子供たちにも謝ることなく、三が日が過ぎるころ3年に1回位の割合で思い出します。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:「しもやけ」

しもやけは、手足の先の血液循環が悪いために、指先の毛細血管に血液が巡らなくなり、うっ血が起ることをいいます。冬になりやすく、皮膚が紫色になり、痒くなったり、時には出血したりして跡が残ることもあります。

しもやけのできやすい人は、冷え性の人が多く、普段から身体を冷やさないようにするのは勿論ですが、指先等の末端部の血行を良くするために、熱めのお湯と冷たい水をそれぞれ用意して、交互に手を10~15回入れる温冷交代浴を行うとよいでしょう。なお、これを行った後は水分を乾いたタオルで十分拭き取っておかないと、かえって冷えてしまい逆効果になるので注意しましょう。

ツボ療法でしもやけに効果的なのは、手首の甲側の真ん中の『陽池(ようち)』や、同じく手の甲側で親指と人差し指の間の根元の『合谷(ごうこく)』等です。少し強めに押したりもんだり、温めたりして刺激してみましょう。

中野坂上治療院 古賀直樹

◆あとがき

今年の初詣は川崎大師へ行ってきました。昼過ぎには弟の家でワインを2本空けていましたので、かなりいい気持ちで初めての川崎大師にお参りしてきました。ピンクと、オレンジとゴールドの達磨を各1個買いました。願かけて右目を入れるそうです。

よく見かけるブランド模様の小物を夜店で買いました。TVで放送されている、売っても買ってもいけないという類の商品です。うんと値切って(値切ったつもりかも知れませんが)満足して持ち帰りました。自宅で中を開けたら、詰め物が新聞紙でそれもハングルでした。朝鮮半島製のこの手の商品がよくできているという評判をきいたことがありましたので、またまた満足しました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.125 04年1月10日

今回はパートナー企業の営業マンをご紹介します。

磯村さんは日本で最初にテレビを製造した大会社の方です。携帯電話を企業のデータベースや基幹システムとつなぐパッケージをメニューに入れている営業部隊に所属されていました。

往年のアイビーといった印象で、ボタンダウンが似合う温和な人柄が感じられる方です。めったに感情を表に出されないようで、いつも笑顔が絶えなかった記憶があります。定年近いとうかがいました。大企業で30年以上勤続されています。その間吹き荒れているリストラの嵐をしのいできたわけですから、サラリーマンとして立派な実績を残され、また、よほどのことが無い限り、安定した生活を過ごされてきた方だとお見受けしました。

そのような、公私にわたる余裕が磯村さんの笑顔に表現されています。営業で常に成果を要求されるのですが、ストレスを感じさせない対応にはこちらが逆にストレスを感じてしまいます。見習いたくともできないことはたくさんあります。やる気の問題ではありません。やる気があってもできないのです。磯村さんにはできて、自分にはできないもの。「勤勉、正直、笑顔」。しかし、この3つのキーワードは管理職がよく使うキーワードの一部です。

磯村さんのカウンターパートナーはマジック同好会の須藤さんでした。須藤さんが、営業統括担当役員の種嶋さんの承認をとらないと、携帯電話のパッケージ販売のアライアンスは実現しません。種嶋さんが「岩陰の大将」(俺はやらない、お前がやれ)だとしたら、須藤さんは小市民的サラリーマン(アフターファイブ優先)ということで、磯村さんの営業先としては不適切な会社でした。

◆あとがき

七草も過ぎていよいよ2004年がスタートしました。毎日、寒い日が続き、中国ではSARS、日本ではインフルエンザの流行が心配される季節となりました。外出から戻ったら、手を洗ってうがいをしましょう。

不織布のトップメーカーで、SARSのニュースが流れるとマスクが売れるということで、株価がボーフラのように浮きあがる外資企業に電話をした方から聞いた話です。

年明け早々の午前10時、代表電話にかけたところ、すぐに担当部署に電話が回されました。もしかしたら、オフィスで新年会をやっていたのかもしれません。不織布の新規発注という先方には悪くない用件なのですが、担当者が電話に出るまでの1~2分間、電話口から聞こえてくる「だらしない」オフィスの男女の笑い声や私語につきあわされました。

電話に出た担当者はあまり素材に詳しくないようで、取り扱っているかどうか確認して折り返し連絡するという回答でした。ところが24時間たっても電話はありませんでした。同業は他に10社以上ありますので、これでこの案件は、終わりでした。

この話を聞いて、SARSやインフルエンザの流行によるマスク特需で株価が上がる、この外資系の会社の株を買うのをやめました。買ったら、金貸し盗聴オーナー会社の株を買うのと同じことになります。キャピタルゲイン(株価上昇益)の餌に食いついて、好ましくない経営者や会社の存在を認め、応援したくはありません。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.126 04年1月17日

川瀬さんは、ソフトウェア開発会社に入社して最初に仕事を一緒にした方です。
創業15年の会社で、社歴が13年の即戦力の社員でした。

この方は、公私ともに節目を迎えたときに、情報処理に関する米国の資格取得を目指して会社を1年近く休職されました。会社が初めて、新規顧客開拓のために高額な費用をかけてセミナーを開催した直後のことです。川瀬さんは事務局の中心となって活躍され、会社あげてのイベントは大成功でした。ところが、お約束の参加者へのフォローというフェーズで、彼は休職を宣言しました。失望した上司は経営者に解雇を提案し、会社は休職を認めました。

そして、1年後。
川瀬さんは解決を望んだ2つの課題をクリアして、意外にも会社に戻ってきました。前職の職場長は受け入れを拒み、他の職場長も難色を示しましたので、当座人事部預かりとなりました。その後3ヶ月ほど、赤字プロジェクトの精算(清算ではなく)をされていましたが、このプロジェクトの火消しが終わると仕事がなくなりました。

不稼動
ソフト会社で初めて目にした光景です。仕事のアサインがないSE(技術者)は所属する職場にもどり帰社席(通常はお客さまが提供する場所で業務をすることが多いので会社には出社しないSEのための共有デスク)で待機することになります。この状態を不稼動といい、職場長は仕事探しに必死となります。待機する社員は、仕事がないので定時に出社し定時に帰宅します。1日中、技術関連の雑誌を読んだり、インターネットで検索したりして自習しています。外部との接触はなさそうで、電話もなく話し掛ける人もなく、黙って、読書しPCの画面を8時間見つめています。

川瀬さんは、人事部で不稼動となりました。人事/総務/庶務関連で同僚が忙しく動きまわっている職場で、独りじっと座って読書をし、PCの画面にむかっています。人事部の雑用とか手の足りないスポットの業務すら、SEの川瀬さんには一切まわってこないのです。昼食を一緒にすると好ましくない人事評価をされそうな雰囲気がありました。株取引で例えると、管理ポストから整理ポストに移行したようなものです。

スポーツ新聞では、親会社がリストラしたい社員をまとめて電話のない別室のとじこめ、本人が辞表を出すまで仕事を一切させないという記事が話題になっていました。

川瀬さんは退職しました。その後、自営され現役で活躍中です。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:疲れ目にはブルーベリーと・・・!?

パソコンの見過ぎや、または携帯メールの画面を見つめて、目がショボショボしてくることが多くなるとおもいます。そのような状態では、仕事もアフターファイブもスムーズにはかどらないですね。

そもそもこの『目のショボショボ状態』というのは簡単にいうと、涙がうまく出ていないということなのです。涙というと泣く時だけと思われがちですが、普段の状態でも常に微量に出ていて目を潤しているのです。さらに、涙の成分は水だけではなく、タンパク質やビタミンA等のさまざまな成分が含まれていて、これらが目の栄養補給や洗浄等に大きな役割を果たしているのです。

昨今、目にはブルーベリーに含まれている、『アントシアニン』という成分がいいといわれていますが、これに加えさらに注目したいのが、涙の中にも含まれている、『ラクトフェニン』というタンパク質です。このラクトフェニン、抗生物質にも負けない程の高い抗菌作用があり、これが疲れ目による免疫力の低下から私達を守ってくれるのです。

ラクトフェニンは、実は牛乳等の乳製品に含まれているのですが、熱に非常に弱いものなので市販の高温殺菌した牛乳よりも、加熱させないで熟成し続けているナチュラルチーズ(プロセスチーズは加熱してあるのでダメ)に多く含まれています。

ブルーベリーと併せて摂るようにすれば、まさに鬼に金棒です。仕事や、楽しいアフターファイブのためにも大いに役立ててください。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

小学校の教師からクレームを受けた父兄の話です。
子供の成長記録をホームページに掲載することについて、担任の教師から電話がかかってきたそうです。

「かわいいお子さんの成長記録をホームページに公開される気持ちはわかるのですが、運動会や集合写真で他の児童が写っています。写っている児童の承諾がないとプライバシー、肖像権の侵害になります。また、入学式で君が代を歌っていたのは校長と教頭だけという文章は他にも歌っていた方がいらっしゃいますので、事実と異なります。」
(クレームを受けた父兄は、ただちに不適切と指摘された部分を削除しました。)

この教師の指摘は正しい。特に、入学式での国家斉唱の部分は正確に表現すべきでした。君が代は、校長、教頭、ほとんどの父兄、一部の児童が歌っていました。新一年生を受け入れる担任の教師たちは、しっかりと口を閉じていました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.127 04年1月24日

前回ご紹介した川瀬さんのとなりにいた、SEの長谷川さんを今回話題にさせていただきます。この方は、川瀬さんと同期のようで、お互い名字を呼び捨てにして仕事をしていました。長谷川さんは、高度情報技術者集団の中でも、中堅の優秀な技術者として評価されていました。上司には生意気な口をきくのですが、部下に嫌われて優秀な頭脳が流出したら大変と、トロい上司は黙認しています。要員不足のシステム開発の上流を担当しているので、若手のSE小僧たちには気になる存在です。

社内論文制度

長谷川さんは応募しません。理由は、ご自分が書かれる論文内容を社内で理解できる人間はまだいないと自負しており、上司というだけで、論文を評価されるのは我慢できないということでした。本人は確かにまだ日本に上陸していない手法や最新テクノロジーを日夜自習していますので、なるほどという感想です。

プレゼンテーション

この人のプレゼンテーションやレポートは、すばらしいものです。頭がいいということが、隠しきれず顔や言葉にでてしまうような感じです。何しろ発表内容が、明快です。分からない人間に、分かったような気にさせるプレゼンテーションスキルで右にでるのは、森村社長ぐらいでしょう。

デスクまわり

彼のデスクには、高そうな米国の原書がならんでいます。日常読んでおり、提案書やレポートによく引用しているようです。

弱み一見こわもて。正攻法には滅法強いとお見受けしました。しかし、若いので、変化球や寝技には経験不足で負けてしまいそうな危うさを感じています。

◆あとがき

外国為替取引の無料セミナーに出席しました。意外だったのは、女性が30%ぐらいはいたということです。20代後半のOL風も目につくほどいました。株式の個人投資家が、為替取引にも関心を示しているということでしょうか。

たまたま隣に座った若そうなご婦人には驚かされました。講演が始まると居眠りをはじめ、休憩時間は文庫本をお読みになっていました。20分の休憩が2回あったのですが、いずれも席をたたず読書、本番は居眠りという繰り返し。後ろの席では、女性2人がおしゃべりしていて、途中、大声で「静かにしろ、黙って聴け」と怒鳴られていました。

セミナーでのゲストの話は面白かったのですが、勉強になったのは、拍手の仕方でした。司会者が、「大きく、間隔を短く、勢いよく」と拍手の練習を2回もさせてくれました。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.128 04年1月31日

今回はSMAPの剛クンのような「いいひと」タイプの営業マンの話題です。

この会社は東証二部上場を目指して、経営基盤の確立をスローガンに掲げ着々と課題をクリアしていました。その中で営業力強化が最大課題です。もともと35%の株主がマネージメントの人材を提供し、仕事もその株主企業からまわってくるのをこなしているだけで技術力と経験が蓄積され、それが無借金経営の原資となっていました。

上場となると、親離れし、独自性を証明しなければいけません。クローンでは上場が認められないので、何としても親会社からおりてくる案件以外の仕事を受注する営業力を強化しなければなりませんでした。ところが、高度情報処理技術者集団が運営する会社の限界なのでしょうか、営業マンの感性が理解できなかったようです。歴代の営業本部長は1年で辞めてしまい、今回ご紹介させていただく加藤さんは、株式公開を親会社が宣言した年の営業本部長から数えて4代目となります。

なぜか、上場を目指し営業力強化をスローガンに掲げている会社の営業責任者が1年で辞めてしまいます。その中で、会社が今度こそはと期待した人物が加藤さんでした。結局、この方も上場直前に辞めてしまいましたが、しかし在職期間は2年でした。

加藤さんは、親会社の営業部門で輝かしい功績を残され、80年代後半のバブル経済の大きなうねりの中で、退職、起業されました。以後10年以上ベンチャー企業の社長として東アジアのマーケットでビジネスを展開されました。バブルが本格的に崩壊するとともに業績が軟化しました。結局、会社をたたんでしまいました。そして今度は親会社の営業時代の実績と人脈を手土産にして子会社の営業責任者として復帰されました。

上場直前の会社が重要なポストに幹部社員を登用するわけですから、経営陣は今まで以上に慎重に意思決定をしたことは言うまでもありません。さらにこのポストは短命でしたので今度こそという全社的な期待がかかっていました。そして加藤さんが直近の履歴で会社を潰していることを経営者は評価しました。この人は負けを知っている。打たれ強いという点を社長は買ったに違いありません。

ただし、公開準備室は、管理本部に加藤さんの詳細な信用調査を要求しました。個人で負債を抱えている、サラ金に追われている、禁治産者などという信用不安がある人物を上場前に幹部社員として採用することはできないからです。

管理本部長がいいました。「加藤さん、大変だったのですね。信用調査をさせていただきました。問題なしということで採用が決定しました。」

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:「冬の乾燥肌と顔のテカリ」

でも30才を過ぎたら・・・

冬は肌が乾燥して困りますね。しかし、こんな乾燥する季節でも顔だけは(特にTゾーンといわれている部分等)何故かアブラっぽくテカってしまいますね。

顔のテカリの原因は『皮脂』のせいですが、この皮脂・・・化粧ノリがしないとかの理由等で、何かにつけ目の敵にされがちです。しかし、その一方で皮脂は、顔の水分が蒸発するのを防ぐという大切な働きもしているのです。皮脂が顔だけでなく肌の表面を覆っているからこそ潤いが保てる訳で、皮脂はいわば、『天然のクリーム』ともいえるのです。

しかしながらこの皮脂は、30才半ばを過ぎる頃からは分泌量がどんどん減少していきます。ですから、この年代になって顔を毎回洗顔料でゴシゴシ洗っていると、皮脂分泌が追いつかずに逆に乾燥して潤いがなくなり(特に冬の季節は・・・)、小ジワや肌荒れの原因になってしまいます。これに対処する方法は、汚れやメイクは夜にしっかり落としておいて、せめて朝の洗顔は洗顔料を使わずに、ぬるま湯でもって丁寧に洗うだけにしましょう。そうすれば、必要以上の皮脂が落ちる心配もなく、適度な潤いが保てる・・という訳です。

ちなみに、ツボ療法での乾燥肌に効くツボは、1)血海(けっかい)・・・膝のお皿の内側角から三横指(人差し指、中指、くすり指までの部分)上にいった所。2)三陰交(さんいんこう)・・・足の内くるぶしから四横指(人差し指~小指)上にいった所などです。お風呂あがりに丹念に押してみましょう。血行がよくなり、肌の乾燥を予防します。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

1月29日は長い一日でした。早朝午前2時に目が覚め、そのままペンディングの仕事を片付けはじめました。朝9時になると株価が下落、前日利食いして逃げ切ったと思った株だけが100円近く上昇し、損した気分になりました。(この株は翌日も上昇し、またまた自分には博才がないことを実感させられました。)

そして、午後になると、共同で出資している会社にこれ以上投資しないと、夢を共有したはずの仲間から「損切り」の書留郵便が、届きました。織り込み済みなどと強気に反応することも可能ですが、今回は目前に大きな案件を2~3抱えているので淡々と事務処理することにいたしました。

スクラップ&ビルドです。ベンチャーは、藁をもつかみ粥をすすっても、ギブアップはしません。ネガティブインパクト?とんでもございません。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.129 04年2月7日

「縁故採用」

原宿にある同族企業に毎日8時前に出勤して12時間労働を10年近く続けていた頃、毎年50名超の縁故採用がありました。公務員のキャリアとノンキャリアのようなもので、縁故採用は、キャリア組でした。政財界の大物の血を継承する若者が、出自を明示して入社してきます。

この仕組みは、経営者にとっては安定株主のようなもので決して期待を裏切りません。キャリア組の若者はハングリーではありませんが、封建時代同様、子供の不始末は一族郎党が責めを負うので、問題は決して発生しません。経営者が必要とする仕事を、彼らは一族の力を借りてこなしていきます。そして、数年後、退職し家業を継ぎます。国会議員であったり、同族会社の経営者であったり、実家の業務提携先との婚姻であったりします。

この仕組みは、中小企業では機能しないことがあります。「人質」大企業の営業担当責任者の子弟を、中途で採用した会社がありました。この会社は、取引先企業のVIPの子弟を受け入れることで、受注増を期待しました。ところが、「買い」の思惑がおおきく外れました。三ヶ月たっても受注はなく、子弟の勤怠は非常に悪く、一般社員の評判も悪いという三重苦になりました。

「反省」人質をとって取引が成功することは、映画ではあまりありません。このような不適切な商行為は、やはりいけないことなのでしょう。失敗が明らかになるまで、成功すると信じていたのです。受け入れた子弟を商売の道具にするのではなく、育てて実家に戻すという気持ちが、欠けていたのです。たとえ「人質」に属人的な欠陥があったとしても、目先の利益に惑わされて、縁故の意味を忘れていました。

◆あとがき

ベンチャー企業として創業して6ヶ月。当初の事業計画では、長くて半年は種蒔になるので、資本金を原資にして辛抱する期間と設定していました。実際に半年過ぎ、総論として事業計画は、当初の見込みどおりであることが確認されました。

見込みを大きくはずしたのは、温度差が原因と思われるスピード感に欠けるパフォーマンスでした。ベンチャー必須条件である、リスクは自分が負うという気持ちになりきれず、「岩陰の大将」を生みだしてしまいました。大企業出身者で創業した会社なので、経歴、実績、人脈、個人の資質とも順風満帆の環境では相乗効果ですばらしい成果が期待できます。ところが、ベンチャーという環境には、まったくの素人集団でハングリー精神の不十分さが命取りになりかねません。ことここにいたって、素人集団が、損切りするか腹をくくって更なる一歩を踏み出すかの正念場を迎えました。

ひとつ学んだことがあります。成功している経営者は、複数の肩書きをもって社会に貢献しています。ところがベンチャーで肩書き兼務は「二兎を追うもの一兎を得ず」状態になり、一石二鳥などとんでもない勘違いということでした。これがだめでも、あっちがあるなどと現状をエクスキューズしてしまう恐れがあるのです。早晩、どっちもないことに気がつくのでしょう。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.130 04年2月14日

「SE小僧の感性」

ソフトウェア開発の会社に転職して企業文化の違いを感じたのは、高度情報技術者集団を構成する下部組織である小僧たちの感性でした。日常の言行は、ロジックとしては間違いないのですが、どうも違和感があります。

会社が初めて、新規顧客開拓を目指して大きなイベントを開催したときのことでした。金400万円ほど費やして、500人のお客さまをホテルの宴会場に招待、米国から著名な博士を招聘して無料セミナーを実施しました。株式公開に向けた、事前IRの第一弾でもありました。集客、セミナー内容、接遇など問題なく終了しました。ところが、大きなそして意外な落とし穴がありました。

事前IRですから、当日のセミナー風景や、主要なお客さまと博士とのスナップ写真などをプレスリリースするのですが、当時はまだデジカメがメガピクセルではなく、とても記録写真にはならない解像度でした。以前からある会社保有のカメラを使って撮影をしました。その撮影を担当した小僧の話が今回のテーマです。

この子は、一流大学の理系を卒業し社歴3年で、経営陣は同期の中でトップクラスの評価をしています。若手が担当する社内報の編集委員のリーダー格で、本人は今回のイベントでは、記録係としてカメラマンを担当しました。2日待っても写真が届かないので、本人に問い合わせたところ、全部露出不足で、修正を試みたが記録写真として使えないという返事でした。

2日もたつと、営業部門からはお客さまと博士のツーショットの写真を要求されるし、経営陣からは、プレスに写真をまだ渡していないのかというチェックが入るという状況です。伏魔殿でした。仕上げの段階で失策となりました。

ところが、記録を担当した小僧はお咎めなし。本人のコメントは「会社のカメラが壊れていた。修理が必要。」会社が提供したカメラが壊れていたので、それを知らずに使った小僧には過失はないということです。そして、壊れたカメラを提供した総務と、それを使うように指示したイベント実行委員会の責任者が責めを負いました。

もちろん、この子は大人たちにごめんなさいの一言も発せず、日常業務に戻りました。正しい。小僧はこれを使えと渡されたカメラのシャッターを押しただけです。大人としては、小僧に何を言ってもだめな写真は良くならないので、せめて一言「ごめんなさい」と言われたかったということです。

反省。

使用機材はダブルで用意し、事前に動作確認をすること。ごめんなさいが言えない小僧や小娘には、仕事を任せないこと。

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:「快適な眠りと目覚めに」

快適な眠りと目覚めは、私達の生活には欠かせないものですね。寝付きが悪いと、体だけでなく、特に女性にとっては肌の調子にも影響が出るし、また寝覚めが悪いと、なんとなく一日中スッキリしませんね。そんな時は、今流行りのアロマで、寝入りの香りと寝起きの香りをそれぞれ使い分けてみましょう。

夜、興奮してなかなか眠れない時には、アロマではおなじみのラベンダーや、またはローズ(バラ)の精油や、香水をティッシュに一、二滴つけて枕元や、または胸元に置きます。これらの香りは、中枢神経の鎮静作用をもたらし、しらない間に深い眠りにおちていきます。睡眠薬の副作用のことを考えれば、自然の香りで眠りについた方が健康的でずっといいでしょう。

また、朝がなかなか起きられずに、いつもぼんやりとしていることが多いという時は、ティッシュにレモンの香りをつけてにおいを嗅いだりすると、朝はスッキリと目覚めてくるでしょう。こちらの香りは、ラベンダーとは逆で、中枢神経の覚醒作用を促進させるといわれています。

快適な香りの中で眠り、爽快な気分で起きることができれば、心も体もリフレッシュして、その日一日を元気に過ごすことが出来るでしょう。(上記の香りの選択は一般的なものです。人によってはその香りが、あわない場合もあるので、その辺は専門家に尋ねてみるのもよい方法です)

中野坂上治療院 古賀直樹

◆あとがき

社会に出て、初めての職場には社員用バーバーがありました。業務時間中のアイドルタイムや、夜勤明けに利用できるので大変便利で、また会社から補助があり、散髪代は近所の床屋の半額でした。その後、30年近く、移籍して勤務場所が変わったり転職して遠隔地に移ったりしても、月に1回は元社員としてマスターのお世話になっていました。そのマスターが引退するとき、「あんたは、いい時を味わったのだから幸せだよ。世界中を仕事で旅して、うまいものを喰って。今の若いモンはかわいそうだよ。景気の良かった頃を知らない、こんな不景気の世の中で暮らしているのだから。」と言われました。

だから、かわいそうな若いモンが、ごめんなさいを言えなくても、勘弁してやります。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.131 04年2月21日

「公僕」

これも死語かもしれません。
格下の小僧に人事考課されるということ。屈辱とまでいかなくても、もうそういうストレスから自由になろうと思い、サラリーマンを辞めました。宮仕えでも、経営者でも被るリスクは同じだとしたら、小僧のリスクまで負いたくありませんから。
そこで、創業となるわけですが、ここにも心理的なハードルがあります。専門家にお金を払わないと、設立登記で意地悪されそうになります。

東京法務局の新宿出張所は、非常に職員の対応がよろしいです。法務局のOBが生業としている事務所に書類作成を頼まないで、自分でやろうとすると、力仕事になります。なりしろ、聞いたことしか答えてくれません。当然です。一から十まで説明するわけにはまいりませんから。でも、聞いたことしか答えないという人たちには、共通項があります。親切ではないこと。仕事に行き詰っているか、不満をもっていること。もちろん組織の本流から外れている人。こういう人たちです。そういう人たちに、窓口で不運にもぶつかってしまうと、こちらも不幸になります。

一例です。
素人が法令書式を文房具屋で買って、記入して提出しようとしたときです。
マニュアルどおりに記入して、お上の相談窓口にもっていき、提出前に確認のお願いをしました。お上の職員は、なんと、民間人が丹精こめて作成した書類を目の前で、乱暴に扱ってくれました。まるで、空港の荷捌き場で係員が搭乗客のスーツケースを乱暴に扱うようなものです。(この現場は昔、見たことがあります)今回は、公務員が都民の目の前で、やってくれました。

何の用だとも思える態度で、相談にのってくれ、こちらが作成した原本をページが破けそうなくらい乱暴にめくってくれました。民間人は悲しいかな、そこで文句がいえませんでした。他に行くところはありませんし、受理してくれないと商売ができません。

しかしながら、商売をして、儲けて、税金を払うから、公僕が給料をもらえるはずです。公務員というのは、民間人が稼いだあがりの一部を徴収して自分たちの取り分としているはずです。法務局は営利行為をしないコストセンターです。

一方、税務署は少し違います。民間企業にがんばってもらい、税金を少しでも多く払ってほしいと顔にだします。金を使う武士と稼ぐ町人の力関係みたいなもので、いつか公務員が公僕とならざるを得ない状況がくるかもしれません。その日が一日でも早く来るように適正な商行為で税金を払いたいものです。

◆あとがき

第三セクターでリゾート開発という事業がまだ健在です。事業内容が健在というわけではなく、先例に懲りず、税金を使って、私企業と共同で国民の福祉向上、地域活性化、雇用創出という錦の御旗をまだ振っているお役所があるということです。

昔お世話になったオーナー企業では、オーナーが事業所に視察に見えるときは、最小の人員で対応していました。オーナーが行幸される事業所ではいつもより少ない人員配置をしました。たとえば、10人いる職場はそのときだけ5人のみ在席するとかして、余剰人員を抱えているとオーナーが誤解されないよう配慮していました。

今回耳にしたリゾート開発は、運営する民間企業が1日130万円の借用料を払うというリゾートです。粗利30%弱の商売で、24時間365日稼動で割った1日あたりの土地建物の借用料です。台風が来たら、雪が降ったら、交通止めの事故があったら、その日の分まで稼がなければいけません。このリゾートでは、某厚生年金会館のような無駄な人件費は使っていないそうです。だから、民間人は倍の仕事をこなさなければなりません。

構造改革をやられたら、公僕は地獄を見ることになるでしょう。

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「父の転職AtoZ」異業種=情報処理産業
No.132 04年2月28日

ITバブルの時、IPOに向けた経営基盤整備のなかで、レジャー産業出身者が異業種である情報処理の会社に職を得たわけですが、4年過ごした後、この会社は終わりそうと感じ始めました。会社は20年近く、親会社からの仕事をこなして、キャッシュフローの体力をつけ、株式公開という目標を達成しました。その後、持ち株に資産を投入した社員の期待とは違う方向に会社が進んでいくような経営判断がいくつかあり、疑問を感じた幹部社員は株を手放し始めました。上場目前に、ストックオプションをもらっていた幹部社員が流出したのは、今から思えば、終わりの前兆であったようです。

チーズを探す3匹のネズミの小話が一時ベストセラーになりました。社員としていつまでチーズにありつけるかを漠然と考えていた時でもあり、意思決定の背中を押してくれました。このままでは、会社延命のために、間違いなくリストラを経験します。これは何よりもこだわりたい、「誇り」を傷つけます。この傷は自分にとっては致命的であると確信していました。いつからか忘れましたが、誇りとか美学とかを優先していました。

初めての外資企業で、日本の代表が「名を惜しむ」と一言もらしたことがありました。アトランタで、美味しい日本市場をだれが担当するかという覇権をめぐるドラスティックな動きがあり、体調を崩して会議・会食を欠席したら、次はないという緊迫した力関係のなかでの発言でした。内部闘争をしのいで、日本代表のポジションを確保してくれないと、自分のデスクもなくなります。このときは、自分のポジションについても覇権争いが生じていましたので、ハイリスク・ハイリターンのビジネスゲームに参加しました。

今回はビジネスゲームに参加しないことにしました。異業種出身のため、情報処理の会社ではこれまでの経験と人脈はまったく当てになりません。このままだとハイリスク・ノーリターン、いずれリストラされるという、不名誉な撤退となりかねません。そこで、船が沈む前に、ネズミは逃げ出すことにしました。まずは、同志を募り、シャドウキャビネット風に、マネージメントチームをつくりました。そこで提案書をつくり、ヘッドハンティングのエージェントに営業活動を始めました。

(次号につづく)

◆古賀院長のリフレッシュコーナー:「シャワーよりもお風呂」

寒いこの季節、お風呂に入るのはとっても気持ちがいいものですね。でも、たとえこんな寒い季節でなくても、私達はシャワーではなく、なぜかお風呂に(わざわざお湯を沸かしてまで)入ってしまいます。「いいえ、私はいつもシャワーで済ませる!」という人だって、温泉に行ってまさかシャワーだけ・・・なんてことはないでしょう(本当の風呂嫌いは別ですが・・・)。

体を温めて、肌の汚れを取るという目的ならばシャワーだけで十分なはずです。私達がお風呂が好きなのは、そこにどんな理由があるのでしょう?

まず、お風呂に入ると、浮力によって体の重力から解放されます。湯船の中でなら、両方の親指だけでも体が持ち上がりますよね。これは浮力によって、体重の負担が軽くなっているのです(空気中の約9~10分の1)。これによって、腰や膝を始めとした体の各所にかかっていた重さの負担が減ってリラックスできるという訳です。

また、浴槽の中では体に水圧がかかります。これにより、胸まわりや横隔膜が圧を受けて肺の中の空気量が減り、呼吸が多くなります。激しい運動中のそれとは違い、お風呂でゆったりしている時のこの状況ならば体にあまり負担がかからず、むしろ、抹消血管は拡張して血流が良くなり、汗によって体の老廃物が排出され、疲労の回復を助けてくれるのです。

日本人ほど、お風呂好きの国民はいないといわれます。疲れたときや、リラックスを味わいたい時は、積極的にお風呂に入るようにしましょう。

中野坂上治療院
古賀 直樹

◆あとがき

キャッシュフローの問題で、東京都の制度融資を申請したとき信用金庫の営業担当にきっちりと言われました。

「担保提供をしたら融資が受けられるというのは、考え違いです。信用保証協会は、返済能力を判断します。返済できなければ、担保をとりあげればいいというわけではありません。我々は、担保処分業者ではありません。」
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No.133 04年3月6日

今週のできごとをご紹介します。先週のつづきは、勝手ながら翌週に繰越しさせていただきます。

内容:信用調査をネタに詐欺もどきの勧誘

発端:火曜の朝、会社に「緊急で信用調査の依頼を受けたので、インタビューしたい」という電話がはいりました。「今回の依頼は上層部からの依頼です。詳細は調査員がうかがうので時間をつくってほしい」とのことでした。それも、依頼主が急いでいるので、1時間後に会いたいとのことでした。そこで、急遽、予定を変更して、オフィスで待機しました。
オフィスに現れた人物は、調査会社の名刺、封筒を持っていました。よく聞くデータバンクに似た名前でした。電話口では、詳細な聞き取り調査をしたいといっていましたが、実際のインタビューは、短く簡単なものでした。調査員は次のように言いました。

「今回の信用調査は、上層部からの依頼で、緊急とのことです。依頼主がどこか心当たりがあると思います。先方は、今回の取引を前向きに考えており、私どもも良い結果となるようご協力したいと思っています。御社の経営内容と社長の経営方針をうかがい、依頼主にレポートさせていただきます。」

簡単なQ&Aの後、電話を貸してほしいといい、調査員は目の前で上司にインタビューの内容を報告しました。その後、電話をかわってほしいといわれました。電話口で調査員の上司という人物が早口で今回の調査の重要性を説明してくれました。その後、話が勧誘に変わっていきました。

「今回の調査は、調査員のレポートによると問題ないと思います。そこで、本日うかがったデータを当社で預かり、メインテナンスをさせていただきたいと思います。御社の信用調査の依頼主には、弊社が御社のデータを預かっているということをレポートします。もちろん、御社のデータを弊社が預かったかどうかは依頼主の調査項目に入っています。」

ここで何か変な感じがしまし、データを預かるというのは有料かどうかをたずねたところ、年間12万円という答えがかえってきました。

「調査の依頼主がだれかも知らされず、その依頼主が会社データ保管料12万円を払ったかどうかを信用調査の項目に入れているというのは、納得できません。」と応えたところ電話を、目の前の調査員がさえぎり、電話での勧誘が終わりました。

調査員は、次にサービスメニューを提示し、「12万円というのは御社が信用調査を依頼される場合の費用が含まれています。御社では信用調査が必要ないと思いますので、その場合は年間3万円で会社データのメインテナンスをします。そして他の調査会社からの与信調査には代理応答のサービスがあります。社員を新規に採用される予定があるそうですから、その際にも役にたつと思います。」

そこで、信用調査を受けるのに、費用が発生するとは思わなかったといい、今回の信用調査項目に調査会社との契約有無が条件にあり、これを拒否した場合はどうなるかと聞きました。答えは、依頼主にデータ保管を拒否したことをレポートするだけとのことでした。それでは、12万とか3万とかの費用支出を即決するわけにはいかないので、1日待ってほしいといいました。調査員は依頼主がレポートを急いでいるので、待てないといいました。

それでは2時間待ってくれないかといったところ、

「1時間でも1週間でも同じことです。長い経験から、即決できない人は、時間をかけてもできないのです。依頼主は急いでいるので、会社に連絡してFAXで即レポートすることになっています。わかりました、依頼主には拒否したことをレポートします。」

質問「拒否すると、弊社の信用調査はどうなりますか」

答え「即決できないということは、経営者の資質の問題です。人物評価の項目では、経営判断力が不足、他人の話をきかないというレポートをいたします。」

ここで、和やかな雰囲気を維持しながら、調査員には会社に戻っていただきました。

今回の信用調査がらみの勧誘は、いいタイミングでした。まさに複数の取引先から注文書をもらう前日でこちらは、その辺かと勘違いしました。時間がたって思い出したのは、某大手調査会社のインタビューを受けたときも、このような勧誘を受けました。大きな違いは、即決を迫らず、検討して後日返事をもらいたいということでした。そのときは、事業管理の担当者が契約したいといってきました。

◆あとがき

今回の与信調査は、詐欺まがいの勧誘だったと思っています。拒否反応がでたのは、電話口での上司なる人物が、目の前にいる調査員より若い感じで、早口でまくしたてたことでした。たまに電話で商品先物の勧誘を受けますが、よく似ていました。早口で丁寧な言葉を使い、金額の話には触れずに契約を迫るやり方です。

そして、時機をとらえた巧妙な勧誘で3万円すら被害に遭わなかったのは、支出に慎重だったからではなく、今月は単に運転資金に余裕がないという不幸な理由だけです。

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No.134 04年3月13日

ITバブル期にシステムインテグレータ、業界用語でSIer(エスアイアー)に転職しました。3年後に会社は計画していた東証二部上場を果たしました。ところが、多くの社員は幸せになりませんでした。上場すると会社は、株主/経営者と社員のどちらの利益を重視するかということをOJTで勉強させてくれました。株屋さん出身者が経営する会社が、社員の側に立つわけがないと想像できますが、実際に資本の論理を見せつけられると、愛社精神とか事業計画達成とかが、社員の幸せにつながらないのではないかと、疑いはじめます。少なくとも、ヒトは、会社の3大資産のひとつといわれているので、社員を大事にすると期待しますが、この会社は上場により変質しました。

そこで、「株屋さん経営者集団というものはSE小僧以上に人間味がない」と評価し、リストラ前にスピンアウトして、利益確定売りと損切りをしようという結論に達しました。

このまま会社に残っても、徳にならない、がまんがならない、そして何よりも「名を惜しむ」者などが集まり、小さな「シャドウキャビネット」をつくりました。雇用されている会社に対して経営改善の提案は時間の浪費と判断しました。これから日本市場でマーケティング活動を考えている米国企業(スタートアップの会社)、または日本法人を設立したがうまくいっていない会社などをターゲットにして、日本市場で商売をするのに必要な企業風土を理解し、人脈をもち、成功体験をもっているマネージメントチーム(シャドウキャビネット)を売り込むことにしました。

ヘッドハンティング会社への提案書の前文を紹介します。

「狙い」

日本法人・日本事務所に、当マネージメントチームのうちから、適任者を送りこむ。さきのりしたメンバーを中心に、種々の業務分野(経営、営業、マーケティング、広報・宣伝等など)における熟達者が集まって一つのビジネス・ユニットを構成する。極めて短時間の内にこれら熟達者を集めることができ、即、業務をスタートが可能となる。なお、これら熟達者は、全員、英語堪能であり、1つないし2つ以上の外資系企業で働いた経歴を有する。

1-1 日本事業展開を開始する外資系企業にとってのメリット

(1)極めて信頼性の高い熟達者を一度にリクルートできる。すぐに業務をスタートできる。

(2)熟達者達は、過去において国内の同一企業で仕事をしたことがあり、彼らの各分野での業務遂行能力は実証済みであり、また最高の意思疎通を計ることができる。

(3)個々に一本釣りしたスタッフの寄せ集めの組織に比べ、求心力と信頼性の高いプロフェッショナル集団による事業展開ができる。

(4)日本市場での未知の製品・技術の展開は、若年アマチュア集団では、経験不足のためリスクが高く、顧客開拓とブランド構築に時間を要する。一方、日本市場において30年にわたる知的・人的財産を有する本ビジネス・ユニット(専門分野の熟練者集団)を活用することによって、成功率の高い事業展開が可能である。

―次号につづく―

古賀院長のリフレッシュコーナー:「動悸・息切れ・胸の苦痛には」

動悸・息切れ・胸の苦痛は、暑さや寒さに関係なくある日突然襲うことがあります。狭心症や、心筋梗塞のように、心臓そのものに異常がある場合は、すぐに専門のお医者さんに診てもらうのが一番です。しかし今回は、その他の原因で動悸などが起ってしまう、いわゆる『心臓神経症』というものをとりあげます。

心臓神経症は、心臓には何の異常もないのに、夜中に突然動悸がしたり、階段を少し上がった程度の運動で息が詰まって胸が痛くなったりします。一般的には、神経質な人や、自律神経失調症、更年期障害などで起こるとされてきましたが、最近ではストレスの多い世の中のせいか、さまざまな年齢、さまざまな人がこの症状を訴えることが多くなり、まさに現代病の一つといってもいいでしょう。でもこの症状自体は命の危険はありません。むしろ、そのことからの不安感からか、過食や拒食になったり、タバコやコーヒーなどの嗜好品のとり過ぎになったりして、身体を壊す方が心配です。生活の不摂生と食生活には十分注意をしましょう。

ツボ療法で、動悸や胸の苦痛に効果があるのは次の4つが代表に挙げられます。

1)『だんちゅう』:胸の両方の乳首を結んだ線の中央。

2)『きゅうび』:みぞおちの少し下。

3)『げきもん』:手の平側の前腕のちょうど中央。肘から手首までの距離の真中。

4)『しんもん』:手の平側で手首の小指側のでっぱりのところ。

これらのツボをそれぞれ10~20回、根気よく、ゆっくりゆっくりと指圧します。

胸の苦しさも少しずつ楽になってくるでしょう。

中野坂上治療院 古賀 直樹

◆あとがき

近頃は、夜眠れないという悩みがなくなりました。21時を過ぎると眠くなります。眠くなったら寝てしまいます。そのかわり、午前2時とか3時とかに目が覚めることが週に1~2回あります。そのときは、もう一度眠ろうとはしないで、そのまま夜まで起きていることにしています。
そういう日の朝、電車のシートが暖かいと、幸せな気分を味わえます。ほんの10分ほどの居眠りが心地いいです。さらに会議中に居眠りができたら、かなりの満足感が得られると思います。「会議中に居眠り、お構いなし」というような会社があるとたまりませんね。早起きして仕事をしているビジネスマンに情状酌量とか、司法取引とかの配慮検討余地はないでしょうけれど。
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No.135 04年3月20日

「株屋さん経営者集団というものはSE小僧以上に人間味がない」と現在の職場を評価しました。そこで次に、リストラされる前にスピンアウトして、利益確定売りと損切りをしかけることにしました。

このまま会社に残っても、徳にならない、がまんがならない、そして何よりも「名を惜しむ」者が集まり、社外に「シャドウキャビネット」をつくりました。雇用されている会社に対して経営改善の提案は時間の浪費と判断しました。これから日本市場でマーケティング活動を考えている米国企業(スタートアップの会社)、または日本法人を設立したがうまくいっていない会社などをターゲットにして、日本市場で商売をするのに必要な企業風土を理解し、人脈をもち、成功体験をもっているマネージメントチーム(シャドウキャビネット)を売り込むことにしました。

「200X年のアイアコッカを目指して」:ヘッドハンティング会社への提案書のキーノートの一部を紹介します。(原文は英語版です)

1.ナレッジマネージメントを推進する。

1)共有資産として会社の情報と知恵を共有する。

2)情報を制限/規制するのではなく分かち合うオープンな環境とする。

3)会社の現況を、従業員と経営幹部に時差/格差なく知らしめること。

4)経営者からの週間ニュースを社内に発信する。

5)あらゆる種類の提案、苦情などを受け付けるために社長室のドアを開放する。

6)経営者は、社員が発した否定的なコメントや不平不満により当該社員が不利益を被ることのないことを保障する。

2.事業活動のつながりを強化する。

1)効率的なレポートシステムを構築する。

2)意思決定のスピードアップをはかるため、ミニマムでクリティカルな会議体を編成する。

3)勝者のチームを組織するために会社組織を改編する。

4)経営企画と内部監査のチームを編成する。

3.利益体質を向上させる。

1)全社員にマーケティングマインドを啓蒙し、生産性と売上/利益を向上させる。

2)有能な営業、技術、計数管理のスタッフを登用する。

3)ISO9000、14000を取得する。

4)中核技術に経営資源を集中する。

5)コスト削減、SCM導入、適正なソフトウェアを活用する。

4.コーポレートブランドイメージを向上させる。

1)従業員のモチベーションを高める。

2)人事評価システムをリフォームする。

3)給与体系を見直す。

4)経営スタッフとの密接なコミュニケーションをはかる。

5)広報活動を展開する。

―次号に続く―

◆あとがき

桜全線が北上を始め、関東では真夏日の地方があるほど暖かい日が訪れたり、本日のように東京はみぞれまじりの寒い日になったりして、今年は気温が乱高下しているような感じがします。気象予報士と株屋さんアナリストの皆さんのコメントはよく似ていますね。

気圧配置や株価チャートなどを見せて、昨日の結果を分析し、今日一日なり一週間の動きを予想します。当たるときもあり外れるときもあります。

「餅は餅屋に」といって、その道のプロに頼めば間違いないといわれますが、予想屋さんは、予想についてはプロの餅屋ですが、リスクを負う実行の餅屋ではありません。実行に関しての餅屋は自分自身であること、「他人に期待するから裏切られる」ということを、つい忘れそうになります。予想を参考にして行動する際は、結果については自己責任であることを、忘れる以上に思い出したいものです。
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No.136 04年3月27日

以前、中国ビジネスの留意事項としてご紹介申しあげた中で、最近、思い違いをしているのではないかと気になっていることが2点あります。

「定着率」と「人脈」についてです。

1)定説

中国ビジネスの定説となっている「定着率」についてですが、中国通の方がおっしゃるには、中国人は経験やノウハウを身につけると、給料の高い他社にすぐ転職してしまうので、信用できないとのことでした。また、「人脈」についても、中国人は人脈を重視し、面識のない相手は信用しない、人脈をもつ人を確保することが重要であり、これが対中国ビジネスのキーとなる。したがって、ビジネスを紹介してくれるという人民政府の官僚とその家族友人知人がキーパーソンであり、この人たちが要求する紹介料(成功報酬)は不可欠なものだそうです。

2)反論その1:従業員の定着率

中国の民営企業は着々と国営企業を買収して事業拡大に成功しており、莫大な個人資産を蓄えているビジネスマン(オーナー)が絶対値では日本人をしのぐ勢いで増加しています。月給が3万円あれば4人家族が普通に暮らしていけるという地方都市で、BMWやゴルフ、米車、ホンダなどの乗用車が日本国内と同じ価格で売られています。市内をそういう外車が走っており、東アジアの半島と同じように交通渋滞が発生しています。

この購買力を支えている富裕層が経営している有限公司が、低い社員の定着率で維持できるとは思えません。事実、最近お付き合いのある中国企業(業界ベスト20社にランク付)では、自己都合での退職がほとんど無いそうです。

中国は13億の人口を抱えており、日本のような高齢化社会ではないので豊富な若年労働者が存在します。この会社は、国営企業を次々と買収して事業拡大に成功していますが、社員の退職率は20%だといいます。それも会社都合です。徹底した成果主義が導入されており、安泰なのはオーナー社長だけという会社です。過去の実績や功績は、毎年リセットされ、事業年度の成果だけが評価され処遇が決定されるそうです。会社は成果に対して相応の処遇をするので、生き残っている社員には快適な生活が約束されています。仕事を覚えたら転職するなどという気持ちはなく、現在の待遇を維持または改善するために切磋琢磨するとのことです。ちなみに、この会社の日本連絡事務所は、1名で運営され、その1名の方はオーナーと同じ大学出身という人脈をもち、給料のほかに、衣食住すべて会社負担、事務所の家賃は月60万とのことです。日本で身につける衣服、1日3食の食事代を会社が負担しています。もちろん、交通費、会議費、接待費もすべて会社負担です。

この待遇には、成果が常に要求されます。

2)反論その2-人脈

中国では人脈がものをいう社会というのは、否定しません。この会社では、人脈とか縁故とかで入社した社員が成績不良の場合は、採用した社員も連帯責任を負います。文字通り入社の際の連帯保証人は、責任を問われます。キャリアパスの転職など論外です。この会社は徹底した成果主義をとる一方、取引先の選定では人脈が重視されます。そして、同じように成果主義をとる経営者仲間が人脈の中心に存在します。

3)反論その3-官僚主義

1党独裁、社会主義、官僚主義、権威主義などという概念は、中国ではなく日本の方があてはまるそうです。成功している中国民営企業の経営者は米国資本主義の教育を受けており、日本とは比較にならないほど徹底した資本の論理で事業をしています。経営者たちの人脈には、オールドファッションの元官僚とか、原価意識のない人民政府の役人は含まれていません。利益をもたらさず、紹介料だけ要求するような官僚は、国営企業向きです。そして当の国営企業は民営企業に買収されつつあります。

4)日本=中国の一少数民族

中国数千年の歴史の中で、東アジアの島国がナンバーワンであったのは、ほんの一瞬のできごとであり、毛沢東体制と同じように、極めて特異な時期であったという認識が徐々に現実味を増してきています。

古賀院長のリフレッシュコーナー:「冷湿布と温湿布の使い分け」

捻挫や肩がこった時などのちょっとした筋肉のトラブルに、とかくお世話になることの多いのが湿布薬ですが、一般的に湿布薬というと、冷湿布と温湿布の二種類がありますね。この二つ、性質は全く正反対なのに、どちらも肩こりや腰痛に効くなんて書かれてありますが、これではどちらを使っていいのか迷ってしまいますね。では、この二つの湿布はどちらをどう使い分ければ効果的なのでしょうか?

通常、急激に起こった痛み(足首の捻挫やギックリ腰など)には、冷たい冷湿布を使うのが効果的です。何故ならば、この時の痛みの原因は、筋肉の『炎症』であって、患部では熱や腫れが起こっているのです。こんな時に温めてしまうと、症状をさらに悪化させてしまい、逆効果になります。こういう場合はまず冷やすことで、炎症の元である熱や腫れを和らげるのが重要になってきます。

では、温湿布はどういう時に使えばいいのでしょうか?これはさっきの例の逆で、慢性的に痛い(または、こっている)肩こりや腰痛などが、寒い所にいたなどの理由で体が冷えて血行が悪くなり、いつもの痛みよりも辛くなった時に用います(患部に熱や腫れがないかを確認!)。そうすると、患部が温められ血行が良くなり、痛みも和らいでくるという訳です。

冷・温の使い方・・・逆効果にならないように、うまく使い分けるようにしましょう。

注意:稀に、痛みや症状によっては、上記の使い分けの例外もあります。どちらを使っていいかわからない時は、専門家に尋ねるようにしましょう。

中野坂上治療院 古賀 直樹

◆あとがき

円高、新年度入りで資金流入による株高、外国人投資家の日本株買い、景気回復感、デフレ脱却感など、ようやく「桜咲く」という一報が聞こえてきました。

良い週末をお過ごしください。
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No.137 04年4月3日

ヘッドハンティングのエージェントへの提案活動を開始する際、思い出したことがあります。最初に就職した会社には15年勤続しました。その会社を転職するときはバブルの最盛期の少しまえで、まだ転職とか独立開業が話題になる時代でした。

「社員の退職」

前号で成長させていただいた中国民営企業の人事評価システムですが、20年以上前、勤務先の日本企業は同様の人事管理をしていました。社員が辞めたいというと、この社員を採用した当時の責任者と最初の配属先の当時の職場長が管理教育責任を問われました。

社員が不祥事を起こすと、新入社員当時の事業所の責任者が事情聴取を受けます。現在の上司ではなく、教育をした当時の上司に責めがまわってきます。このような社員にしてしまったのは、上司の社員教育やら管理やらに問題があったと、経営者は考えました。

これには別の意味もありそうです。たとえば、事業所でTVカメラにむかってごめんなさいといわなければならない重大な事故を社員が起こしたとき、会社の処分は、当該社員と当該事業所に配属された当時の責任者が処分されます。現在の事業所責任者はお咎めなしというケースもありということです。現在の責任者が経営者層と特別な関係がある場合に適用される特例処置ともいえそうです。

「転職活動」

次に、会社に不満と限界を感じた社員は転職を考えます。ここで、この会社は厳しい要求を退職予備軍につきつけます。就業中に転職活動を行った者は、懲戒解雇です。わずかですが退職金をもらえなくなります。通常、社内の関連職場をまわって、退職のあいさつをしますが、このとき、「つぎはどうする、困ったときは相談してくれ」ということを職場長たちは、やさしく囁きます。ここで具体的な再就職先や、求職活動について口がすべると大変なことになります。就業中に転職活動をしたとみなされ、退職金の支払い処理が保留となります。人事担当者のなかには、このような事例を辞めたいという社員に説明してくれる、いい人もいます。

「解雇」

いい時代でした。リストラという解雇は、バブル期には存在しませんでした。フットワークがよく、能力に自信のある社員は転職によるステップアップに挑戦していました。

時代がかわり、人件費削減で利益を確保しようとする会社では、リストラ対象の社員の転職活動は熱烈歓迎です。株屋さんが高度情報処理技術者集団の業態変更を仕掛けている会社では、リリース対象社員をまず現場から隔離し、1ヶ月間転職活動に専念するよう告知します。今は、転職者に細かい業務引継ぎを会社は期待せず、出社無用で求職活動をしなければいけない時代に変っていました。

◆あとがき

リクルートの完全能力主義が発表されました。

賃金水準、勤続年数など社員の過去の経歴や実績を人材配置や評価の項目から削除し、社員の現在の能力だけを評価対象にするとのことです。

そういえば、ヘッドハンティングのエージェントへ提出する業務経歴書は、履歴の一行目が現職で、逆順に、経歴を過去にさかのぼって記入するよう求められます。過去の実績より、直近に何をしたかが評価対象です。何をしたいかではなく、何が得意分野であるかを実証することが求められています。
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No.138 04年4月10日

人材紹介会社訪問事例―1

会社が現職社員の転職活動を非公式に奨励しているという感触を得たので、就業時間中に次の職探しをはじめました。いくつか訪問した中で、ミスマッチのケースをまずご紹介いたしましょう。

人材紹介会社は、東京では赤坂、麹町、大手町、新橋、広尾などに多いようですが、訪問した会社は、麹町あたりで1Fに文房具屋があるビルの3階にありました。

インターネットで求人状況を調べ、メールで業務履歴書を送ったところ、面談したいとのことで、多少のリスクを負って平日の午後アポをとりました。

受付がありませんでした。近くのデスクに座っていた女性に取り次ぎを依頼したところ、玄関ホールわきのコーナーで代表取締役が対応してくれました。待っている間に電話がなりました。ところが、デスクに座っていた女性は電話をとりません。やっと、代表取締役が電話をとりました。この辺で、違いに気づき帰るべきだったのですが、急ぎの用もなかったので、そのまま待っていました。ヘッドハンティング会社に呼ばれたことがある方はよくご存知かと思いますが、外資系の人材紹介会社は不釣合いなほど贅沢なオフィスを構え、受付には帰国子女みたいな女性がいて、個室に通されコーヒーなどがサービスされます。今回は、あまりの格差にサプライズでした。

事前に送った業務経歴書をプリントアウトするのに時間がかかったようで、20分ほどまたされた後、代表取締役があらわれ面談がはじまりました。まず、転職の難しさをご自分の体験談を中心に説明してくれました。外資系の会社に転職したときの惨めな処遇を本にしたとのことで、ご本人が執筆された新書版の転職関連書籍を見せてくれました。

本人の話によると、ドイツ系の日本支社それも地方都市で仕事をされたそうです。ドイツ人が優遇され、現地採用の日本人は安い給料で働かされ、待遇も悪いと20分ほど説明してくれました。当時の事務所の配置図(いかにドイツ人が広い個室で快適で、日本人が大部屋に押し込まれているかが表現されています)もありました。

外資の職場環境は、5年ほど経験済なので事務所の配置図などよくわかりました。そして、人材紹介会社を経営しているこの人物の前職は、外資系企業の地方支店で中間管理職であったとお見受けしました。私はドイツ本社採用で日本に出向したので、この人のようなB級の現地採用社員を何人も解雇した現場におりました。私の履歴を読み始めて、やっとお気づきになったようです。お互い、会う必要がなかったことがわかりました。あたりを見回したところ、想像できたのは、この会社の商材は日本企業から外資に転職しようとするサラリーマン暦2~3年の若い人材ではないかということでした。このレベルで商売が成り立つなら、人材紹介会社に登録するのではなく、ヘッドハンティング業務をするほうがまだチャンスがありそうな気がしました。

そういうわけで、訪問目的は未達で失敗でしたが、相手が何で商売しているかを知ることが必要ということを学習しました。

古賀院長のリフレッシュコーナー:「肘の痛み」

「テニス肘」ということばを聞いたことがありますか?テニスやゴルフのように、腕を回したり捻ったりする運動を過度に続けたせいで、肘の関節が炎症を起こして痛む状態をいいます。

「テニス肘」の正式な名称は、「上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)」といって、肘の親指側の部分が痛むのが特徴です。過度の練習が原因で痛むのは勿論ですが、重過ぎる道具や、自己流のフォームなどでも負担がかかってしまうので、ムリをせずにきちんと指導を受けるのも大切です。

また、比較的に筋力が弱い女性に起こりやすい症状なので、テニス肘に限らず手先を使う職業の人や、さらには家事や育児などで肘を多く使う一般の主婦の方々も十分に注意をしましょう。

肘が痛くなった時の対処としては、肘から手首までをアイスパックなどで5~6分冷やした後に、ストレッチをします。やり方は、まず反対の手の平で下から肘をすっぽり包みます。その時に、親指と中指が肘の曲がるところの外側と内側に当たるのでそこをしっかり押さえて固定します(ちなみに親指側の方は、「曲池(きょくち)」、小指側の方は「少海(しょうかい)」というツボです)。そして、そのまま固定しながら肘を回したり、曲げ伸ばしたりをするのです。肘が痛い人にとっては、最初は泣く程痛いですが、やっているうちに痛みが少しずつ和らいできます。頑張って毎日行うようにしましょう。症状が改善していきます。

中野坂上治療院 古賀 直樹

◆あとがき

バグダットが陥落して1年、イラクでは戦争状態が続いています。「人の命は重い」といって超法規的な処置を認めた父親と違い、日本人が3人拘束されて、「テロに屈しない」とドイツやアメリカと同じ立場を息子は表明しました。

自分の息子が渡航制限区域にリスクを承知で滞在し、現地で拘束され身代金を請求されたら、「貧者の1灯」かもしれませんが、できるだけのことはすることでしょう。そして「コラテラルダメージ」(非戦闘員が作戦に巻き込まれて仕方のない犠牲になる)を受けたとしたら、今度は、報復攻撃の衝動に駆られます。数多くの戦死者をだしている同盟軍の家族は、民間人の開放と軍隊の撤退のどっちが重いかを秤にかけるようなことは、しないと思います。ともかく、戦争は常に明確な意思決定を迫ってきます。
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No.139 04年4月17日

人材紹介会社訪問事例―外人ハンター

会社が現職社員の転職活動を非公式に奨励しているという感触を得たので、就業時間中に次の職探しをはじめました。いくつかのエピソードをご紹介します。

当時はITバブルの真っ最中でした。事業部には、英語の電話がよくかかってきました。内容は、技術者と営業マンに対する転職の誘いでした。この電話を「ダブルバイトの人狩り」という技術者がいました。電話をかけてくるのは、ネイティブの英語を話すハンターたちです。彼らは、普通に話しかけ、電話口で英語でのやりとりができる人材を一本釣りしていました。

こまめに彼らの電話を受け、面接に応じました。この人たちの事務所は、たいてい清潔で、広く、受付には、きれいなお嬢さんがいます。若い欧米人と思われるハンターたちが事務所の中を行き来していて、受付にいくと、なつかしい外資のかおりがしました。

ハンターたちとの会話で学んだのは、即戦力になる現状の説明とステップアップをねらうアグレッシブな態度が必要ということでした。過去の実績や、忠誠心、信頼性、品格などはあまりポイントになりません。転職先にとって、即金になるクライアントをもち、それをバネにして事業強化拡大、問題解決に貢献できるということがハンターたちの最大の関心事でした。リストラされそうな消極的な従業員は、ハンターの獲物ではありません。

当初は、外資に興味がありませんでした。興味がないというより、5年のドイツ企業での勤務でかなり消耗し、外資ではもう働きたくないと思っていました。リハビリのつもりで、日本企業で働いていました。しかし、転職活動をするようになると、元気のいいのは外資企業しかないというのもわかってきました。そして、ハンターたちと会うと、忘れかけていたグローバルビジネスの魅力をもう一度味わえそうな感じがし、ひと時の会話を楽しんでいました。

◆あとがき

渡航制限区域に立ち入るときは結果については個人が責任を持つというのは、欧米では世間の常識です。今回の3人の邦人拉致解放によって、ようやく我が国でも市民権をもつことになるに違いありません。

父ブッシュ時代の湾岸戦争のとき、日本はバブルの最盛期でした。邦人は海外でエコノミックアニマル、ジャパンアズナンバーワンとかいわれて、商売の達人ユダヤの商人と互角に戦っていました。政府は何回か欧米への渡航制限を発し、大企業、商社は従業員の海外出張を禁止しました。その時活躍したのは、中小企業の国際派ビジネスマンでした。大企業が海外出張を禁止しているスキをついて、個人のリスクでビジネスを展開しました。

ドイツの空港では、目覚まし時計と電卓を没収され、バッテリーがすぐなくなるダイナブックの電源を入れさせられ、稼動確認をされました。自然放電で、成田からヨーロッパの機内でバッテリーがなくなりかけているPCの電源をいれるのは、賭けみたいなものでした。電池切れで動かないでは、通用しません。動かなければ別室に連行されると思いました。

一方、パリのヴァンドーム広場の店で買った時計を、ドゴール空港で開けろといわれたのには、腹がたちました。お土産用にきれいに包装したパッケージを、セキュリティのところで、乱暴に開けるわけです。この国の外貨獲得に貢献しているのに、担当官の横柄な態度にはカッとしました。911の後では、自爆テロについて怖さが納得できるので、仕方のないことですが、今思えば、ずいぶんリスキーなことをしていたと思います。

最近では、混雑した電車は避け、若者が徒党を組んでいる繁華街には立ち寄らないことにしています。アルコールも、2杯以上は飲まないようにして、危機管理をしているつもりです。嫌な世の中になったと嘆くよりも、リスクをヘッジするほうが先決と考えています。
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No.140 04年4月24日

監査役会

「2004年4月23日の日経新聞夕刊の抜粋」

ドイツ・シュツットガルトのダイムラークライスラー社は4月22日、臨時の取締役会と監査役会を開き、三菱自動車の経営再建のための増資計画に応じず、一切の金融支援も行わないと発表。7日のダイムラー定時株主総会で同社社長が再建計画を支援すると言明していたが、一転白紙に戻された。

このニュースを聞いて、12年も昔のことを思い出しました。

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バブル経済崩壊時の1992年10月。
ドイツ・ニュールンベルグのスポーツ用品メーカー本社で、アジアパシフック地域に対する政策変更が決定。年内に日本から撤退することを発表。
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このふたつのニュースは似ているところがあります。
1)日本への資本投下を打ち切った理由は、親会社の業績不振。
2)監査役会が最高意思決定機関であるドイツ企業。

監査役会は、確かアドバイザリーボードといったような記憶があります。株主と経営者と従業員の代表で構成されていました。

このふたつの資本投下否認には違いがあります。

自動車会社は経営再建ですが、スポーツ用品会社は代理店販売をやめて自前の流通チャネル立ち上げでした。ともに、巨額の資本投下が必要ですが、スポーツ用品会社の方は日本市場で利益を出しており、子会社設立による直販で更なる利益確保を目指していました。

本社から取締役会の決議により、経営企画担当者が来日、2週間滞在して日本法人設立の準備をしました。その成果をドイツ本社に持ち帰った後、監査役会で否認され、設立準備室は即日解散となりました。親会社の業績不振が海外投資を拒否しました。

この決定には驚きました。会社の事業計画の一環として日本法人化があったのですが、ドイツ本国の市場に競合他社が侵入し、NO.1の座を明け渡した結果、流れが変わりました。海外に投下した資本を引き上げ、ドイツ本社の市場死守を最優先課題とて、すべての経営資源をヨーロッパに集中させました。

日本のオフィスをシャットダウンするというアナウンスを聞き、ひとつ質問しました:「日本は利益を出している。他のアジア諸国とは違い、本社のキャッシュフローに貢献している。なぜ、金の卵を産むガチョウを殺すのか。」

答えは簡潔でした:「例外を認めない。」

ベルリンを守るためには、トーキョーとローマに派兵する余裕はないということと理解しました。監査役会の前夜まで、ROBERTO(ロベルト、つまりローマ、ベルリン、東京)を合言葉にビールを飲んで盛り上がっていたのが、一転白紙に戻りました。

古賀院長のリフレッシュコーナー:「更年期障害と食生活」

更年期障害・・・加齢によって女性ホルモンが大きく減少して、体にさまざまな異常をきたす症状を総じてこのようにいいます。以前は、女性特有の症状といわれてきましたが、実は最近になって男性にも更年期障害あるということがわかってきました。ただ、閉経によって大きくホルモンが減少する女性に比べて、男性のそれは一気に減少する訳ではないので、症状もわかりづらく、また症例も少ないようです。

女性の更年期障害であらわれる症状は、顔がのぼせて赤くなったり、汗が突然どっと出たりする、『ホット・フラッシュ』。他に、手足のしびれ感や、ホルモンの減少が理解できずに、ムリにそれを分泌させようとすることによる自律神経系の乱れ(突然の不安感や、イライラ、精神的うつ)などですが、男性の更年期障害にはそれに加え、筋力の低下や性欲の衰えなどがあらわれます。

こんな辛い症状の時には、薬ばかりに頼ろうとせずに、すべての食事をバランスよく、おいしく食べることが重要です。なかでも、各諸症状を和らげてくれるのは、日常でもよく知っているビタミン類に含まれています。例えば、顔のほてりや肩こりに有効なのは、ビタミンEで、アーモンドやかぼちゃなどに多く含まれます。また、ビタミンEはビタミンCと仲良しなので、ほうれん草やパセリなどと一緒に摂ると一層効果があります。あと、だるさや倦怠感には、豚肉やゴマ、乾燥しいたけなどのビタミンB1が効果的です。

さらに、女性ホルモンであるエストロゲンによく似た働きをするといわれているイソフラボンは、豆腐や納豆、厚揚げなどの大豆食品に多く含まれるので、特に女性は日ごろから摂っておくとよいでしょう。

中野坂上治療院 古賀 直樹

◆あとがき

堀場製作所の会長さんの、「議論を始めてから少なくとも15分以内に結論を言ってほしい。理想は1分以内ですが。」というコメントが新聞に掲載されていました。その場でさっと意思決定ができないとしたら、時間をかけても同じでいい結果が出る可能性はありません。意思決定にはスピードが肝心です。スピード感がないのは、機が熟していない、相手が意思決定をする立場にない、または意思決定者に必要な資質を欠いているなどの理由があるのでしょう。

今週から、相手の意思決定待ちや連絡待ちなどの待ち時間の幅を短縮しました。
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No.141 04年5月1日

外国語の電話

社員を名指しする英語の電話がよくかかってきます。受け手は、業務に必要な英語の読み書きはできるが、話す機会はほとんどない人たち(営業、技術)です。話すとしたら、たまたま同席した飲み屋のオネーチャンが金髪という場面ぐらいです。その際の会話は昼間ビジネスで使えそうなものはほとんどありません。(こういう場所で会社払いの授業料をたくさん使っている幹部社員がどの会社にもいそうですが、この人たちは、外国企業とのアライアンスの会議で英語を使うときは、気をつけなければいけません。金髪オネーチャンたちがつかう特別な単語を不用意に出すと、ネイティブの連中に気づかれます。)

そういう技術者が多いなかで、丹念にじゅうたん爆撃で一本釣りを仕掛けてくる外資系人材斡旋会社がいくつかありました。どうも渡されたリストにある番号に電話をかけるのが、まずルーティンワークのようでした。ネイティブが普通のスピードで話しかけ、それを理解、反応しない相手をリストから削除していく作業が大半だと想像されます。このリストは、セミナーやフォーラムなどのブースでパンフレットやノベルティをもらうために渡した名刺が情報源となっています。

ネイティブの電話に普通に対応すると、相手は現在のタイトルと仕事の内容を聞いてきます。そして次に転職に興味があるかを尋ねます。有るというと、オファーできる案件なり会社がたくさんあるので、面談したいといってきます。人材ハンターは電話する時間と面談する時間をあらかじめスケジュールにいれてありますので、日程は指定されることが多いです。

ネイティブとの電話の対応をまわりの社員に聞かれたくない場合は、詳細をメールで知らせてもらうようにします。人材ハンターからの最初のメールは会社のアドレスで受け、返信とその後のやりとりは会社のネットワークを使わず、個人のアドレス(自宅のインターネット環境)を使うようにします。受信はDMと同じですが、返信はプライベートになります。私用メールを禁止している会社では、就業規則違反となり、内部監査で不利益を被る恐れがあります。

面談

本気で転職先を探している場合、外国人ハンターによる成功率は低いというのが経験知です。しかしながら、英語での自己PRを忘れないようにするには良い機会を提供してくれます。レジュメを作成し、業務経歴、仕事に対する姿勢、セールスポイント、要求項目などを、相手が気に入るように説明します。相手が要求している内容を分かりやすく簡潔に表現するスキルを磨く練習相手として、外国人の人材ハンターは最適です。彼らは、面談している転職希望者にどの程度の斡旋価値があるか、商品としてどのクライアントに提案できるか、転職する意思がどのくらいあるのかなどを話しのなかで探ってきます。勤勉で、品行方正、正直が取り柄というようなワーカーは、ハンターの獲物ではありません。

セールスポイントを明示し、アグレッシブでスピーディな姿勢を表現しなくてはいけません。

◆あとがき

ネットワークビジネスで成功している人たちの現場を見学する機会がありました。

オフィスに一歩入ったとき、閉ざされたコミュニティ、敷居の高そうな雰囲気を感じました。一見で立ち寄る初心者は皆無なので、メンバー制クラブのようなものです。不用意に動き回ると、周囲に警戒されそうな雰囲気でした。ネットワークが商売の原資ですからそれを介さない分子は異物混入として排除されるのでしょう。

一度仲間として認知されると、家族のような居心地のよい集団となると思います。この集団の目標は明快です。個人の利益追求が最優先されます。成果主義です。プロセスはともかく、実績のみが評価の対象です。某新興宗教がそうであったように、リーダーは構成員が誰一人及ばないほどの豊富な成功体験を蓄積しています。体力と気力が続くかぎり、既得権益は保障されます。力のあるリーダーの下では、コバンザメ的に生活するのが賢明でしょう。利益拡大に限界を感じ、また、それ以上を望むとしたら、起業することになると思います。「さきがけ」する者の利益が一番多いというのが経験則です。
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No.142 04年5月8日

「実現しなかった試み」

シャドウキャビネットまたは「次の内閣」としてマネージメントチームを結成してヘッドハンティングのエージェントに飛び込みセールスを積極的にしていた時期がありました。

このチームのメンバーはポジションでお互いに競合することのない、各分野のプロの集合というのが特長です。エージェント向けのセールスポイントとして、手間をかけずに、まとめて人材を送り込めるので、成功した場合は高額な手数料収入が一度に確保できることを強調しました。事実、クライアントの組織図を提示して、そこに応募者の名前を入れるようにいってきたエージェントがありました。しかし、このエージェントを除くと、前例がないので実現しないだろうとコメントするヘッドハンターが大勢を占めました。

セット販売を原則として営業活動をしている中で、メンバーの一本釣りを打診されることがありました。ここでメンバーの中での温度差が出てきました。セット販売は取り扱い実績がないので現実的ではないというエージェントは、従来どおり、個人ごとに案件を提示してきました。それを受け、前例がないからこそ、旨みがあると一本釣りを断るメンバーと、据え膳には手をつけたいというメンバーがいることがわかりました。

結局、セット販売は諦めました。チームの誰かが人事に影響力を持つポジションで採用されれば、その後、その会社に芋づる方式で新入していくことが可能だろうという従来の手法をとることにしました。受け入れ先の会社にとっては、リクルートの手数料をかけずに必要な人材を確保できるというセールスポイントを訴求することにしました。

前例という成功事例がない仕掛けは、採用する会社にとっては両刃の剣となります。まとめて採用すれば、リクルートの時間と費用を削減可能ですが、一方、社内でまとまった勢力となり、会社の意思決定に重大な影響力をもちます。まとまって辞めてしまう可能性も高くなります。残り時間も少なくなってきたこともあり、まず誰かをどこかに送り込むことにしました。そして、社内組織の見直しや戦力強化という切り口で、人脈を使って信頼性の高いプロを社員紹介という形で迎え入れるという手法に切り替えることにしました。

古賀院長のリフレッシュコーナー:「飛行機で耳がキーンとなるのはなぜ?」

ゴールデン・ウィークが終わりました。田舎への帰省や、海外旅行などで飛行機に乗られた方もあるかと思います。

ところで、飛行機に乗ったり、またはエレベーターに乗ったりした時に、耳がキーンとなることがありますね。「気圧の関係でなるんだよな」ということはだいたいわかるのですが本当のところ、耳の中では何が起こっているのでしょう?

空気が物を押す力・・・いうまでもなくこれは気圧のことですが、普段の状態での耳の中は、鼓膜の内部と外部の気圧の差はうまくバランスがとれています。耳がキーンとなるのは、この鼓膜の内部と外部の気圧の差ができて、鼓膜がうまくバランスをとれなくなったために起きている現象なのです。

具体的にいうと、気圧というのは上にあがる程弱くなります。飛行機などで一気に上昇すると、鼓膜の外部の気圧が下がるので、鼓膜は外に引っ張られてしまい、それで耳がキーンとなったり痛くなったりしてしまうのです。逆に高い所から一気に下降すると、今度は鼓膜の外部の気圧が内部のそれよりも高くなるので、鼓膜は内側に引っ張られてしまい(逆にいえば、外から圧迫されてしまう)、同じように耳が痛くなったりするのです。

この時の対処法は、一般的にツバをのんだり、口を大きく開けたりすることで解消されます。これは、鼓膜の内部にある『耳管』という器官が、このような動作をすることにより、耳の内部の空気を抜き、気圧を調整して鼓膜を正常な位置に戻す働きを持っているのです。

中野坂上治療院 古賀 直樹

◆あとがき

今年のGWの後半は家電製品の寿命に悩まされました。連休前に、そろそろくたびれてきた洗濯機を買い替え、ついでにエアコンも1室1台(我が家では実家から独立して以来基本的に1家に1台でした)という贅沢な投資をし、今年のGWは高・遠・長ではなく、安・近・短で我慢しようという合意を家族からとりつけて、GWを迎えました。お約束の安・近・短のイベントを済ませ帰宅すると冷蔵庫から異臭がしていました。冷凍庫の肉は色が変わっていました。10年使った冷蔵庫が、突然壊れました。賞味期限切れの不良在庫一掃には役立ちましたが、直近でまとめ買いした特売品まで道連れになってしまいました。GWの後半、初日のことでした。

近くの町の電気屋さんならすぐ運んでくれるかも知れないと思ったのですが、連休中は休みとなっていました。開いている店もありましたが、在庫はありません。ネットショッピングはどうかとウェブサイトを見たのですが、配達は連休明けでした。もしかしたらと駅前の大手スーパーに問い合わせたところ、翌日納品するとのことでした。すぐにスーパーに行き、チラシの「広告の品」を買いました。その時には夕方5時を過ぎていましたので翌々日納品となりましたが、ともかく、連休中に食品貯蔵、衛生管理が復旧しました。

ところが、もうひとつがっかりしたことがありました。壊れた冷蔵庫を動かしたところ、新築1年あまりのフローリングの床が腐っていました。長期間水漏れ状態が続いていたのでしょう。これは諦め、臭いものにはふたをすることにして、ヘアドライヤで床を乾燥させてその上に新着の冷蔵庫を設置することにしました。普段、目に触れなければ、床のことは、すぐ忘れます。構造上や品質の問題ではなく、単なる整備不良で、一見落着とさせていただきました。
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No.143 04年5月15日

「IF」

読者の皆さんも、「もしもあの時にこうしていたら」という意思決定に関する後悔なり、別の可能性があったかもしれないという思いを何回も経験されていることでしょう。

すでに忘却してしまっている昔のIFは別として、直近の選択肢には多少の未練が残ります。そうしたものを振り切ることは、なかなか難しいことのようですが、加齢により胆力が衰えてくると、じっとしていると忘れることができるような気がしてきました。「損切り」とか「危機管理」とかいって、リスクとリターンを考えることができるかも知れません。

いまだに忘れられないのは、外資の日本法人を解散し、次の職場を探していたときのことです。日本の同族会社の典型ともいえる企業に15年在籍して、そこから友人の誘いにのって外資に転職しました。その100%外資企業に在職中、同僚が次々と転職する中で、危機管理を怠っていました。在職中に人材登録をし、ヘッドハンターに会うなど考えられませんでした。日中は日本企業、夕方からドイツ、深夜には米国と連絡をとりながら、一歩さがれば土俵の外という緊張感のある仕事をこなしている中で、一番仕事にのめり込んでいるときに次の職場を探すということはできませんでした。同族企業で滅私奉公のような「しがない勤め人」をしてきたので、いつも逃げ出す用意をすることに抵抗がありました。

ともかく、初めて再就職活動をすることになりました。いろいろ相談にのってくれる方がいました。その方と再就職活動の進捗を酒肴に何回が会いました。そのうちにその方の会社に誘われ、勢いで決めました。先方が役員会で採用を決めたという連絡があったその晩、ヘッドハンターから電話があり、米国企業が日本法人設立に向けて日本人の代表を探しているということでした。先に決まった日本企業をドタキャンして、このオファーに挑戦することは、できませんでした。(今ならできるかも知れませんが、オファーはないでしょう。)

当時は、もしもあの時ヘッドハンターの誘いにのっていたらどうなっていただろうかというつまらない考えが「ぼうふらの浮き沈み」のように、浮かびました。今は、あの時ドタキャンして周囲の信頼を裏切らなくて良かったと確信しています。欧米企業とのビジネスチャンスは一時逃したかも知れませんが、一番大事なのは、目先の利益追求より、中期的な先行投資を含む信頼性の確保だと思っています。

◆あとがき

5月の中旬頃に東京直下型の地震がくるかもしれないという風評に、自分なりに対策を講じてきました。一番の成果は、自宅から歩いて3分の距離にある信用金庫に貸金庫を借りたことです。ここに、消失盗難しては困る書類、実印、証書、カード、小額な現金などを保管しました。特に実印や、印鑑証明カードは、手元にないことで記名捺印する際に、再考する時間が物理的に生じるため、危機管理に有効であるような気がしています。

幸い、15日現在、地震は発生していません。しかしながら、5月10日に我が家の資産は、株価暴落の直撃を受けました。13日には余震もありました。10日の午前9時からの15分間で、大半の保有株式を売却し、年初から蓄積してきた有価証券運用益の半分を損切りで失いました。今までは、損切りの知恵がありませんでした。1年前の今頃は毎日、大きくなる保有株式評価損の数字を眺めて暮らしていました。儲け損なったという気分とこれ以上の損失を回避できたという気分を比較すると、損失を回避できたというほうにより達成感があるということを学ぶために、今回多額な授業料を払いました。

しばらく天変地異や天下大乱がなければ、我が家にとっては、5月10日が直下型の地震の被災日となることでしょう。生命の危険にさらされなかったことを、感謝したいと思います。
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No.144 04年5月22日 了

このメールマガジンは、2001年8月25日に第1部創刊以来、おかげさまで休刊なく第4部の本編まで続いております。読者の皆様にあらためてお礼申しあげます。

「情報処理産業」への転職をテーマにした第4部は2003年5月31日に創刊しました。情報処理産業の会社に、受け入れ、その後のビジネスチャンスを提供してくださったこの会社の経営者が、6月で退任するという新聞記事を読み、このたび、本編を「了」とさせていただくことにしました。

親会社の創業者が、ITバブル真最中に、子会社を次々と上場させていく中で、拒否権を持つ合弁企業に反対されたこの子会社は、上場が3年遅れました。そのため、大半の社員は、上場によって期待していた「幸せ」にはなれませんでした。幸せはだれかがくれるものではなく、自分が実現していくものなので、これでいいのかもしれません。上場に向けて、経営基盤の確立強化、営業力強化、利益確保、持ち株会、インサイダー取引の注意、ストックオプション、商号変更など、多くのことを経営者のそばで体験することができました。

この情報処理会社に在籍中、自社株売買はインサイダー取引に抵触するのでできませんでした。インサイダー情報による株取引は実刑だと警告(啓蒙)を受け、順法の精神も学ぶことができました。思えば、ドイツ企業に就職し、本社が法人化し、上場するという80年代のヨーロッパで仕事をしているとき、オプションという言葉が幹部社員の採用、退職の案内にかならずでてきました。当時、オプションという意味を理解していませんでした。株、不動産、先物など投機的な事柄にはまったく興味がありませんでした。バブル当時の本業は、モノをつくり、売るということで、その業務で十分過ぎる年俸がありました。そして、バブル期に不動産、株に投資をしなかったために、その後のバブル崩壊で資産を失うことはありませんでした。これは、自慢でもありました。

その後、異業種のIT会社に転職したおかげで、米国にこれ以上負けてはいけないマネーゲームに参加するための基礎知識をOJTで習得することができたと思っています。この会社の経営者に出会うことができたおかげだと、今は感謝したい心境です。

絶対付き合ってはいけない輩の存在を、時々思い出します。格下のSE小僧たちになめられたり、世間の常識が通じなかったり、陥れられたりと、眠れない日が続いたこともありました。このたび、さんざん迷惑を被ったこの人たちを、「種島、黒重、このぐらいでかんべんしてやる」と寛大にも許してやることにしました。なぜなら、この会社は、高度情報処理技術者集団として成り立ち、技術者が経営していたのですが、創業者の死去により流れが変わってしまい、いまでは、株屋さんが経営権を握っています。そしてついに5月20日、大手証券会社出身者が代表取締役に就任しました。金融システム開発に強みをもつソフト開発会社は、証券取引業を本業とする親会社の情報システム部門という位置づけになるものと予想されます。素人でもわかることは、SE小僧たちは株屋さんの使用人になるということです。だから、個人投資家としては、「このへんでかんべんしてやる」という気分になるわけです。

次回から再度外資企業に転進した直近の話題を中心に、第5部を展開してまいります。ひきつづき、お付き合いのほどよろしくお願い申しあげます。

古賀院長のリフレッシュコーナー:吐き気(止めたい時、それとも・・・)

私達の普段の生活の中では、吐き気が起こることはあまりありませんね。しかし、たまに歯を磨いている時、妊娠中のつわり、果てはお酒の飲み過ぎなどでこの症状はおこります。

原因は、胃の中に入った腐敗物や異物を体外に排出しようとする体の自己防衛反応なのですが、歯磨きなどでウッとなるのは、異物が胃の中にある訳ではないので、吐き気だけで嘔吐はあまりないようです。そんな時は、手の平側の手首からまっすぐ肘の方に指三本分上にあがった、『内関(ないかん)』や、みぞおちのちょっと上で、胸骨に当たるギリギリのところにある、『鳩尾(きゅうび)』のツボが吐き気止めに効果的です。鳩尾は、親指以外の両手の四本指を手の甲側を合わせるようにしてから押すようにしてみましょう。

一方、二日酔いや食中毒でムカムカする時は早く異物を外に出した方がよく、ムリしてでも吐いてしまいましょう。塩水を飲んでから指で舌のできるだけ奥のほうを押さえると嘔吐が促されます。ツボ療法では、足の人差し指に墨をつけ、それを曲げて足裏についたところの、『裏内庭(うらないてい)』のお灸が効果的です。しかし、一般の人にはお灸は難しいので、少し強めに押すようにしましょう(ただし、何度も吐いて常習になると、食道粘膜を傷つけます!飲み過ぎないように注意するが大切です)。

中野坂上治療院
古賀直樹

◆あとがき

5月10日の日本株の暴落により、我が家の資産は、かなりの打撃を受けました。振り返れば、その後に複数回の余震がありましたので、あの日、始値を見て15分の間に大半の株を損切りしたことが、正しい対処だったと納得しています。ただし、これだけはすぐもどるだろうと、残した優良銘柄がその後の余震でさらに暴落し、傷の治りを遅くしている部分もあります。

幸運にも、20日に上場したコムシード(パチンコの携帯コンテンツ制作)をブックビルディングで手にいれ(キャンセル待ち当選)、初値で売却できたおかげで、5月10日損切り分のリカバリーができました。この週末は、久しぶりに平和な気分で過ごすことができそうです。人質になって落胆しているところを運よく助け出されて、反省している気分でもあります。今回、学んだのは、「イベント・リスク」です。いつか必ず来る東京直下型大地震をはじめ、大惨事が日本を襲うXデーに備えるということでした。

次号は5月29日に発行します。第5部創刊を予定しています。

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この内容はメールマガジンに連載した内容を転載したものです。
発行責任者:吉野輝一郎
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